第十二話『空の彼方へ』1
中ホールから一時撤退を決めたライル達と、樋坂夫婦を殺害したレイラ達は一度合流を果たすが、予想外の事態に陥っていた。
「すまない、目を離した隙にミリアの居場所が分からなくなった」
アリシアはレイラ達の前に立ち、ライルが説明を始まる前に言葉を絞り出した。
羽佐奈達との戦闘前、安全策を取って中ホールの外で待っているようミリアには伝えていたが、中ホールから出るとミリアの姿は見渡す限りにおいて見つからず、その場から消え去っていた。
屍人を見掛けた衝撃で混乱してどこかに逃げ出しただけかもしれない。
しかし、可能性は他にもいくつか考えられる。
アリシア達にとっては屍人を発見した時点で中ホールに入って来なかった点も引っ掛かり、屍人に襲われた可能性も無視できない状況であることを確認した。
「致し方ない……アリシアよ。レイラと一緒にミリアを捜してくれ。
私は三人を連れて魔女の討伐に向かう。
屍人の存在は厄介だが、奴らは宿主を放ってはおけないだろう。
チャンスはまだ十分にある」
「分かりました。ミリアのことは我にお任せください、ファザー」
ライルは迅速に判断をしてアリシアに指示を出した。
仲間を見捨てるような判断はしない。
それに対してアリシアは納得して、疑問を抱くことなく返事を返した。
「そう重く考えなくていい。
ミリアを連れてきた責任は私にある。
お前はミリアを無事に捜し出すことだけを考えればいい」
責任感の強いアリシアを心配してさらに言葉を付け加えるライル。
しばらく隣にいなくなるアリシアのことを思ってのことだった。
「作戦を継続するだけでも危険な状態だけど、そう離れた場所には向かっていないはずだから、慎重に警戒しながら捜しましょう、アリシア」
「感謝します……シスター。
こうしてゆっくりしてはいられません。
早速、向かいましょう」
ファザーと慕うライルがいなくても、普段から愛情を注いでくれるレイラがいてくれる。アリシアは安堵すると共に感謝の念を強く抱いた。
今のところ、誰も大きな怪我を負うことなく任務は進んでいる。
唯一の心配事は行方不明になったミリアの安否に尽きる。
思春期を迎えるメンバーが多い中で、メンバー最年少のミリアは十三歳とさらに若く、精神的にも幼く甘えん坊な性格をしている。
ホラー映画に出てくるような屍人達が出現したとあっては恐れて闇雲に逃げ回っているかもしれない。
捜し出すのは容易なことではないが、早く見つけ出して安心するためにも、レイラとアリシアはミリアの捜索に向かった。




