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『宇宙警察L戦士~セルフで異世界構築してラスボスとして君臨してみた~』  作者: ミタラリアット


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35/55

三十五話『いいんだよ。俺たちは弱いままで戦う。わざわざ強くなろうとする必要ねぇんだよ』


 レッドがいるほうへ武器を持ちながら襲いかかるブラックとピンク。


レッドは、「こっちじゃない!こっちじゃないって!」と叫びながら、



仲間の二人から、避ける。


だが、そこには怪物の姿。


 怪物は「グオオオオオ!」と大きく呻き、

右腕に装備された銃で、レッドの腹を撃つ。


レッドは「ぅッ!」と痛みにショック反応を起こしながら、壁に背中を大きく突きつけられる。


ヒーロースーツに滲む、血。


 さて、どうする。


 レッドは息を整えながら考える。


ボーッと、前を見た。


再び攻めてくる仲間たちからは、

黒いマイナスエネルギーが観測できる。


 「目を覚ましてくださいよ!」


 とレッドは訴えるが、その呼びかけにも二人は一切答えない。


二人を純黒が覆うと、

一瞬でブラックの衣装にはパープルの装飾が、


ピンクの衣装はベースがブラックの衣装に代わり


ピンクの装飾が施された衣装に変化する。



そしてスーツで顔を覆われているわけでも無く、生身。


 レッドはその姿に震える。「これって……」


 レッドの考えは的中。 ダーク戦士。


ダーク戦士と瓜二つの風貌だ。


これでは戦えない。


火車斬撃なんかを放つことなんて許されない。


まんまとダークビリーブにしてやられた。


 「……こんなの……」


 敵の容赦ないやり方に憤りを覚えるレッド。


ダークビリーブは


「だってこの二人に用はないから」


とハイライトがもともとないような目でレッドを見つめ、


感情のこもっていない機械的な声でレッドに語りかける。


 レッドは、「希望」と呟いた後、立ち上がる。

「どんな時でも希望を捨てるな」


 レッドはそう言うと、赤い剣を手に取った。


素手でレッドの首を狙うピンク。


 ダークビリーブは、レッドが呟いた戯言に、「希望?」と首を傾げる。



 レッドは、「だから、いいじゃないですか。少しぐらい仲間を信じたって」と優しい声色と共に笑った。



 「ピンクも、ブラックも。こんなことじゃ敗れませんよ。ピンクは、優しい女の子。SNSの運用が得意で、みんなから愛される看板娘。ブラックは、ちょっと人間性に問題があるけど、僕たちに強さと、ヒーローとしての姿勢を教えてくれる立派な先輩。まぁ食い逃げが曖昧にされたのだけは許せないけど。二人とも僕にとって大切な人たちなんです。僕は仲間も、ダーク戦士の皆さんの事だって救いたい。駄目ですか?僕なんかが、こんなこと言っても、駄目ですよね」




 ダークビリーブは、「ダメ……じゃない」と少し心に響いたような表情を浮かべながら答える。


「でも、私はあなたを殺さなければならない」


 ダークビリーブの言葉に、「どうして⁉」とレッドは叫ぶ。


だが、ダークビリーブは答える義務さえも無かった。


 ピンクの金属バットが、レッドの頭部に命中する。




 「ぐッ」



 レッドはよろけながら、床に倒れる。


寝不足も相まって、完全なコンディションで戦いに望めない。


 ピンクが、片手に持った金属バットを震わせながら、


「……止めて……」といつになく震えた涙声でレッドに言った。



 レッドは、その声を聞いた途端、


「どりゃあああああああああ!」と

怪物がいる方向をめがけて狭い部屋を進む。


 だが、ダークビリーブが鎌を振りかざし、

レッドに電流を与える。




 「うわああああああ!」





 先ほどより対策された強力な電流は、

傷口に更なる追い打ちをかける。



 レッドは、「光太郎さん……ハツネちゃん……」と、仲間の名前を呼んだ。


 ブラックが、「うぐッ」と攻撃を制御しようと腕を抑えるような動きをする。


ピンクも正気を保とうと身体を捻る。




届いている────────────────!!



