表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
出張ネイリスト異世界でもネイルをする  作者: ありえ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
72/72

72 ドラゴンの亀裂補強

「お主が爪を装飾する娘か? 爪を直すことは出来ぬか?」

 そう言われチラッと爪を見ると縦に割れていた。

 うわあ。

 この割れ方だと何か引っかかる度に痛かったり気になるだろうな。

「おい娘。聞いているのか?」

「うーん、そうですね。人間サイズの爪ならば補強する事が出来ますが、貴方サイズの爪だと難しいかもしれません」

 ドラゴンの爪は人間の腕、肘下ぐらいの大きさだった。

 およそ30cmぐらいの長さの爪で、爪幅は根元が10cmぐらいで先に向けて細くなっている。

 形は人間の爪で言うポイントだ。

 そして縦の亀裂は爪先からおよそ10cmぐらい入っている状態だ。

 これは大きさ的に爪の補強というよりも像とかの美術品の修復の方が近いのでは無いか…?

「そうか…。出来ぬか…。ん? 大きさの問題であるなら小さくすれば良いのか?」

「え? 爪を小さく出来れば出来ると思います。半分より小さく出来れば大丈夫ですね」

「うむ。それならば出来るぞ。見ておれ」

 そう言うと風船の空気が抜けていくようにシュルシュルと小さくなった。

 元の大きさの4分の1ぐらいだ。

 体の大きさはでっかいぬいぐるみサイズ。

 爪は7cmぐらいで亀裂は2cmちょいぐらい。

「おぉ! この大きさならいけます! 材料が控室に置いてあるので持ってきますね~。少しお待ち下さい」

「待て! このまま置いていかれたら討伐されてしまうじゃ無いか! 後ろの奴らに剣を納めるよう言ってくれ!」

 後ろ?

 振り返ると騎士達が剣をこちらに向けていた。

 あ。あの日本人冒険者も居る。

「あのぉ…。ドラゴンさんは爪を直したいだけの様で、剣を仕舞って貰えますか…?」

「!? 何を言っている! そんな訳無いだろう! お前も殺されるぞ! 早く逃げたほうがいい!」

 えー!

 信じて貰えなかった。

 どうする?

 あ!

「つるぎさん、きりこに私の仕事バッグ持って来てもらえるよう伝えて貰えませんか?」

「キララさんは何というかその、メンタル強いな…。きりこに伝えてくるよ」

 そう言い他の騎士達を残したままきりこを探しに行った。


 …早くきりことつるぎさん戻って来ないかな。

 剣を向けられている為再び大きい姿に戻ったドラゴン。

 そしてそのドラゴンから目を離さず剣を向ける騎士達。

 その間に立ち説得を試みる私。

 待つこと3時間!

 いや、実際は10分ぐらいだろうか。

 この張り詰めている空気感で時間の流れが遅く感じたよ。

 やっと、きりことつるぎさんが私の仕事バッグを持ち戻って来た。

 つるぎさんがドラゴンに剣を向けたままきりこから荷物を受け取りそーっと近づく。

「おい。剣を向けたままこっちに来るな! その横にいた娘に持ってこさせろ!」

 ドラゴンがつるぎさんを止める。

 急に荷物を持って来る事になったきりこはつるぎさんからバッグを貰いスタスタとこっちに歩いて来た。

「あのドラゴンさん。私も爪を直すところの見学をしても良いですか?」

「武器を持っておらぬなら良いぞ」

「さて、補強するのでさっきのサイズになって下さいね」

 そう伝えるとさっきのでっかいぬいぐるみサイズになってくれた。

 仕事バッグからアクリルセットを取り出し作業を始める。

「む。このニオイはなんだ!? 毒じゃないだろうな?」

「あーこれはアクリルリキッドっていう物で毒じゃないから大丈夫ですよ〜。手を出して下さいね〜」

 アクリルリキッドとクリアのアクリルパウダーを筆で取りミクスチュアを作り亀裂の隙間を埋めていく。

 小さくなった爪は2cmぐらいの亀裂になったので特に難しくも無く隙間を埋めた後は乾かしてバッフィングだ。

 アクリルと爪の段差を無くしキレイに仕上げていく。

「こんな感じですね。いかがでしょうか?」

「おお! 引っかからなくなった! 助かるぞ! お礼にコレをあげよう」

 後ろ足でポリポリ引っ掻きウロコが数枚取れた。

 それをくれるというので貰っておこう。

 使い道は分からないけど飾っておこうかな。

 それにずっと横でガン見していたきりこにも記念にあげよう。

「さて儂は帰ることにしよう」

 テラスから後ろの森の方へ向かいテクテク歩いていく。

 そして振り返る。

「娘。姿が戻らなくなったぞ。どういう事だ?」

「え!? 元に戻れなくなったんですか!?」

「そうだと言っておる」

 えー!

 なんでだろう?

 爪を塗れば魔力が上がるとか良いことばかりだったし普通に亀裂補強しただけなんだけど。

「大きさを変えるのって魔力でなんかするって感じですか?」

「そうだ。魔力をグルグルしてモミモミしてガーっとすれば大きさは変わるのだ」

 うん。全然分からん。

 でも魔力がネイルで何かおかしくなっているって事だと思う。

「んー。ではそれがネイルで妨げられたって事かもしれないですね。勉強不足で申し訳ありません。付けたアクリルを取り除くしか無いかもしれないです」

「何!? そのアクリルを取るというのは直したものを戻すと言うのか?」

「そうですね。亀裂ありの元の姿に戻るという事です」

「うーむ。それだと戻ると引っかかってうっとおしいし、引っかかりが無くなると小さいままか…。よし決めた。このままの姿でいるから娘は儂に攻撃をする者から守る護衛をしろ」

 …。えー!

「いや、あの…。私この世界に住んでいる訳では無いのでずっとは無理です。週1ぐらいしかこっちに居ないんですよ」

「何!? …そうか。では儂も一緒に異世界へ行ってやろう」

 ん? 異世界?

 えーっと、日本から考えた別世界であるここは異世界。

 ではここから考える別世界である異世界…。

 え。日本に連れ帰るってコト!?

お読み頂きありがとうございます!

次回更新は1回休んで7/2となります。

7月の更新スケジュールは近くなったら近況報告にアップしますので気になる方はご確認下さいね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