61 食べ比べ
きりこと一緒にいつものホテルへと向かう。
車での移道中は、元冒険者の話では無く、この後の取引や今後の取引について簡単な話し合いをした。
到着しロビーで秘書の方と会い、案内してもらう。
そして案内されるいつもと同じ部屋。
「こんにちは! 本日もよろしくお願い致します」
「いつもありがとうね。さあ、こっちに座って!」
早速本題へと。
まずはポーションと魔石と水晶の納品だ。
魔石は一つ一つ大きさも違うのでグラムでの取引となっていて緑以外は1g100円だ。
緑色はここでも向こうでも安いので10g100円となっている。
向こうでの取引ではこの大きさなら銅貨1枚とか2枚とか割とアバウトな取引となっていて、緑色魔石は更にアバウトで片手分ぐらいで銅貨2、3枚だ。
一応大きさが大きいほど値段は上がる様になっている。
なのでこれももちろん大きな利益になる取引だ。
マジックバッグがあるので重くて持てないも無いしぽいっといれるだけ。
水晶は魔石よりも値段が上がり、向こうでは銀貨1、2枚だった。
価格が決められないということでこれは後日決められてから振り込まれる。
また次回も同じ内容での取引という事になった。
そして今回も研究報告書を見せてくれた。
緑色魔石で出来た食べ物のデータも書いてある。
栄養価は通常のものよりも高くなり、味も良くなると書いてあった。
そこで昨日ジェイソンさんから聞いた実のなる物は薄めたポーションで再び実らせることが出来ることや3回までは普通に食べられ、その後は味が落ちるということも話す。
これらはその研究者に伝えられるそうなので、おそらく試すだろうし、収穫3回目以降についても調べるであろう。
また取引時に出した水晶の事も伝えた。
魔道具に使われていて魔石のエネルギーを使う為に必要であるということもだ。
ただ私には仕組みなどは分からないので研究所任せにはなってしまう。
再び報告書を見ると今話した水晶の事が書いてあった。
前に渡したライターの様な魔道具を分解して再び組み立てたことが書いてある。
分解する際には録画をしながら慎重に進めたことも記載されていた。
組み立てして再び魔道具のライターとしてちゃんと使えたことから、今はその魔道具の部品などを複製する為の型を作ろうとしているそうだ。
なぜ火がつくのかという原理を無視した設計だったらしく、魔石エネルギーによるものと無理矢理納得しているそうだ。
その図を見ると、ボタンを押すとボタンの裏にはめ込まれている水晶が赤い魔石に触れ火がつくという作りになっている様だ。
これに使われる赤い魔石は全体的に小粒で大きいもので大豆サイズ、小さい物で米粒サイズでバラバラに入っているそうだが、火をつけたり消したりを繰り返すと魔石サイズが段々と小さくなり最終的には消えるらしい。
報告書には最初の魔石の数から書かれ、利用回数と魔石の変化についてキッチリと書かれていた。
毎回魔石の数とサイズを測っていたようで気の遠くなるような作業をした人がいる様だ。
細かい仕事をするネイリストの私だが、小さな魔石を毎回数える仕事は絶対に出来ないと心から思うよ…。
それとこの魔道具ライターを作るために使われていた水晶を日本産の水晶で出来るのかという実験も行っていた様だが、それは出来なかったらしい。
結論として水晶とほぼ同じの成分の異世界水晶でないと再現できない可能性があると書かれていた。
なので丁度今回納品したのでこれも実験するんだろうな。
ライター以外の魔道具がその内出来るかもしれないし楽しみだ。
「今日ってまだこの後時間あるかな?」
「大丈夫ですよ!」
「魔石肥料野菜で作られた料理と、現実産野菜で作られた料理の食べ比べしない?」
「良いですね! 現実産って普通にいつものこっちの野菜ですよね?」
「そうよ。研究所で区別する為に異世界産と現実産って言う言葉で使っているわ。でも今回は魔石肥料だから異世界産では無く魔石を使った現実産って事にもなるんだけどその場合は異世界産とも現実産とも言わない言い方ね」
「なるほど。政子さんは魔石肥料野菜はもう食べたんですか?」
「今日が初めてになるから緊張しているわ。ここのシェフに頼んであって作って貰っているのよ。魔石肥料とかそういうのは言わず、食べ比べとだけ伝えているわ」
野菜がメインという事もあり、野菜たっぷりコンソメスープ、サラダ、バーニャカウダ、野菜たっぷりペペロンチーノというメニューで作られていた。
パスタの麺や調味料は現実産だ。
食べ比べてみると、魔石肥料野菜で作られているものの方が美味しいと感じた。
が、気持ちの問題かもしれない…。
いや、うん、たぶん、魔石肥料野菜の方が美味しい…かもしれない。
お読み頂きありがとうございます。
次回更新は22日となります。




