41部
外務省事務次官室
「陸奥さん、諸外国からの問い合わせが止まりません。
このままでは、取り返しのきかない状況になります。
早急に大臣や総理に事態を公表するように進言するべきです。」
資料をながめながら、沈痛な表情を浮かべた外務次官の陸奥昭正は
職員からの報告に頭を抱えていた。
「陸奥さん!」
返事をしなかったことに対して、職員が怒声まじりの声をあげる。
「聞こえているよ。
だが、この件をどうやって公表する?
日本人が外国で犯罪を犯したからと言っても、主権の届かない範囲では擁護もできないし、事件が事件なだけに無理に手を出せば更なる傷を負いかねないぞ?」
「ですが、既に我々はこの件を認知して質問にも答えている訳ですから知らなかったでは済みませんよ。
A国の時のようにマスコミが大々的に報道してしまえば、例の件も公にしなければいけません。
現状でわかっていることは少ないとしながらも起こっている事実だけを公表すれば、詳しくは調査中で乗りきれます。」
「マスコミが諸外国に直接コンタクトをとってしまうことだってありえるぞ?
こちらが公表しなかった情報を向こうが隠してくれるかはわからないじゃないか。
それに今回の資格試験で外務省からも何人か政治家になったわけだし、そこらとの連携をとりながら事態の進展を見守るべきだ。」
「後手に回りますよ?
政治への不信感は拭えていないんですから…………」
職員が言おうとすると部屋のドアが勢いよく開き、別の職員が入ってきて、
「大変です、陸奥さん。
テレビで例の件が報道されてます。」
陸奥は勢いよく立ち上がり、
「な、なんだと……………………?」
特別犯罪捜査課
『A国において発生した日本人による誘拐殺人事件について新たな情報が入ってきました。』
テレビの前に山本、上田、三浦、大谷がいて、全員がテレビに注目した。
『A国は犯人グループの個人名などは未だに公表していませんが、犯人グループの所持していた旅券は外務省が発行した外交官としての物であり、日本政府から派遣された外交使節の人間だったと発表したました。
A国の外務省が日本に問い合わせたところ、そのような使節を送った事実はないが、外務省の発券履歴を照合した結果、犯人グループの個人名に対して旅券を発行したことは事実であったと認める旨の返答が来たとのことです。』
アナウンサーが言い終わると上田が
「これってかなりヤバいですよね?
日本政府の外交官が要人を暗殺したなんて外交問題どころじゃないですよね?」
「外務省のパソコンがハッキングされて不正に作られた旅券だったのか、それとも、外務省内に犯人の一味がいて作った可能性もありますね。」
三浦が言い、大谷が
「これがもしA国に日本政府が暗殺者を送り込んだと判断されれば、日本の国際的な信頼は底まで落ちることになりますよ。
そうなれば、円相場は大幅な下落、貿易で多くの利益を得ているA国との関係が悪化すれば経済は破綻します。」
アナウンサーが
『更に、これはまだ確証が得られていない情報ですが、A国以外の国でも、同様に反日行動をとる人達が襲撃・殺害される事件が発生しており、外務省は問い合わせのあった国に対して返答を既に行っているという情報があります。
このような事態になっているにも関わらず、外務省はおらか、外務大臣や北条総理からもこの事実の公表はされておらず、日本政府への不信感は強まるばかりとなっています。』
「これが片倉の言っていた世界で起こってることだとすると、政府転覆の話も事実かもしれないと思えてくるな。」
山本が言うと大谷が
「総理や総監達が仕組んだことだとするなら、大きな問題ですけど、あの人達がこんなバレバレの事件を作るとは思えないですよ
何者かに陥れられていると考えるが筋ですね。」
「影山…………………か」
上田が言い、三浦が
「じゃあ、この犯人グループの公表されてない人達が今回の事件の関係者なんですかね?」
「大谷、外務省に連絡して、犯人グループに失踪している人達と同名の人がいないか聞いてくれ。」
「答えてくれますかね?」
大谷が不安そうに言い、山本が
「日本政府が主犯じゃなくて、利用されただけかもしれない、その犯人を探していると言えば、向こうから協力してくれるんじゃないか。」
大谷は電話にてを伸ばした。




