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『宇宙警察L戦士~セルフで異世界構築してラスボスとして君臨してみた~』  作者: ミタラリアット


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二十四話『見栄っ張りなんてバカだなぁ。等身大のてめぇが一番素敵だろーが』


 翌日。宇宙警察ステーションを無断で飛び出した大佐は、宇宙船に乗ってターミナルから如月市へやってくる。


マナやカーガの忠告は、一切意味を成さなかった。


 大佐は「ここが如月。ヒーローがいる街か」と辺りを見渡すが、強烈な違和感を覚える。


「あれ」確実に見たことのある街並みのはずだが、全く降り立ったことが無いような、不思議な感覚。


一度は訪れているはずだろうに、どういうことだろうか。


 宇宙と繋がれるインカムを持たない大佐は、カーガやマナとの連絡手段がない。


代わりに、レスキューフォンという本部長としか繋がれない特殊な携帯を持っていた。


もちろん、その携帯には佐野本部長からの怒りの通知が大量に届く。


 大佐は、鳴りやまぬ通知に「はぁうるせーな」と逆ギレしつつ、


「まッ、俺は俺のヒーロー像で戦いますか」と呟き、喫茶キュアミラージュに向かって歩いていく。

     


「あら? お兄さんも喫茶店へ?」


 と首を傾げる黒髪のポニーテールにメガネ姿の少女。


セーラー服姿で、手にはスクールバッグを持っている。


「だ、だれ」と戸惑いながら問いかける大佐に、


春華は「ごめんなさい。すごく素敵な方だったから、つい話しかけちゃったわ。私は青野春華(あおのしゅんか)。よろしくお願いします」と、軽く頭を下げる。


礼儀正しい女性の挨拶。



「私もおんなじ喫茶に向かおうとしていたの。よかったらご一緒してくれませんか?」


 と言う春華に、大佐は好きな子に話しかけられた中坊のようにオドオドしながら、


「嗚呼、構わないけど」と答えた。


威勢がいい割に押しに弱い裕福家庭育ちの男。


 春華は、「お兄さんのお名前をお伺いしても?」と首を傾げながらあざとく尋ねた。


  大佐は、「佐野大佐だ、よろしく」と答える。


「大佐さん!」と笑顔で大佐の名前を繰り返す春華。


「行きましょ! 地図にはすぐそこって書いてましたよ!」


 大佐に言っては、年相応の笑顔を見せ駆け出す春華。


「ちょ⁉ 一緒に行くんじゃなかったのか⁉」


 先に駆け出した春華を見て、慌てて追いかける大佐。


そんな二人の後ろを、黒猫がまた歩いていく。「にゃー」と大きな欠伸をしながら。

     


 喫茶まで入った二人は、向かい合わせの席に座る。


「へ~い。兄ちゃん。セーラー服の女の子連れまわして。犯罪?パパ活?」


 席についた途端、とんでもないことを言う光太郎に、


春華が、「ちがッいますッ!」と焦りながら訂正する。


「ダメだよ~。嬢ちゃん。パンツ売ったりしちゃ」


と失礼なことを言う光太郎の頭を、ハリセンで勢いよく叩く江藤。


「ごめんね本当、無礼な人で」と江藤が謝る。


とんでもないところへ来てしまったと青ざめる大佐と、「ふふッ。ここの喫茶はコントのパフォーマンス付きなのね」と寛大に微笑む春華。


「で? お客様ご注文は」と問いかける光太郎に、春華は「私チョコレートパフェ!ここのチョコレートパフェが食べたかったの!」と注文する。


 大佐も、春華のメニューを覗き込みながら、「イチゴジェラートにしよっかな」と答える。


「へぇ、大佐さんも甘味がお好きなのね」と言う春華に、大佐は「なかなか宇宙じゃ食べられないから」


と答える。光太郎が「注文承りました~」と言っては、メモ帳に注文を書いていく。


  江藤が調理場に行き、食事を提供する準備に入る。


「ダメガネもついに調理を任されるようになったんやな」横で食器を取るサポートをするハツネ。


「前々からお手伝いはしてたけどね。ようやく光太郎さんに認められたのかな」喜ぶ江藤。


江藤はあまり慣れない手でパフェを丁寧に作っていく。


パフェ、そしてジェラートも完成しては、「どうぞ!」とハツネが運んでいく。

     


「わぁ♡ 美味しそう♡」と喜ぶ春華を見て、大佐もなんだか微笑ましくなる。


「さーて。食べよっと」とスプーンを持つ大佐。


ぱくぱくとパフェを食べ進める春華。大佐もジェラートを味わう。


「ん~♡」落ちそうな頬を片手で抑えながら、春華は「さいっこう!やっぱり勉強だけで人生終わったらダメよ! 美味しいもの食べて、幸せに生きないと!」


と満面の笑みを浮かべた。


 大佐は「……」とそんな春華に見惚れる。だが、俺は春華ちゃんよりもかなり年上だ、と首を横に振った。


「いてて……」と火傷の痕に痛みを覚える江藤。


光太郎は「まだあんま身体回復してねぇだろ」と江藤を心配する。


 やはりチョットパーの治療じゃ不完全だ、と心の中で呟く大佐。


すべて最新技術が良いという簡単な話ではない。

古くからある確実な治療法が求められる場合もある。


大佐はジェラートを食べながらそんなことを考える。


 江藤と光太郎の会話を聞いた春華は、「ヒーローさんって大変なのね」と呟いた。


「あ、そうだ私」とカバンから何かを取り出す春華。色紙だ。春華が色紙を取り出したのを見た光太郎が、「はい、サインですねぇ」と嬉しそうに近づく。


「あ、ごめんなさい! これはレッドに……!」と色紙を光太郎から避ける春華。


「俺こそがレッドですよお嬢さん」春華にサインを書こうとする光太郎に、


春華は、「私の憧れのヒーローは初対面の女の子にパンツ売るなんて言いません!」とはっきり反論する。


 光太郎は「いいえ俺が」と再度迫ろうとするが、「レッドは僕だけど」と江藤が近づく。


「レッドさん⁉あなたが本当のスーパーレッドさん!!?」表情が明るくなる春華に、江藤は「え?」と困惑する。


「あなたをずっとお慕いしてたの!レッドに会いたくて来たんです!」と言いながら色紙を江藤に差し出す。


 江藤は、「サインなんてはじめてだよ」と戸惑いつつ、油性ペンで江藤新一と漢字を書いた。


  ハツネが、「もうちょっとかっこええサインにしたらええやん」と横槍を入れるが、春華は「いいんです」と首を横に振った。


「欲しかったのは等身大のスーパーレッドさんのサインですから」と素直に喜ぶ春華。


「サインぐらいいつでも」調子に乗ったのか、江藤は嬉しそうに笑った。


  カフェには他にもビジネスマンのような客や、黒髪ロングヘアの少女、そしてその少女と明るく会話を繰り広げる高身長で青髪の少年がいる。幸せばかりの空間だ。


     


 黒髪ロングヘアの少女と、青髪の少年が支払いを済ませ帰宅していく。


ハツネが「ん?」となにかに気づく。


「あの子たちどっかで見たで……私」


 黒髪ロングヘアの少女と、青髪の少年が帰っていくのを見届けて十五分ほど経ったあと、「きゃあああああ!」と外から悲鳴が聞こえる。


 江藤、光太郎、ハツネは一斉に驚く。春華、大佐も咄嗟に立ち上がり、外へ駆け出した。

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