再会
曹操達が罵りあっている頃。
曹昂は陳留に到着していた。
政務も溜まっているだろうなと思いつつ、城内に入った曹昂は溜息を零していた。
一度屋敷に帰ろうと思ったのが、出迎えに来てくれた劉巴が鄴から客人が来ていると聞き、その者が司馬徽だと聞いて居る所に向かう事にした。
供は諸葛亮、龐統、馬良、最後に徐庶の四人であった。
劉巴の後に付いていくと、前から意外な者達が来た。
一人は馬統でもう一人は諸葛瑾であった。
諸葛瑾は鄴に居たのだが、司馬徽が陳留に赴くと言う話を聞いて、弟の諸葛亮に会えるかも知れないと思い、護衛の将として名乗り出て司馬徽と共に来たのであった。
「殿。お帰りなさいませ」
「馬統か。客人の相手をしてくれたのか?」
「はい。子瑜殿は別室で休むのが良いと思い案内しようと連れておりました」
「そうか。子瑜殿もお元気そうで何よりだ」
「曹陳留侯もお変わりないようで何よりです」
諸葛瑾は曹昂の推薦で朝廷に仕える事になったので、それなりに親しくしていた。
「良。久しぶりだな」
「これは仲常兄上」
「襄陽の馬謖からの文で、お前が孔明殿に付いていく事にしたそうだな」
「はい。素晴らしい才を持った方と思い付いていく事にしました」
「そうか。安仁はどうしている?」
「相変わらず方々を旅しております」
「そうか。偶には、わたしの方にも文を送ってきても良いだろうに」
馬統は久しぶりに馬良に会えて嬉しいのか笑いながら話しかけていた。
二人が話している横で、諸葛亮も諸葛瑾と話していた。
「亮。文でやり取りはしていたが、此処まで大きくなったのか」
「兄上。お久しぶりです」
「均は居ないのか?」
「はい。荊州にある家と田畑を守るよう命じましたので」
「そうか。お前も功をなしたのだから、呼んでも良いのではないか?」
「考えておきます」
四人は近況を話し合った後、馬統達は一礼しその場を離れて行った。
そして、曹昂達はある部屋の前まで来た。
すると、諸葛亮達は軽く身だしなみを整えだした。
それが終わると、部屋に入ると曹昂達は一礼する。
「お久しぶりです。水鏡先生。ご壮健そうで何よりです」
曹昂が代表して、部屋に居る人物に挨拶した。
部屋に居たのは、司馬徽であった。
「曹陳留侯もお変わりない様で何よりですな。好好」
司馬徽は笑顔で口癖を述べた後、諸葛亮達を見た。
「孔明。士元。元気そうだな」
「はい。先生もお元気そうで何より」
「鄴におられる曹丞相の下で才を振るっていると聞きました。流石は水鏡先生です」
「はっはは、曹丞相があまりにも厚遇してくれるのでな。その厚遇に応えるのも臣下としての役目よ。そして」
司馬徽は諸葛亮達の後ろに控えている徐庶を見た。
「久しいのう。徐福」
「お、おお、水鏡先生。まさかもう一度お会いできるとは、お懐かしゅうございますっ」
司馬徽を見た徐庶は、その膝元に駆け寄る涙で目を潤わせながら、手を取り頭を下げた。
「儂も久しぶりに会えて嬉しいぞ。好好」
司馬徽は笑みを浮かべながら口癖を言うのを聞いて、徐庶は懐かしさのあまりに涙を零していた。
その光景を見た諸葛亮と龐統の二人は互いを見て、笑っていた。
二人は苦労した甲斐があったという顔を浮かべていた。
その後、
司馬徽を交えて、宴が催された。
その際に、徐庶は名を改めた事を告げると、司馬徽は特に気にしていなかった。
ただ「ご母堂には伝えておくのだぞ」とだけ言っていた。
それを聞いて、徐庶はその通りだなと思い頷いていた。
やがて、夜も更けて宴がお開きになると、徐庶は龐統の屋敷へと向かった。
屋敷の一室で徐庶は待っていると、龐統は徐庶の母を連れて来た。
「・・・・・・母上。お久しぶりですっ」
徐庶は母の姿を見るなり、目から涙を流しながらその場に膝をついた。
泣いている徐庶を見て、徐庶の母は近づき涙を流して再会を喜んでいた。
二人が涙を流しているのを見た龐統はこの場に居ては邪魔だと思い、静かにその場を離れて行った。
翌日。
龐統が曹昂に徐庶と母が会えた事を報告した。
「それは良かった。お主も苦労した甲斐があったな」
「はっ。これも殿が骨を折ってくれたからにございます」
龐統は一礼すると、其処に護衛の趙雲が部屋に入って来た。
「失礼します。鄴からの使者が殿に文をお届けになりました」
「鄴から?」
何事だと思いつつ、曹昂は趙雲の手にある文を受け取った。
文を広げて中を改めると、文の送り主が曹操だという事が分かった。
「話したい事があるから、直ぐに鄴に来い。昨日戻ったばかりなのだがな」
何事だと思いながら曹昂はある程度の政務を終えてからでないと行けないなと思っていると、今度は別の者が部屋に入って来た。
「申し上げます。交州から使者が来ております」
「交州? 士燮が何かあったのかな?」
とりあえず、文を読んでみる事にした。
「何と書かれているのですか?」
「・・・・・・貢物を送ってくれるそうだ」
文には贈り物をする事が書かれていた。
「許昌と父上とわたしの元に送ると書かれている。凄いな。それだけ貢物を送るだけの品があるのは」
「荊州が朝廷の支配下に入ったので、問題なく送れるから送っているだけかもしれませんぞ」
「成程な。まぁ、とりあえずその贈り物を受け取ってから、鄴に赴くとしよう」
曹昂はどんな物を送って来るのか、興味が湧いていた。




