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『宇宙警察L戦士~セルフで異世界構築してラスボスとして君臨してみた~』  作者: ミタラリアット


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四十三話『なーんか理屈で通せない事ってあんま好きじゃねぇんだよなァ俺』



 ブルーは「すごい…あの怪物を一撃で…」と、黄色の戦士が去っていった方向を見つめた。



 街も、電流を受けていた人々も皆、元通り。


ヒーローたちと直接的な関わりが無い者たちは、前後の記憶が、消える。


 「あれ、なんでここにいるんだっけ」と戸惑う人々を後に、五人の戦士たちは喫茶の中へと入っていく。





  「お疲れ」



 サチコに言われては、五人は変身を解いた。



  春華は制服になった途端、「あ‼学校‼忘れてた‼」と青ざめた表情になり、「ごめんなさい行ってきます‼」と四人とサチヨに頭を下げる。


  学校へ駆け出す春華。



  小次郎は「元気な娘だ」と高らかに笑った。



  「じゃあな」と支度を済ませた小次郎も三人に手を振り、自宅の方向へ歩いていく。




  「…あの黄色のやつ、いったい」新たな戦士の正体が気になり、呟く光太郎。



 光太郎は具現化したインカムを装着し、「マナ、おいマナ」とマナへ連絡を取る。



  マナは、『はいはい~』と気楽にコールを取った。



 光太郎は「はいはいじゃねえよ⁉なんだあの黄色の戦士⁉」とマナを怒鳴った。



 マナは、『うふふ』と怒鳴られているのに嬉そうな笑顔を見せる。



 『気になる~?』とふざけた反応をするマナ。




 『あの子が昔、匿名にしてくれって言ってたからあんまり詮索しないであげて。実はね、あの子はブラック、つまりあなたが覚醒する前から極秘裏に活動を続けてきた所謂元祖宇宙警察‼ずっと黙っててごめんね?あなたが世界初の戦士って言い続けてきたから自分でも違和感凄いわ!実質元祖はあの黄色い子だけど、あの黄色い子は変身や必殺技に宇宙エネルギーを使ってないの。ブラック。あなたたちはユニバースカードリーダーに内臓された宇宙に保管されるあなたたちの全ての因果の集合体、ユニバースエネルギーを即座にヒーロースーツに変換して変身しているんだけど、それは理解できるわよね?』



  マナに問われては、、「ああ…言ってたな…」と光太郎は頷く。


 『でも、スーパーイエローは違うの。宇宙警察ステーションに勤務する者たちから採取した人工エネルギーをスーツに変換して変身している。つまり宇宙警察のプロトタイプ。エネルギーを利用して変身できることを証明した実験台なのよ。だから厳密には宇宙警察って枠組みには入らない。彼が極端に強いのは人工エネルギーを使っているからこそなんだけど、その人工エネルギーは身体への消耗も激しいの。強力な味方になってくれるはずだけど、彼は一撃に全てを使うタイプ。防御力も回復力もあなたたちの数倍高いけど、戦いにはあまり適していないのよ。でも、攻撃の威力が桁違いなのは確かよ。』


 マナの説明に、「じゃあなんで俺より前からいるのにロイヤルの称号がついてねぇんだよ」と光太郎は疑問を呈する。



  マナは、『だって彼は宇宙のエネルギーを使ってないんだもの。』と答えた。



  マナは、『記録書に一切名前が載ってない特殊な子だけどね』と続ける。



 『記録書はちょっとややこしくて、今使っている物には日付があるんだけど、似たような出来事が書かれた日付が黒く塗りつぶされている記録書もあるのよ。不思議じゃない?』



 マナの言葉に、光太郎は「知らね。まあ、黄色い奴の事はわかった。」と頷いた。


 「切るぞ」と光太郎がインカムを切ろうとしては、『待って!』とマナが止める。


 「あぁ?」とインカムの通信を切ろうとする手を止める光太郎に、マナは『あなたが言ってた兵器、もう宇宙警察ステーション(うち)にあるわよ。起動するにはスーパーヒーロー五人の波動が必要なの!後一人、緑の波動を持つ戦士を探して!』と光太郎にお願いする。


 「緑の波動を持つ戦士ぃ~?」気怠そうな声で言う光太郎に、マナは『お願いね♡』と可愛らしい声で返し、インカムの通信を切った。



 江藤は「で、黄色の戦士はなんだったんですか」と光太郎に尋ねる。


 光太郎は「取り敢えずめっちゃ強いらしい」とだけアバウトに返事をした。


 江藤は「最高じゃないですか」と喜ぶ。


 「絶対仲間になってもらいましょ!」と言う江藤に、



ハツネは、「このタイミングで来る戦士は大体な、やれ仲間になりたないとかやれあなたたちの味方じゃないとか、そういう事言って話数稼いでくもんや、簡単に仲間になれると思ったら大間違いやでダメガネ!」とあるある話で返した。


 江藤は「もうハツネちゃん、メタい!」と喫茶の二階へ戻りながらハツネに言うのだった。





 江藤の部屋。


 増築に向けた仮住まいへの引っ越しのため荷物が綺麗に纏められた一室。


 机の上にあるカバンで運べるようなものと、


当日に運び出す荷物だけが置いてある部屋の中で、江藤は読み終わった一冊の本から手を放す。



 【ヒーロー男の花の色】



 それはヒーローに憧れた少年がある女の子を守るためにまるで教祖のようになってしまう話だ。



 てっきり、ヒーローものだと思っていたが寧ろ敵側を肯定するような話で、江藤は白けた表情を浮かべる。



 期待外れ。


 どんな理由があれど、殺人なんて犯した者は罰を食らうのが当然で、これを認める理由は全くない。



 ましてや主人公は『守るため』なんて銘打っている。



 人を殺すような人間に、『守る』なんて言葉を使う権利は、皆無だ。



 江藤はそんな事を考えながらノートに記す。



 【殺人は個の人権を奪う低俗な行為だ】




 江藤はその日考えた事をノートに書き写す事でヒーローとしての自分と向き合っていた。



 ヒーローはマイナスな感情を持ってはいけない。


 冗談で口にすることはあれど、本気で人を貶めるような行為はしてはならない。



 江藤は以前、怒りのままにそれを遣りかけた事がある。


 それは江藤の中では反省点。



 自分でもかなり焦ったようだ。



 誰しも、自分の嫌な部分というものは存在する。



 だが、江藤はその事実を直視する事を誰よりも嫌う人物だ。



 おとなしい見た目に反して、内面では赤く燃え上がる情熱を滾らせている江藤。


  ダメガネ、なんてアイドルオタクのどこかの侍のような不名誉なあだ名で呼ばれることが多いが、


実際のところ江藤はツッコミなど言うほどしていない。



  やはりストレートヘアに眼鏡だとそんな風に思われてしまうのだろうか。



 なんだか嘗められている気がするが、江藤は寛大なので過度に気にはしなかった。



 いよいよ、仮住まいへの引っ越しだ。



 喫茶のビルが増築されれば、ヒーローたちも、オカマたちも定住できるようになる。


 光太郎の考えていることは、やはりすごい。



 ヒーローとしても、人間としても、先輩だ。


 と江藤は思うのだった。

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