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『宇宙警察L戦士~セルフで異世界構築してラスボスとして君臨してみた~』  作者: ミタラリアット


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四十六話『寝る前に宇宙の事考えた事一度くらいあんだろ??』


 コンビニから出てきたダークマスターは、コーヒーを一杯飲む。



 メモ帳の紙切れには、【カムパネルラランド】という文字が刻まれていた。



 ダークマスターが市内でもバス圏内のコンビニにいるのには当然理由がある。



 葛城怜士を管理する医者との接触。



 通常であればなかなか難しい事かもしれないが、この世界はこの男の箱庭。



 一部の高次元体の介入以外は全て想い通りなのである。



 だから、第三者は基本この男の掌の上。



 いくら宇宙人であれど、架空の世界ではダークマスターには逆らえない。



 だが、唯一この女だけは。



 横でタピオカジュースを飲んでいるこのダーククイーンだけは想定外だ。



 後はこいつが連れている黒猫も。



 「おい。ダークマスター。強いのがあの病院にいるらしいな。お前負けるんじゃないか?それとも、全て見越した上での幽閉か?」





 黒猫は渋い声で尋ねる。



 相変わらずエ●ァの司令でもやってそうな声だ。



 または黒ずくめの男かまたはホームレスか。



 黒猫なんて可愛らしいポジションなのに、

声が渋くてマスコットキャラクターとは言えない。



 ダークマスターは、「後者だ」と答える。



 ダークマスターの答えに、「ほぉ。余計なものは排除というわけか。ならレッドが覚醒した時点でピンクやブルーだっていらないだろう」という黒猫に、



  「なるべく規定の順序通りに事を進めたい。だが桁違いの強さを持つ奴は俺の計画には必要ない。あれは構成上発生回避不可能な障害だ」とダークマスターは答える。



 「バカなやつだ。ならサユリやヒロムだってこの世界に配置する必要は無いじゃないか」



 黒猫が鋭い指摘をすると、ダークマスターは「勝手に俺の世界に干渉したんだ。郷に入っては郷に従えと言うだろう?俺に余計な口出しをするな」と冷たい目で黒猫を見下ろす。



 黒猫は、「にゃー」と鳴きながら、ダーククイーンの肩に飛び乗った。



 「怖いぞ。さすがダークマスターなんて呼ばれているだけあるな。だが、なんで態々敵役を選ぶんだ??自分がヒーローになって業を清算するやり方だってあると言うのに……おっと。口出しは良くないって言ったばかりだったな」




 ダーククイーンの戯言に、ダークマスターは


「俺に英雄を名乗る資格は無い」と答え花壇から落ちた花びらを大切そうにポケットに入れた。


  「あの日の後悔か」と尋ねるダーククイーンに、


ダークマスターは「スズランじゃないけどな」と乾いた笑みを浮かべた。



 「そうか、あの花はスズランだったな」とダーククイーンも思い出しながら答える。



  「ダークマスター様。もう時間が無い。安全にこの状態を維持できるのはあと二ヵ月程の時間が限界だ。お前が作り出したこの多元空間は意識の重複により宇宙という状態で管理するのが無理難題になってきている。今回でケリをつけなければお前の魂にその反動が来て転生もできなければ地獄に残ることも、ましてや天国に昇ることさえも許されず、今まで輪廻転生を繰り返してきたすべての意識が消えてしまう。お前の過去生まで無駄にしたくないのなら、それ相応の対策をしろ。あるんだよな? お前には。既に見えている結末が」



 ダークマスターは「嗚呼」とポケットに手を入れ前を歩きながら頷く。



 飛び出してきた自転車に乗ったおじいさんに「あぶねぇぞ‼」と怒鳴られると、


ダークマスターは少し苛立った様な表情を浮かべた後、 スマートウォッチに向かって「斬」と呟く。



 「はぁ⁉」と怒鳴るおじいさんだったが、その場で粒子となり消失し、そこには自転車だけが残った。



 「はじめからお前に従わない人間など排除すればいいものを」と黒猫が言うが、


ダークマスターは「全員が全員俺にイエスと言うのもつまらないものだと学んだ」と答えた。




 住宅が立ち並ぶ普通の歩道を歩く二人と一匹。



 変哲のない住宅街には、少し浮く風貌だ。



 否、少しどころじゃないだろう。



 病院で医者と面会した際、ダークマスターは宇佐美という養護施設の管理者を名乗った。



 保護者みたいなものだ。



 病院が施設を調べないよう、関係者全員の意識管理も済ませた。



 だが、確かにこの世界はダーククイーンの言う通り重複している。


 一重や二重じゃない。



 何重にも何重にも重なっている。



 その多層になっている平行意識を渡り歩く事で新たな世界を構築してきたのだ。



 何度も、何度も世界のはじまりと終わりを繰り返して。



 佐倉光太郎をはじめ戦士たちは自身が構築する世界の主要人物として、


無意識の間にいくつもの世界でその存在が引き継がれた。



 記憶が曖昧なのは、その都度、現状に適応するために光太郎たちの意識を洗脳してきたからであろう。



  クロウサギのアジトへ帰ると、サルジマが「おかえりなさいませえええええええ」とメイド服に身を包みながら酒を渡して接待する。


 『なんだそのふざけた服は』


ボイスチェンジャーをオンにしながらドン引きしたような様子を見せるダークマスターに、


ミドハラは「大将がアイドル好きだからアイドルメイド喫茶に連れて行ったらこれだ」と溜息を吐く。


 「はぁ……」ミドハラの溜息で苦労が伝わる。


  「サルジマくんのアニマルウッキードンペリはいかがですか~? 萌え萌えきゅー…」


と言いかけるサルジマの尻を、ダークマスターが長い足で蹴とばす。


 「はうッ♡」と声をあげるサルジマに、


ダークマスターは『メイド喫茶でドンペリは出ない。メイドごっこは勝手にすればいいが再現するなら真面目に再現しろ』と淡々とツッコミを入れ、指導する。



 「ダークマスター様ァ!」サルジマは瞳に涙を溜めた。


 ミドハラは「認めるのか??蹴り飛ばした割に優しいな」とダークマスターの言動に驚く。


 『飴と鞭の教育だ』とミドハラに答えた後、 ダークマスターは指令室へと続く階段を上っていった。

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