レッドは自分の声が、態度が、仲間の二人に確実に届いている事に安堵する。


 ブラックは、強く洗脳されながらも、「レッド……!すべて、託した……」



と自身の名前を呼んで黒紫の剣で自分の腹を刺した。自分を制御するためか。


 レッドは、「ぁ……あ……」と状況を理解できず、声を震わせる。


死んだ?いや、ブラックに限ってそんなはずはない。


 ピンクのヒーロースーツが、通常仕様に変わる。



変身が解け、倒れるブラック。


ピンクは「はッ」と意識を取り戻す。


 「光太郎⁉」


 と駆け寄るピンク。


だが現実はそう簡単にはいかないものだ。



 ピンクの背中を、怪物が狙う。


それに気づいたレッドは、


電流から何とか逃れようとするが、逃れられない。



傷口に強い電流が走る。




 「あああああああああ!」




 もう耐えられない刺激に

意識が飛んでしまうレッド。



 目の前の仲間が倒れたことにピンクが気づいた頃には、



ピンクは怪物に大きな爪で首を引っ掻かれてしまう。



気絶する三人。


 ダークビリーブは「簡単」とつまらなさそうに呟き、


怪物をキューブ状のものにコンパクトに収納した。



三人全員の変身が解ける。


ユニバースカードリーダーから

緊急信号が永遠に鳴り響いた。


 チョットパーが自動モードで現れる。


同じ場所にいる戦士全員が倒れた時にだけ発生する機能。


 「あちゃ~。こりゃこっ酷くやられたな」


 チョットパーはそう言うと、


「治癒フィールド」と呟き手を真っ直ぐ前に伸ばす。


緑の大きなフィールドが部屋に現れる。


フィールドは三人を包み込んだ。



ゆっくりと三人の傷を癒す治癒フィールド。



 「大佐にも後で一報入れておくか」


 チョットパーはそう言うとユニバースカードリーダーの端末の中に入って行った。




 翌朝。三人はそれぞれ、

知らない部屋で目を覚ます。



 「……」



 手を伸ばし、グーとパーの形を作る行為を繰り返す江藤。


「生きてる」と呟いた後、「ここどこ⁉」と布団を開けた。


ホテルのような、内装。その隣には、執事のような、男。



 「ようこそホテルシャイニングロードへ。私は支配人の阿笠でございます。」


 阿笠。と名乗った男は一礼した。


「ぇ、あ、はい」戸惑う江藤に、


「江藤様が驚かれるのも無理はございません。」


と阿笠が前置きをした後、


「我々は弐式(にしき)様からのご依頼で当ホテルに江藤様、佐倉様、ハツネ様をご招待致しました。いうなれば、強制休職です」と説明した。


 江藤は、「弐式様って……だれ」と呟くが、


阿笠は 「まぁ細かいことはお気になさらず。どうか今日から三日間ごゆるりとお休みください」と江藤が疑問を呈してもまったく答えてくれない。


 弐式。この名前には聞きなじみがない。

知り合いにだって、一人もいない。


 江藤は不審に思いつつ、廊下を歩く。


 「あべしッ」


 廊下に出ると、突然ドアが開き、江藤は潰れる。


 「大佐さん⁉」


 大佐はそこにいないはずの人物に驚いた。


「江藤君⁉」大佐は江藤を扉から救出する。


その後、江藤と大佐はホテルのロビーではない

リビングのような、集合場所。談話室に向かった。



 その部屋の中に入れば、真っ先に見えるのは、ゲーム機。


まるで誰かがさっきまで遊んでいたみたいだ。


おまけにピザを食べた後のような箱まで乱雑にそのまま置いてある。


使用人がいる場とは思えない。


喩えるなら廃墟。に、しては内装自体がそれなりに綺麗に改造されている違和感は残るが。



  「未明の話はチョットパーから聞いたよ。俺が出動出来る時間帯では無かった。力になれなくて本当にごめん」



  大佐に頭を下げて謝られては、


江藤は「そんな、気にしないでください、実際僕たち無事だったんだし」と答える。


 「本当に大丈夫??なら良かった。」


大佐は安心して微笑む。


「それに気になるのは…」


 と江藤が考えるような仕草をした後、江藤は「弐式って人ですよ」と続ける。


 大佐は「弐式さん?」と首を傾げる。


「はい、弐式って人が僕らをここに呼んだようですよ。僕てっきり佐野本部長が……」と言う江藤に、


大佐は「さっき弐式って文字どこかで」と頭を悩ませる。


 大佐の言葉に、江藤は「え?」と首を傾げる。



 「俺は給料と親父の金で何とか賄ってるんだけど、住んでて俺以外の客一人いないこのホテルにどうも違和感を覚えてね?昨晩いろんな部屋を漁ってたんだよ。そしたら資料室があって、あまりにあっさり読めるからいろいろ読んでたんだけど、そこに……」



と言った後、大佐は江藤に耳打ちで「生物兵器に関する機密情報が」と伝える。


 江藤は「⁉」と目を見開いた後、


「もうやめましょうよここいるの嫌です怖いです」


首を横に振る江藤に、

「俺だって怖いわ!」とツッコむ大佐。


 江藤は、「今だけはこの宇宙が偽であってほしいです切実に」と放心しながら呟く。


 大佐は「そんなこと言うなよ……」と言いつつ、


「あれ?光太郎くんとハツネちゃんは?」と江藤に尋ねる。


 「まだ会ってません」と江藤が言っては、

大佐は「でもいるはずだよね」と首を傾げた。


 江藤は、「阿笠って人が言ってましたから確実にいますよ」と答えた。



 「探しに行きませんか?あの人たちを」




江藤が言うと、大佐は「うん」と頷いた。



 その後、ドサッと意味深に大量の銃が棚から落下した。


銃には血液が付着している物もあった。

だが、江藤と大佐はそれに気づかなかった。

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