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じゃんけん〜あの夏の思い出〜

「「せーの!!じゃんけんぽい!!!」」


「うわぁ〜また俺の負けかよ〜!」

「ほんっと、亮太(りょうた)はじゃんけん弱いよな〜笑」「じゃんけんに弱いとかあんのかよ!」

「お前だいたいパーから出すからな」

「んええ!?まじで!?」

「うるっさいなぁ…そーだよ。だから俺毎回チョキ出してんだよ笑」


そんな他愛もない話。いつまでも続くと思っていた…幸せな時間。


「あ、俺もう帰るわ!蒼唯(あおい)!また明日な!」


そう言って、亮太は自身の上着を羽織り、走っていった。




それが最後の会話だと誰も知らずに…





「…どーいうことだよ!!亮太が死んだって!!」

「蒼唯くん!落ち着いて…!亮太はトラックに轢かれそうになった女の子を助けたの!誇りに思いましょ?」

「おばさん…んぁぁだとしてもだよ!落ち着いてられっかよ!亮太は俺のっ!…俺のっ…」


亮太が死んだ。俺と別れた後にだ。横断歩道を渡っていた女の子が居眠りトラックに轢かれそうになったとこを助けたらしい…あの時、俺がもう少し亮太と話してれば…もう少し亮太と遊んでいれば…あいつは死なずに済んだかもしれねーんだ…あの時一緒に帰ってれば…あの時に戻れたら良かったのに…



それから7年がたった。当時小学生だった俺は高校生になって、彼女とかもできた。だけど、俺の心に空いた穴が塞がることはなかった…俺は…ジャンケンができなくなった。可笑しいだろ?だけど、チョキを出そうとする度に…グーを出そうとする度に亮太のことを思い出して手が震えだすんだ。俺は…いない亮太の亡霊に縋ってしまってるんだ…



「…蒼唯…蒼唯…蒼唯…!!」

「はぁ…なんだよって…り、亮…太?」

『おぅ!蒼唯!久しぶりだな!7年振りくらいか?笑』


ど、どうして…


『あぁ?どうしてって〜?そんなの、、』

「そんなの?」

『俺も知らん!』


ズコーッ


「いや、知らねーのかよ!」

『まぁな笑笑……にしても、お前も大きくなったな〜もう高校生か〜!』

「そりゃあ7年経つからな……」

『そうだな!あれから7年か〜速いな!笑』

「笑い事ではねーだろ…」


何故か、7年前に死んだはずの亮太が俺の目の前にいた。なんなら話せている…なんで?


『てか!蒼唯!さっきのって蒼唯の彼女!?めっちゃ可愛いじゃん!』

「うるせぇな…」

『え、え、なに、キスとかしたん?笑』

「なんだっていいだろ…てかお前、俺の気持ち読めるのか?」

『いや?わからない!』

「は?」

『でも、俺とお前の仲だからな!笑』

「はぁ?」

『まぁ、なんだっていいだろ!それよりもお前…まだ俺に未練あったりするのか?』

「は?な、なんでだよ…」


俺の心を好き通すかのように亮太が聞いてきた。


『未練とか残ってるならさっさと終わらせろよ〜?笑俺だって成仏してーもん!』

「だったらさっさと成仏しろよ…」

『それがさ〜、お前の未練はらさねーと俺成仏できねーみたいなんだよな〜笑』

「は?」


つまり…俺のせいで亮太は成仏できない…のか?


『あ!ちなみに、お前のせいで成仏できない!とか思ってる訳じゃないからな!』


やっぱこいつ俺の気持ち読めるだろ…


『ま!というわけで俺あと3日しかお前の前に現れることができねーからさっさと思い出巡りとかするぞ!』

「…は?…ちょ、おい!待てって!!」


そうして、俺は亮太の亡霊と思い出の地や、しょうもない思い出を作って回った。


『これが…50円パンっ!!』「ただのチーズが入った大きめのドーナツだろ…」『はぁ〜!やっぱ蒼唯は夢がないな〜!そんなんじゃモテねーぞ〜?笑』

「別にモテなくていーよ笑」


俺は、亮太としょーもないことをしてる間、自然と笑顔になっていた。


『じゃあ最後にあそこ行くか!』

「あそこって?」

『まぁ着いて来いって!』


亮太に引っ張られ(正確には着いて行ってるだけだが…)俺は…とある丘に来た。


「…ここは…」

『蒼唯、覚えてるか?ここ』

「っ!…あぁ…」


そこは、俺と亮太が最後に二人で花火を見た丘だった。俺たちはそこを2人の秘密基地として、花火大会の度に毎年二人で行っていた…亮太が死んでからは来てなかったが…


『…あ!蒼唯!ほら見ろよ!花火だ!』

「…え?」


ヒューッドォーン


そうだ、今日は花火大会だ…


『へへっ!お前、俺が死んでからここ来てないだろ?最後にお前と花火が見たかったんだよ!』

「……最後とかいうなよ…」

『え?』

「俺は嫌だ…亮太と最後だなんて嫌だ…もっとたくさん思い出作りたかったし、海だって行きたかった…っ…なんで、…なんで死んじゃうんだよ…」

『…ごめんな?蒼唯…でも、お別れじゃないからな!蒼唯の前に現れるのは今日が最後かもだけど…俺は毎年ここに花火を見に来る!だから蒼唯も大切な人を連れて毎年ここに来い!…っ…また、一緒に見よう…っ…』

「亮太…っ…分かった…じゃあ、また来年っ…!」


俺は涙をこらえて笑顔で亮太にそう告げた。


『あぁ!また来年っ!!』


そうして、亮太は消えていった…亮太の亡霊と過ごした4日間は俺にとって大切な思い出だ…



〜数十年後〜


「ぱぱ〜疲れた〜」

清亮(せいりょう)。もう少し頑張れ笑ここ登ればすっごい綺麗に花火が見れるぞ〜?」

「ん…頑張る…」


「ほら、ついたぞ。」

「うわぁ!めっちゃ高い!!すごいねパパ!…なにしてるの?」

「ん?パパの大事な人にご挨拶」

「…誰もいないよ?」

「いるんだよ。確かにここに」


な?亮太。また今年も一緒に見ような。

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