第十話『鮮血に染まる光の渦は』4
同時刻で繰り広げられる、地下駐車場の戦闘は激しさを増していた。
両足に力を込めて、足の震えを抑えながら二丁拳銃を構えるポルフ。
その後方でまだ様子を窺うリファ。
レディアンは青白い炎を宿した両手剣を手に先行して仕掛けていく。
二人の子どもを持つ立派な大人の男性である真守は子ども相手に堂々とした立ち振る舞いで油断することなく、広げた手のひらから激しい炎を放出した。
ギリギリのところで迫る火炎を回避したレディアンは首を切断させようと剣を振り下ろすが、難なく回避されカウンターの鉄拳を受けて足元に転がった。
「レディアン!」
「てめぇ! 容赦はいらねえな!!」
悲鳴のような声を上げるリファ。
ポルフは怒りの表情に変わり、得意の早撃ちで魔銃を撃ち放った。
両手を正面に伸ばし、炎のバリアを展開して防ぐ真守。
(――連携を高めないと、この人には勝てないっ!)
二人が得意とする武器の行動が見事に防がれていく。
それを見たリファは戦闘における経験の差を実感させられた。
「怖い……どうして人間同士で殺し合うの……。
ダメだよ……こんなことのために超能力を使ったら」
怯えた表情で駐車された車の影に隠れて戦闘する姿を覗き込む唯花。
到底現実とは思えない光景が目の前に広がっている。
火災から逃げようとしただけで巻き込まれてしまった唯花は邪魔にならないよう隠れているしかなかった。
「何が目的か知らないけど、向かって来るなら死んでも詫びないわよっ!」
ポルターガイストを引き起こすことの出来るサイコキネシスの超能力を持った真理は手元からトランプを取り出し、手裏剣のように次々とレイラに向かって飛ばしていく。
杖を手にしたレイラはバリアを張って防ぐと、赤い宝珠に杖の先端を入れ替え、トランプ達を一気に燃やし尽くした。
取り付ける宝珠によって属性を変える力を持つレイラ。
これにより多彩な戦術を可能にするレイラは力強い瞳で真理の攻撃を防いでいく。
燃やすことの出来ないナイフを取り出して、投げ放った際には、緑色の宝珠に切り替え、風の力で抵抗して見せるレイラ。
こうしていては埒が明かないと不利になった真理はこれまで以上に魔力を体内から放出し、一気にケリを付ける覚悟を決めた。
――ここまで防いでくるなら仕方ないわね。全力で行くわよ!!
気迫が伝わってくるほどの魔力の放出。
レイラはそれに対して黄色い宝珠に入れ替えて、意識を集中させた。
――神よ……ここで天に昇るわけにはいきません、私に聖なる光を分けてくださいませ。
杖に魔力を集中させていくとふわりとレイラの身体が浮き上がり、幻想的な光の羽が背中に浮き上がっていく。
危険な予感を感じながらも真理は立ち止まることが許されない。
両手を横に広げ、全力の力を込めて両手を抱き締めるように内側に寄せ、レイラに向けて浮き上がった二台の自動車を両側から差し向けた。
勢いよくレイラに向かって投げ飛ばされていく自動車。
二台の自動車がぶつかり合う物凄い衝突音と一緒に自動車がコンクリートの上を無残にも転がっていく。
飛んでくる自動車の位置関係を掴み、地上に移動していたレイラは無傷のまま杖の照準を既に真理に向けていた。
狙いが不発に終わった真理の攻撃。
研ぎ澄まされた精神力で自動車を躱し、チャージを完了させたレイラは光の砲撃を放った。
一直線に魔力を放出したばかりの真理に向かって高熱の光が押し寄せる。
薄暗く乾燥した地下駐車場は一気に眩い光に包まれ、視界が閉ざされていく。
次に視界が開けた時には、真理は傷ついた身体で地面に倒れ、衣服もボロボロに焼け焦げていた。




