五十二話『もう折り返しだってよお前ら‼はりきっていこーぜ‼』
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ダークマスターが杖を鳴らすと、ロビー全体が静まり返る。
「解散‼」
ダークマスターの声と同時に、多くのダーク戦士たちが解散し、自室に戻っていく。
「でもあの色男に惚れないわけないよなお妃様も」
というモブ戦士に、マツは「顔見た事あるのかよ」と尋ねながら自室に戻ろうとするが、
その首根っこをダークマスターが捕まえる。
『マーツ?』
名前を呼んでいるだけなのに逃れられない威圧感。
マツはその威圧感に恐れながら振り向き、ダークマスターに視線を合わせる。
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指令室。
マツは「つ、つまり、お妃様もダークマスター様もお互いに興味が無い、と」と状況を把握しようとする。
ダーククイーンは「こんな男を好きになると思うか? この私が」と横で腕を組んでいる男をバカにするように嗤う。
ダークマスターは椅子に座って腕を組みながら『私もこの女と同じ意見だ。こいつのことなど一生好きになることなどない』ときっぱり否定した。
マツが跪いて「なんだ、ならよかった。じゃあさっき見たことは忘れます、申し訳ございませんでした」と謝罪すると、ダークマスターは『嗚呼……気をつけろ』とそれ以上の追及はしなかった。
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「え?」とマツは目を丸くする。
「斬首とか、切腹とか」と言うマツに、『俺がミドハラなら、やっていたかもな』とダークマスターは答えた。
「ダークマスター様……」とマツはその顔を見つめる。
『お前は面倒なやつだが、忠実なだけまだいいよ』とダークマスターが伝えると、
マツは「ムクロの昇進の時だけは反対してしまいましたが、そういう所が私の至らない点だと痛感しました。ダークマスター様に認められるために、私マツ、これからも忠実にお仕えしてまいります」と誓った。
『はい、お疲れさん、部屋戻っていいよ』
微笑みマツの頭を撫でるダークマスター。
「ほわああ……」
マツは頬を赤らめ、「し、失礼します‼」と頭を下げて指令室を出ていった。
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後日。如月高校では、春華が授業を聞いていた。
教科書とノートを開き、先生の話を真剣に書き写す。
放課後。
春華がカバンを抱えながら教室から出ると、茶髪でポニーテールの女子生徒とすれ違う。
他校の制服。
隣のクラスに最近現れた転校生だ。
だが春華は様子がおかしい事に気づく。
何かから逃げるように彼女が廊下を早歩きしていたのだ。
「……」と不思議そうに眺めていると、
「あなた、青野さんよね? 学年一位の」と他クラスの生徒に捕まった。
「何でしょう……」と春華は首を傾げながら答える。
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「クラスメイトからの評判下げたく無かったらあの子と関わらない方がいいわよ」と隣のクラスの女子生徒に言われてしまう。
「どうしてそんな酷いことを言うの?」という春華に、もう一人の女子生徒は「あいつ不良だよ。転校して三日でここの生徒に喧嘩吹っ掛けまくってるっていう」と状況を説明した。
そんな風には見えなかったと驚く春華は「まぁ、野蛮なことを……」と、先程の少女の陰口にならない程度に答える。
「あの子の名前は野々原翠(野々原翠)。態度も悪ければ手も出る。癇癪持ちって奴?まぁ、関わらないほうが吉ね~」
女子生徒たちはそう説明すると去っていった。
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春華が下駄箱に行くと、がっくり頭を下げながら、翠が「あ~、絶対嫌われちゃったよね……」と落ち込んだような表情を見せていた。
「どうしました?」と靴を履き替えた春華が話しかけると、
翠は「だ、っだれ⁉」とおどおどしながら視線を合わせる。
「あ、ごめんなさい、私、青野春華。あなたの隣のクラス。転校生の野々原翠さん、よね?」
春華が尋ねると、翠は「嗚呼……野々原翠は私だけど」と答えた。
「じゃあ、お友達になりましょ♡」
という春華に、翠は「はァ⁉」と驚く。
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「私、お友達が少ないから、翠さんの噂を聞いて仲良くなりたいと思ったの」
春華が優しい笑みを向けると、
翠は「わ……私に構うな‼」と春華を突き飛ばし走っていく。
春華は「嗚呼、」と何かを確信する。
あの子、悩み事がある、と。
校舎から走り去る翠を眺め、春華は学校の門から出ていく。
すると、看護師と話しながら歩く怜士とすれ違った。
「ん?」と振り返った春華は「このオーラ、以前どこかで……」と呟いた。
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場面は変わり、宇宙警察ステーション。
カーガがカメラの映像を直視する。
モニターの先には、あの茶髪の女の子。野々原翠だ。
「この子の数値……。間違いない。戦士の素質がある」
カーガの言葉に、黒塗りの記録を解読していたマナが振り返った。
「あれ? 如月高校から出てきたみたいね。あそこはスーパーブルーがいる学校だけど」とマナが説明すると、
カーガは「なら尚更最高ね。連絡もしやすいわ」とモニターを切り替えた。
「何だか江藤くんを中心に全員数値が乱れてるわ」というカーガに、
マナは「ダーククイーンから何らかの干渉があったって報告は江藤くんから貰ってる」と答える。
「クロウサギが?なにか企んでるの……」とカーガは呟き、
マナもまた考え込むのだった。




