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生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第十四章

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本当の敵討ち

 嬀覧が徐氏の館に通い詰める様になってから、十数日が経った。


 その日の昼。

 徐氏の館に三人の男が来た。

「よくぞお越しになられました。感謝いたします」

「はっ。奥方様のご命令とあれば」

「亡き孫翊様には恩義があります故」

「お呼びとあれば、何時でも駆けつけます」

 徐氏にそう述べるのは徐元、孫高、傅嬰と言い、三人は孫翊の家臣であった。

 三人は孫翊の家臣の中では武勇に優れており、孫翊の信任が厚かった。

 余談だが、孫高は孫権達と同姓だが同じ一族ではない。

 徐元と徐氏は親戚であった。その縁で孫翊に仕えており、三人の中では特に信任が厚かった。

「して、奥方様。我らを呼び出された理由はなんでしょうか?」

 代表して徐元が徐氏に訊ねた。

 すると、徐氏は少し言い辛そうな顔をして、口を何度か開け閉めした後、ようやく語り始めた。

「夫の本当の仇がようやく分かったので、三人に伝える為に呼びました」

 徐氏が語った言葉を聞いて三人は耳を疑った。

「奥方様。それはどういう意味ですか?」

「孫翊様は辺洪が殺したと聞いております」

「その辺洪も嬀覧の手で斬られましたので、仇討ちは終わったのでは?」

 三人が困惑していると、徐氏は首を振った。

「それは間違いであったのよ。辺洪も唆されて、夫を殺しただけ。本当の仇は別にいるの」

「別に居る?」

「それは、もしかして嬀覧と戴員にございますか?」

 傅嬰がそう訊ねると、徐氏は頷いた。

「何だとっ!」

「しかし、それは真にございますか?」

 驚く徐元と孫高。

「その通りです。無論、そう思う根拠はあります」

 徐氏は少し前に孫河が自分の下に訪ねて来て、嬀覧と戴員が怪しいので調べていると教えてくれた。

 その後、何者かの手により殺された。

 それを聞いた徐氏は嬀覧を呼び出して、酒を飲ませながら自分に気がある様な素振りを見せた。

 最初は警戒していた嬀覧であったが、酒と徐氏の色香により絆されていき、重要な事を話し始めた。

 自分と戴員が辺洪を唆かした事と、隠れていた辺洪が見つけられた理由もべらべらと自慢げに話していた。

 そして、何故そんな事をするのかと訊ねると、嬀覧は笑いながら教えてくれた。

『実は、孫河を殺したのは劉表殿が放った刺客なのだ。そして、孫河が太守を務めていた廬江郡は未だに後任が選ばれず混乱状態。其処に劉表殿が軍勢を送り込み廬江郡を占領する。孫権が劉表の軍勢に目を向けている時に、わたしが丹陽郡で反旗を翻す。そうなったら、孫権は大きな痛手を被るであろうな。ははは』

 ほろ酔い状態の嬀覧がそう述べるのを聞いた徐氏は瓶を持っている手に力が宿った。

 だが、直ぐに自分の細腕では嬀覧を確実に殺せるか分からない事に気付いた。

 もし、殺し損ねれば自分だけではなく、孫翊との間に出来た子にも危害が加えられる事も考えられた。

 そう考えた為、その場は怒りを抑え嬀覧の相手をした。

「貴方達を呼んだのは他でもありません。今夜、嬀覧はこの館に来ます。その時に嬀覧を殺し、その後戴員を殺して、夫の無念を晴らして下さい」

 徐氏は頭を下げて請願してきた。

「奥方様。ご安心を。我らが必ずや、殿の仇を取ってみせましょうぞ」

「これで亡き孫翊様への恩義を少しでも返せるのであれば、喜んで働きまする」

「嬀覧を討った後には、戴員も討つ為には兵が必要ですな。わたし共の部下を呼び寄せます」

 話を聞いた徐元達は拳を握りながら、仇を討つ事を誓った。

 そして、直ぐに仇討の準備に取り掛かった。


 その夜。

 

 嬀覧は徐氏の館にやって来た。

 もう、自分に気を許していると思ったのか、護衛の兵は連れて来ず一人で来ていた。

 館の前に着くと、馬から降りて手綱を使用人に預けると、別の使用人の案内で部屋へと案内された。

 部屋に着くと、其処には座席も無く、ただ喪服を着ている徐氏だけが居た。

「これは奥方。今日は何かの余興でもあるので?」

 喪服を着ている事に驚いたが、もう自分に気を許していると思い込んでいる嬀覧は何か余興でもあるのだろうと思い、何も警戒していなかった。

 そんな無警戒な嬀覧に徐氏は鋭い眼差しを向ける。

「ええ、今日は少し変わった趣向を行おうと思いまして」

「ほぅ、それはどの様な趣向であろうか?」

 嬀覧が訊ねると、徐氏は手を掲げた。

 すると、物陰に隠れていた徐元達が出て来て剣を抜いた。

 抜身の刃が光るのを見て嬀覧は顔を青くした。

「夫の仇を討つ為に呼び寄せたわ。さぁ、大人しく斬られて、夫に詫びて来なさいっ」

「「「亡き孫翊様の仇、覚悟しろ!」」」

「お、おのれっ、よくもわたしを謀ったなっっっ」

 嬀覧は怒号をあげながら、腰に佩いている剣を抜こうとしたが、その前に徐元達が躍りかかった。

 嬀覧は抵抗すらできずに切り殺された。

 部屋を血で染め抜かれた後、首を斬られた。

「残る戴員の首を取り、孫翊様の墓前に供えるぞっ!」

「「おおうっ」」

 徐元達は返り血を拭う暇も惜しいとばかりに駆け出し、館から少し離れた所で待機させている兵達と共に戴員の屋敷に雪崩れ込んだ。

 戴員は逃げる事も出来ず、兵の手で討たれ首を斬られた。

 嬀覧と戴員の一族の者達も一人残らず捕縛された。

 全てが片付くと、徐氏は徐元達と共に孫翊の墓に赴き、嬀覧と戴員の首を供えた。

「仇を討つ為とはいえ、不貞を働いた事をお許しください。今世では誰とも再婚は致しませんので、それでご容赦を」

 徐氏は墓の前でそう詫びると、目から涙が流れだした。

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― 新着の感想 ―
[一言] さてさて、本当の仇かどうか知るのは陳留いる妖怪のみw元はといえば嬀覧と戴員の主を斬った孫権が全部悪いんじゃ…となるんだけれど。とても孫翊の仇討ちで丸くおさまる様子はない。ますます火種がちりち…
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