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女子校で男子は僕だけですが、言霊チートがあるので問題ありません  作者: 黒海苔


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6/8

四話:登校

そして朝ごはんを食べ終わり、ゆっくりしていると学院の登校時間になった。


「じゃあ、いってきま〜す」


「いってきます」


「「いってらっしゃい」」


 ◇


 二人で通学路を歩く。


挿絵(By みてみん)


「もうすぐ九月なのに、まだ暑いねぇ〜」


「うん。そうだねぇ〜」


 この街は暑い。

 村にいた頃は、もう少し涼しかった気がする。


「えへへ」


「何、急に笑って……」


「だってさ、お兄ちゃんとはいえ、男の子と一緒に登校するなんて夢みたいだから」


「昨日の始業式も一緒に登校したでしょ?」


「昨日は街の案内が中心で、あんまり話せなかったし……それに、ちょっと緊張してたから」


 陽菜は少し照れたように笑う。


「昨日は、お兄ちゃんと登校するの恥ずかしかったけど……今日はなんか、恥ずかしいって気持ちよりも、嬉しいって気持ちの方が大きいかな?」


 朝、起こすときに使った言霊が効いているのかな?


「男の子と登校するのが夢みたい、って言ってたけど。陽菜は彼氏とかいないの?」


「か、彼氏は、いないよ!」


 陽菜は慌てたように手を振る。


「だってほら、私女子校に通っているから、いい出会いがないの。ああ、白馬の王子様現れないかな〜」


 そして、じっとこちらを見る。


「そういうお兄ちゃんはどうなの?」


「僕? 僕も彼氏はいないよ」


「違うよ!?」


 陽菜が思いきりツッコむ。


「お兄ちゃんの場合は彼氏じゃなくて彼女でしょ!……いや、でも多様性で彼氏がいても? でも妹としては、お兄ちゃんに彼氏がいるのは嫌だなぁ〜」


「多様性?」


「うん。なんか最近は、身体は男だけど、心は女みたいな人がいるの」


「あ……」


 それ、多分。


 僕たちの村の誰かが、この街に来たときに男の人へ

「女になれ」って言霊を使った影響です。


 ……もしそうなら、本当にすみません。


「何? どうしたの?」


「その……身体が男だけど、心は女っていう人がいるのは、この辺の地域だけ?」


「いや、違うよ。世界中にいるよ」


「それなら良かった」


 じゃあ、多分、僕たち言霊使いのせいじゃない。


 僕たちの村の人は、買い出しに来るとしても、この街くらいまでだ。もし僕たちが原因なら、世界中にそんな人がいるのはおかしい。


「良かったって何?」


「何でもないよ……気にしないで。それより、世界中にそういう人がいるって、どうやって知ったの?」


「普通にニュースだけど……」


「ああ、そうなんだ……」


 ニュース。


 そういえば、村の外にはインターネットというものがあるらしい。世界中の人と繋がれる、とても便利なものだとか。


 もしそれを使えば、言霊を世界中の人に使うことだってできるのだろうか。


 ……いやいや。


 そんなことする人、村にいるわけない。


 うん。きっとそうだ。


 僕たちは悪くない。


 世界は、僕が思っているよりもずっと広くて、複雑なんだ。


「それでね、ニュースで言ってたんだけど」


 陽菜が思い出したように言う。


「今まで普通に身体が男で、心も男だった人が、突然心が女になった、みたいな人も現れているらしいのよねぇ〜」


「あ、それって……」


「何? どうしたの?」


「……この話題はやめとこう」


「急にどうしたの? まぁ別にいいけど……じゃあ、そうだねぇ〜。あ、アレの話なんだけどさ……」


 こうして僕たちは、学院に着くまで、陽菜と何気ない話をしながら歩いた。


 ◇


 そして学院に着いた。


 昨日は僕がこの学院に来たことでかなり騒がしくなったが、言霊の影響もあってか、今日は比較的静かだ。……それでも所々、ざわざわしているけれど。


「昨日の転校生、近くで見ると意外とかっこよくない?」


「うん。あれ、隣にいる人って彼女さん?」


「いや、あの子は確か妹だったと思うよ……」


「妹さん。いいなぁ〜。こんなかっこいいお兄ちゃんがいて……私もイケメンなお兄ちゃんが欲しい!!」


「わかるー!」


 ……うーん。


 あまり内容ははっきり聞こえないけど、なんだか落ち着かない話題な気がする。


「やっぱり、お兄ちゃん注目されてるねぇ〜」


「そうだねぇ〜。まぁ、何日か登校したら、この騒ぎも落ち着くでしょ……」


「うーん。そうかなぁ?」


 陽菜は少し首を傾げた。


「じゃあ、私は一年B組にいるから。困ったら訪ねてきてね!」


「うん。わかった。じゃあ、また」


 そう言って陽菜と別れ、僕は自分の教室――二年A組へと向かった。


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