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split tears~西暦2055年香港劇場火災事故の真相~  作者: shiori@


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第三話『劇団ホリック・アルケミー』2

 真理と真守、夫婦揃って所属している劇団、ホリック・アルケミー。

 香港での公演が予定されるほど有名になったこの劇団は、劇団員のことをアルケミストと呼ぶなど個性的な部分もあるが、劇団の歴史はそう古いものではない。

 

 2030年代に発足した日本発の劇団、ホリック・アルケミー。最初期はスキャンダルで事務所ごと仕事を失った有名俳優たちを囲い込み、知名度を上げていったことが知られている。


 初期の頃は『ピーターパン』『フランケンシュタイン』など、有名作を自分達で一部脚本に手を加えながら稽古をつけて公演してきた。


 その中でも特に有名作となったのが『ハリーポッター』シリーズであり、劇中に登場する魔法を再現するため、実際に超能力を持った役者による演技が行われている(一般的では技術的な進歩による演出とされている)


 また、活動が軌道に乗り始め、俳優にも注目されるようになってくる頃にはオリジナル作品にも挑戦するようになった。


 その中にはリクエストの多い『ムーンチャイルド』という題名の舞台演劇があり、短い上演時間の作品ながら人気作だ。

 本作は宇宙移民が進んだ近い将来、月で産まれた超能力を持った子ども達が月に眠る亡霊達と戦う近未来SFを舞台にした作品で、超能力を持った演者が複数人、在籍していることで成り立つ、特徴的な演出が好評な作品である。


 今回の香港での舞台公演は『タイタニック』がメインで行われることが決まっており、チケットの売り上げも順調な状況だ。

 

 真理と真守はこの公演の前座も担当しているが、子育て中の身とあって、リハーサル開始までの期間、稽古は免除されている。 


 二人にとっても海外公演は重要な行事であることに変わりないが、劇団には初期の頃から参加しているとだけあって、リハーサルからの参加でも大きな支障はない見通しだった。


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