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出張ネイリスト異世界でもネイルをする  作者: ありえ


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71/72

71 パーティー!

 王族達は私達が入ってきた入口では無く、その正面にあるおよそ2mぐらい高いステージの様な場所からの入場となり手を振りながら入場された。

 高い位置に居ることもあり、私達が観客だとするとステージに出てくるアーティストやアイドルの様な感じだ。

 そのステージ、いや上座にある豪華な椅子に座りミモザ王女がファーストダンスを行い、その後ダンスパーティーも行われる流れだ。

 この流れはジェイソンさんが教えてくれていた。

 もちろん私達は踊れないので、他の方たちが踊っている様子を見つつご飯をパクパク食べるつもりでいる。

 ミモザ王女と踊るのはサム王子らしく、手を取りながら中央にある階段から降りてきた。

 子供達が踊っているだけで可愛い。

 映画のワンシーンの様な光景に感動だ。

「あれ? なんでいるんだ!?」

 近くから日本語が聞こえ振り返るとどこかで見たことがある気がするマッチョメンがいた。

「え!? そっちこそなんでいるの!?」

 きりこがビックリしながら問い掛けている事からきりこの知り合いの様だ。

 あ! 思い出した。

 前に写真を見せてもらった自称冒険者だ!

 ドラゴンスレイヤーさんだ。

 ここで会ってしまうということは、本当に冒険者だったんだな…。

 この国の硬貨をアクセサリーにしてたと聞いていたけど本当に本当のマジだったよ。

 とりあえず3人で自己紹介。

「はじめまして。きりこの友人の爪美きららです」

「あ、はじめまして。きりこさんの友人? の剣勇雄つるぎいさおです」

 自己紹介もサッと済ませ何故ここにいるかの話になった。

 私達は王族のヘアメイクという事を説明。

「俺は勇者なんで王家の行事に呼ばれるんだ」

 そっかー。それもそうか…。

 勇者の話を知らない私達からすると何も言えない。

 とりあえずこの世界に来た時からの話を聞こう。

「1番最初この世界に来た時ってどうやって来たんですか?」

「筋トレしてたら急に呼ばれた感じだな」

 私と同じ様に召喚されたって事か。

「そんで、邪竜が暴れてて大変って言うんで剣を貰って倒した」

 端折りすぎじゃない?

「どれぐらいの期間この世界に居るんですか?」

「もう15年だな。今はこっちと日本の両方を行き来してるけどこっちにいる時間の方が多いかな」

「自分で転移出来るんですか?」

「転移出来る指輪拾ったんでそれで行ったり来たりしてるんだ」

 気になる事ばかりでアレコレと聞いたが聞いてもなるほどと思えない。

 なんだろう。

 現実感のない話だからかな?

 そんな話をしている最中、彼が王様に呼ばれたので聞きたいことを残したまま話は終了となってしまった。

 王様との話が終わった後も色々な人に声をかけられているので、話の続きは出来なさそうだ。

 きりこに今度3人で会う機会を作れないか聞いてもらうことに。

 そして私達も王様達に呼ばれてお話。

 ジェイソンさんが言うには他の貴族達にその様子を見せることで王家と繋がりのある者というアピールの為らしい。

 そのアピールが成功したのか王様達との話が終わり、下に戻ると話しかけてくる人が多い。

 ジェイソンさんが付き添いをしてくれているのでロイヤルビューティストと色んな方に紹介をしてくれた。

 それを聞いた貴族夫人は貴族当主を押しのけて質問攻めをしてくる。

 主にヘアメイクや爪の装飾という事を伝えると私にもやって欲しいとの事だった。

 私達が勝手に了承出来ないしと思いチラッとジェイソンさんを見る。

「王妃様より今後それ関係の招待が届くと思いますのでお楽しみに」

「そうなのね! 楽しみにしているわ! またお会いしましょうね」

 奥様たちの元を離れ何の話だろうとジェイソンさんに聞くと、王妃様が何やら計画をしているとの事だった。

 前にビューティーサロンの様な場所にしたいと言っていたのでそれ関連だと思われる。

 

 慣れない場所で少し気疲れした私達はデザートを取りテラス席へ向かう事にした。

 お茶を飲みボーッとする。

 そこで他の人たちの話が耳に入る。

 ネイルの話だ。

 聞こえてきたのは”爪に色をつけると魔力が上がるらしい”という事や”軍事パレードでの魔法披露は爪に色を塗っていたからいつもより派手なパフォーマンスになった”など。

 その話はいつの間にか広がっている様だ。

 チラチラと見られるので、私がネイリストという事がバレているのかもしれない。

 聞こえてくる声は悪口では無いので一安心だ。

 きりこにもその声が聞こえていたようで”大活躍じゃん!”と茶化してくる。

 ほのぼのお茶を飲み空を見ていると何か飛んでいるのが見えた。

「きりこ、アレ何が飛んでるんだろう? 大きくない?」

「本当だ。デカい鳥かな?」

「なんか段々と近づいてきてない?」

「確かに。あれドラゴンじゃない?」

「そっか。この世界にはドラゴンがいるんだった。初めて見るよ」

「だよね。ちょっと感動だよ!」

「感動だねー!」


「おい! 逃げろ! ドラゴンが来たぞー!」


 え?

 ドラゴンは敵なの!?

 感動とか言っている場合じゃなかった!

 に、逃げなきゃ!

 慌てて逃げようとするが履き慣れないパーティー用のパンプスが脱げた。

 拾おうと振り返るとドラゴンはすぐそこに。

 ああ。

 短い人生だった。

「お主が爪を装飾する娘か? 爪を直すことは出来ぬか?」

 ん? 爪?

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