五十四話『片付けってふとやりたくなってふと辞めたくなるよね』
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江藤、光太郎、ハツネは仮住まいから増築が完成した喫茶に戻る準備を進めていた。
「これで俺もまた喫茶の店長か」と段ボールにエロ本やらエロ本作家のサインやらを突っ込みながら呟く光太郎。
江藤は、「アンタの荷物って本当に欲望しかないんだな」江藤は小説やら学習教材やらパソコンやらを段ボールに入れながら光太郎に言った。
ハツネは、「ダメガネ~光太郎~荷物入らへん~」と隣の部屋から声を出すハツネ。
そこにはコ●トコのバカでかいクマのぬいぐるみが。
「うっそだろ⁉」と驚きの声をあげる光太郎。
江藤は「そんなもの捨てなさい」とハツネから引き剥がそうとするが、「ダメに決まってるやろ⁉お友達やで‼捨てられへんわ‼」とハツネは大きな声でクマを守る。
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「で、でもそんなのいつの間に買ったの?」とハツネに尋ねる江藤。
「ユニバースカードリーダーに変換してマナのアネゴから貰った」と江藤に答えるハツネ。
「ならさっさとカードに戻しなさい」と言う光太郎に、「やだああああ‼私のクマや‼名前ははまや●ん‼」ハツネが言うと、『は・ま・や・●・ん?』と光太郎と江藤は声を合わせる。
二人の脳内では赤いシャツを着た小太りの芸人とやたら細い芸人が浮かぶ。
「8・●秒バズーカでーす。お願いしまーす‼」「ラッ●ンゴ●レライ」
光太郎と江藤の脳内でやたら動き回るその二人。
ボーッとする江藤と光太郎に、「なにしとんの?」とハツネは冷めた目を向ける。
『8・●秒バズーカ…』と声を合わせる光太郎とハツネに、「ちゃうわ‼」とツッコミを入れるハツネ。
「でもね、お嬢さん、はまや●んって言ったら大半はそうなるのよ」光太郎が言うと江藤も、「そうだよ、はまや●んって言ったら僕らににとってそっちだよ」とZ世代の江藤も言う。
「せやけど…」とハツネも迷いの表情を見せる。
「語感めっちゃええやんか、はまや●んやではまや●ん」と芸人の名を繰り返すハツネ。
「ねぇ、そろそろ規制音が大変だから辞めませんか」と言う江藤に、「そうだな」と光太郎は頷く。
ハツネは「はぁ…しゃあないなあ…フレッシュ・ピーチ・サンシャイン‼」と言いながらユニバースカードリーダーをクマのぬいぐるみに向けながらボタンを押し、クマのぬいぐるみをカードに変換する。
光太郎は、「あ~それわざわざ言わなくてもいいよ」とハツネに言う。
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ハツネは「なんでや⁉」と驚いたような表情を浮かべる。
「だって、あれボタン押すのと音声入力で反応してるからボタンかマイクさえオンにできれば何言っても反応する」と答える光太郎。
江藤は「え⁉」と目を見開く。
「そういう現実的な仕組みだったんですか⁉僕らの胸から出てきたのに⁉」と言う江藤に、
光太郎は「ユニバースカードリーダーってのはな、俺たちの胸から出てきたように見えるけど、俺たちが覚悟決めた瞬間に宇宙警察ステーションがモニターで設定して秒で宇宙から転送しているだけだ。宇宙エネルギーっつーけどインターネットみたいな電波で宇宙と脳が繋がっているだけで、宇宙の生命力をソーラーパネルみてぇなやつで集めて俺たちが借りているようなもん。つまり半分人工物。そもそも超常現象とかあると思ってんならバカだ。自分の潜在意識が欲しい‼これならかっこいい‼と思った能力を宇宙の生命力を使って変換すんだよ。つまり、ユニバースカードリーダーはその電波と接続するためのルーター。ってことになるな」と説明する。
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「もう片付け面倒やし一旦ヒ●アカみぃひん?」とビデオディスクをビデオプレイヤーにいれるハツネ。
「いいね、僕も疲れたし一度休憩しようか」と江藤もハツネの準備に付き合う。
説明に興味なさげな二人を見て、「聞け!」と光太郎は叫ぶ。
だが、この説明を覚えていたことに違和感を持ち、
光太郎は、
俺が忘れてんのは出生に関する事と幼少期の事と最終戦前後の事だけか。
と自分が持っている情報を改めて整理する。
更に先日あったダーククイーンからの干渉を思い出す。
光太郎は以前似たような事があったと頭を抱え掌で前髪を少しあげながら思い出そうと悩む。
だが、「光太郎さん?光太郎さんも一緒に見ましょうよ」と江藤に誘われる。
光太郎は、「いいのいーの」と言った後、「俺ァ片付けで精一杯なんだよ」と子供たちから離れ片付けを再開した。
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光太郎の割には、綺麗に片付けが出来ている。
増築と言っても、普通の工事だと七か月ほどの時間がかかるので今回は選ばなかった。
代わりに光太郎が佐野本部長と相談して選んだのは、宇宙人による工事。
これであれば数日~一か月弱で終わるらしい。
喫茶の増築、オカマバーの増築、全員の新設を含めて三階建てから五階建てへとビルが進化。
新たな戦士の拠点となる場所。
そのため光太郎と佐野本部長はかなり真剣に話し合い、外装から内装までを考えた。
さらには看板までリニューアルして、オカマバーが原因で離れないようにデザイナーまで雇った。
これが拘りだ。
さらには佐野本部長の要望で対クロウサギ戦闘兵器を置ける離れまで用意した。
かなり、空間が窮屈だったが、何とか問題なく設置が出来た。
ただのビルじゃなくなった。
…佐野本部長のマネーはどこから来ている?なぜそんなに金持ちなんだ?
ふと、そんな疑問を抱く。
家が金持ちだから、と言えばそれまでになってしまうが。
光太郎は考えを巡らせるのだった。




