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『宇宙警察L戦士~セルフで異世界構築してラスボスとして君臨してみた~』  作者: ミタラリアット


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二十八話『勘のいいガキは嫌いだよ』


 喫茶キュアミラージュでは、

「これでよし」とすべての処置を済ませた大佐が、


「迷走神経性失神。休ませてあげて」


 と江藤、ハツネ、春華。ヒーローたちに微笑む。


 三人は、「はい!」「わかりました」「ラジャー」


 とそれぞれ個性豊かな返事をする。



 喫茶キュアミラージュに帰るまでに大佐のフルネームを聞いた江藤とハツネの二人。



 ハツネが、「佐野Ⅾってレスキュー隊やったんやな。それも宇宙警察ステーション本部。ってことはマナのアネゴやカーガ様とも知り合いなんか?」と尋ねる。


 大佐は、「嗚呼、知り合いだよ。そもそも俺の親父が宇宙警察ステーションの本部長だ。如月市から出られないうちはもう二度と会えないけどな。それに、俺はマナやカーガの忠告を聞かずにこの街に飛び出したのさ。理由は二つ。一つは俺にもやれることが欲しかった。窓際、それに出動経験もほとんどないままステーションで暇しているのが嫌だった。もう一つは俺はヒーローにはなれないけど、ヒーローとしてのあるべき姿を君たち本物のヒーローから学びたかった。いつ何時も学びたいと思った時に行動しないと、損してしまう。俺は自分自身の人生を後悔したくない。だからここに来た」とヒーローたちに真剣な眼差しを向けて語った。



 インカムをつけたハツネが、白けた顔をしてステーションにコールする。




『はいこちらハルカ・マナ』とマナがコールに答える。


「もしもしポリスメン。こちらキューティーハツネちゃん」


 ハツネはそう言うと、マナに、「佐野Dの姿ここにあり。どうぞ」と報告する。




「ちょ、ハツネちゃん!」



 と慌てる大佐を見て、ハツネは悪者のようなニンマリした笑みを浮かべる。



『はァ⁉』


 と怒りに震えヒステリックな叫び声をあげるマナ。



『一度如月市に行ったら帰って来れないって言ったのに!』


 と怒り散らすマナの声を聞いて、ハツネは、 「佐野Ⅾ、アネゴご立腹」と伝言する。


 大佐は、「あちゃ~」と項垂れた。


 ハツネは、「ちょっとアネゴ。大佐に今のアネゴの真似して伝えるから気にせんといてや」 



とマナに向けて言ったあと、「一度如月市に行ったら帰って来れないって言ったのに!」と怒号の緊迫感まで完全に再現し、大佐に伝える。



 大佐は「ヒィ!」と情けない声をあげた。



『まあいいわ』

絶対良く思ってないように言うマナ。




 マナは続ける。



『如月市に行ったからにはちゃんとたくさん活躍してもらうわよ』



 マナの真似をしながらハツネは大佐に伝えた。



 大佐は、「もちろん!」と答える。



 さらに大佐の真似をしてハツネがマナに伝える。


 マナは、『無事なようで良かったわ』と言いながら通信を切った。


 ハツネは大佐に、「次からはちゃんと報告するんやで大人なんだから」とたく言った。


 大佐は「はい…」と自分よりかなり年下な少女に屈服するのだった。



 春華が、目を開ける光太郎を見て、


「光太郎さん?」と声をかける。


「光太郎⁉」 目が覚めた光太郎に、真っ先に駆け寄るハツネ。


 江藤も「光太郎さん!」と安堵の表情を浮かべた。


 光太郎は、頭を抱えながら瞳孔を開いて震える。「ダークマスター…」


 光太郎は恐怖に怯えていた。



 いつもの冷酷なまでに合理的な光太郎からは想像がつかない声。



 以前、ダークマスターにされたことが、次々と蘇る。


鮮明に。果てしない数々の苦しみ。拷問。辱め。これ以上ない最悪の時間。


  横では親友が倒れ、どんな意義も示せないまま、世界が崩れていき、そこで視界が途切れた一連の流れを思い出す。


 それは世界がループしていることの、明白な証拠だった。



 そして違和感の正体が明らかとなった。




【記憶が違う】



 光太郎の恐怖はダークマスターに辱めを受けたことよりも、記憶が違っていることにある。


  以前の世界。光太郎に見覚えがある世界では喫茶キュアミラージュなんてものはそもそも存在せず、



小次郎の家が営む魚屋に身を寄せていたはずだった。


「なんだこれ」


 光太郎は幻覚にでも囚われてしまったのかと恐れる。



「なんだお前ら!お前らなんかいなかっただろ⁉」



  目の前の仲間たちに強く当たる光太郎。




「え」




 と状況を読めない三人。



「この世界は確実に狂ってる!全部が違う!矛盾だらけで、成立しない!俺は…!」



 と着崩した私服姿のまま外へ飛び出そうとする光太郎に、「落ち着いてください!」 と江藤は説得する。


「どうなってるんだ⁉これは何が起こっているんだ⁉何が変わっちまったんだ⁉」


 光太郎の片腕を、必死に掴み落ち着かせようとする江藤。



「ごめん、春華ちゃん、ハツネちゃん、大佐さん。ちょっと下に行ってて」


 江藤の声かけに、「うん」「イエッサー」

 とそれぞれ返事する三人。


「小次郎を呼んでくれ」


 光太郎は壁に手を突いて項垂れながら叫んだ。


「早く!」と江藤を急かす光太郎。



 光太郎は、確かに、この世界の真実を知る為の鍵を握っている。


 江藤は、「呼んできますから落ち着いてください」


 と光太郎に伝え、走っていく。


 その間にも次々と光太郎の脳裏に映像が切り替わるように流れる。




「小次郎…小次郎!」光太郎が名を呼び続けては、「なんだうるさいな」と念願の小次郎が現れた。


 江藤は、「はァ、はァ…」と息を切らす。


「お前が俺を呼んでいると聞いて来てみれば。情けない顔しやがって。光太郎。お前そんなに弱くないだろ」


 小次郎を見上げ、安心する光太郎。



 記憶の誤作動。


 それはこの世界を動かす糸の先にいる者に興味をあまり持たれていない者に発生する究極のバグ。


 混沌の宿命。業の犠牲。


本来知り得る事の無い意識の最果て。


 皆が住む世界で言うところの前世の記憶に近い、何か。


【愚者】【舞台装置】【悪魔】【甘い夢】【高次元体による弱者への監視】【変貌】【操作】【演劇】


そして、【その先の償い】。 広大に広がる宇宙。


 己が本物だと認識しているそれは、はたして本物なのだろうか?

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