四十七話『相性悪い奴とやる社交ダンスに価値なんて微塵もねぇよ』
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マツ、帰宅。
地元の惑星ではずっと芸能界にいた故、はじめてのアルバイト。
報酬の札束が入った茶封筒を抱えながら、自分の部屋へと戻る。
勿論マツの部屋はダークマスター様たちが寝泊まりする部屋とは違ってショボい。
ただ自分の部屋があるだけで有難いといったところか。
部屋にはバドミントンのラケットとユニフォーム。
どういうわけかマツという男は地球に来てからスポーツにハマったようだ。
実はこっそりミントンのクラブにも入り、休日は伸び伸びと過ごしていた。
「ん~。いつかは僕もダーク●●の称号を…。ダークボンサイとか、ダークミントンとか、ダーク…」
ラケットを磨いていると『入るぞ』とダークマスターがマツの部屋へと入ってくる。
「ダークマスター様‼」と敬礼するマツ。
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ダークマスターは『お疲れさん』とマツの頭を撫でる。
「ダークマスター様ァ…♡」と心酔するマツ。
『これからも私のために動いてくれ。それと、お前にもう一つ仕事がある。』
ダークマスターの言葉に、「仕事?」と首を傾げる。
『メカ的なやつ作ってくれる人を探してくれ。ほら、こっちにもあったほうがいいだろう?あっちは確実にレッドを筆頭に強くなっていくんだ。だから、あの、早急に頼む』
急なお願いをマツにするダークマスター。
「ひょっとしてダークマスター様…」
マツはダークマスターに疑問を呈する。
「ロボ使う気最初無かったんですか」
マツの疑問にダークマスターは『…』と沈黙を貫く。
レッドを絶望させたいと言いながら本心では裁かれたいダークマスターはロボへの対策など一切組んでいなかった。
「図星なんですね、ダークマスター様ならすべて完璧に組んでくるものだと思ってました」
マツの言葉に、ダークマスターは『失望させたか』と問いかける。
マツは「いいえ」と首を横に振った。
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「ダークマスター様は完璧超人で誰よりも強くて頭も良くてってイメージで」とダークマスターを褒めつくす。
ダークマスターは『そんな風に私の事を思っているのならお前は私を理解できていないんだな』と複雑そうな表情を浮かべる。
「えええ⁉失言でしたか⁉失礼しました‼私マツ、ダークマスター様から頂けたお仕事完璧にこなします‼ですからどうか、どうか幹部の称号を‼」
と涙目でダークマスターの足に縋るマツを、ダークマスターは自身の足から振り下ろした後、
『欠員等が出た場合に要検討させてもらう』と答えた。
マツは「ダークマスター様あああああああ‼」と再びダークマスターの足にしがみつく。
『わッ…辞め…』
バランスを崩したダークマスターは、後ろに倒れてしまう。
ダークマスターの仮面が転がる。
「あ…」
ダークマスターの素顔を見てしまうマツ。
ダークマスターはすぐさま仮面を被り、マツに青色の銃を向ける。
『斬!!今見たものは忘れろ!!』
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そう言ってマツの頭に手を乗せ洗脳するダークマスター。
「はッ…」
マツはこの数秒間の記憶を失う。
ダークマスターは、『ふう…』と安堵した後、
『さっき頼んだ事、やっといてくれ』とマツに再び伝えた。
マツは「はい」と答えた後、何処かへ消えていく。
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場面は代わり、宇宙警察ステーションでは、佐野本部長が「うーむ」と頭を悩ませていた。
「国連が英雄防衛計画の指示を出したのに外国では大事になっていない事に違和感があるな…。外国は高次元体の作戦にとって一切の関係が無いのか、それとも、狂ってしまったのは私のほうなのか」
呟く本部長に、「佐野本部長」とマナが敬礼しながら入ってくる。
「黒塗りの記録の解読が出来ました。解読したのは超能力者のユリン・ゲライ氏。国連の許可を得ず勝手に調査依頼した事を謝罪致します。ユリン・ゲライ氏は髑髏の姿の宇宙人です。黒塗りの記録には、現在の私たちの状況と類似しているものの数点が異なっている結果が記載されています。これは、ほぼ平行世界が実在する証拠と捉えていいかと。しかしその場合、迎える結末が最悪。回避法を早急に考える必要があります。宇宙数値のバランスが乱れた原因はやはり…」
というマナに、本部長は「いや、まだおかしいのは私の可能性も否定出来ない。」と顎に手を当てながら言う。
「私も、同じ考えを持った事があります。ですが佐野本部長。この世界を動かしている張本人が私や本部長だったりする場合、こんなに我々宇宙警察にとって不利な状態で平行世界を生成するでしょうか?理不尽な制限をもって我々が揃って転移してきたなら兎も角。後者だとしても我々の意思で異世界に転移した。と言うより第二の高次元体が私たちを必要としてこの世界を構築した。と考えるほうが自然です。佐野本部長、いかがでしょうか。黒塗りの記録では最期、ロイヤルブラックとロイヤルホワイトがダークマスターに敗れた事になっています」
マナの報告を聞いた本部長は、「敗れているはずなのになぜいま光太郎と小次郎が生きているんだ」と必死に考えを巡らせる。
「黒塗りの記録は現在の記録以上に保存されており、ユリン氏のコンディション次第で解読可能です。」
マナが報告書を本部長に渡す。
報告書を受け取った本部長は「わかった、こちらで国連に連絡する。お前たちは調査に勤しめ」とマナに返事した。
マナは「はッ」と少し変わった敬礼をする。
「なんだそれは」と言う本部長に、マナは「カーガさんと考えました。宇宙警察での敬礼です」と答える。
本部長は「ビジネスの場に個性などいらん。真剣にやれ」と言うものの、マナを信頼しているような笑顔を見せる。
マナは「私ハルカ・マナ、必ず戦士たちの運命を回避してみせます」と正規の敬礼をやり直し、指令室から出て行った。
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刻一刻と決戦が迫る。
全ては争いを終わらせるため。
この如月市に平和を取り戻すため。
そしてこの世界の全ての不思議を明かすため、宇宙警察は毎日稼働する。
…宇宙警察ステーションのカーゴベイでは、完成した一人一台用意された機体が、静かに時を待つように佇む。
どうやらこの宇宙船は最期、クロウサギのアジトに特攻するつもりなのだろう。




