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『宇宙警察L戦士~セルフで異世界構築してラスボスとして君臨してみた~』  作者: ミタラリアット


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二十三話『ヒーローになりたくてもなれねぇやつだっているんだよ』


 後日。宇宙警察ステーションでは、モニターの画面の中から、監視カメラの映像を見つめていたマナが、ある少女に注目する。


 ポニーテールで、メガネ。セーラー服。現代にはなかなかいないような、アニメスタイルの美少女を見たマナは、「カーガさん」と自身の上司の名を少し喜んだような声色で呼んだ。


 女性特有の、弾むトーン。カーガは、「なに、どうしたの」とマナのほうへ寄る。


「スーパー戦士の波動を持った新たな戦士の予感!」


 とマナは興奮しながらカーガに言うが、「ん?」とデジャヴを覚える。


この順序を、私は確かに知っている。でも、明確に思い出すことが出来ない。


マナを悩ませる原因は何か。


「お二人さん毎日熱中してるね~」


 軽快な口調の男が、二人の会話に割って入る。


「窓際は黙ってて」


 マナが言うと男は、「窓際なんて酷い言いようだな」と溜息を吐く。


「宇宙警察分部。臨時出動救急隊員。佐野大佐(さのだいすけ)。あなたの仕事といえば、重傷を負ったヒーローがいた時にチョットパーの代わりに宇宙から駆け付けることぐらい。普段仕事も無いのに私たちより高い給料貰ってる。」


 マナが言うと大佐は「俺毎日訓練してるからね?」と苦笑いを浮かべる。


「私たちはヒーローたちの監視も、宇宙の監視もしなくちゃならないの。比べものにならない作業量に資料量よ~?」


  マナが大佐に顔を近づけながら言うと、大佐は「俺は本当はヒーローになりたかった」とマナの相手をするのが面倒だと言わんばかりの態度で答える。


マナは、「なーに???態度が悪いわねぇぇ!」と頬を膨らまして大佐に顔を近づける。


 カーガは「はいはい。仲いいのねお二人さん」と二人を茶化す。


「からかうなって」と言いながらも、穏やかな視線をマナに向ける大佐とは裏腹、マナは「ふん」とそっぽを向く。


「それに、あなたこれから如月に出動したら二度と帰って来れないわよ~」


 と画面に視線を戻しながら、帰って来なくてオッケーと言わんばかりに大佐に言うマナ。


「なんで」と疑問を抱く大佐に、マナは「聞いてないの」と呆れる。


「え、なに、なにか知ってるのそっち」と驚く大佐をマナは、「さすが窓際。情報が回ってきてないのね」とバカにする。


「レスキュー隊を窓際って呼ぶのは酷いんじゃないか」と怒る大佐に「ヒーローになりたいけれど素質が無いあなたに何か役割を与えるためだけに作られたのが臨時救急隊員だってあなたのお父様から聞いたわ」とマナは語る。目を逸らす大佐。


「で?まさか雑談しに来たわけじゃないでしょ。」


 とマナは大佐より画面に集中しながら問いかける。


 大佐は、「親父からの伝言。ユニバースカードリーダーが測定した戦士たちのエネルギー数値が乱れてる。全員そうだけど、特に不可解なのがブラックの極端なエネルギー数値の減少」


  大佐の言葉に、マナは別の画面を立ち上げる。ロイヤルブラックの脈拍、血圧、心拍数。


それらすべての数値をユニバースカードリーダーのデータから確認できる。


「確かに彼一人だけやたら状態が悪いわね」と注意深く画面を見つめるマナ。


「特にストレス指数がほかの戦士と比較して異様に高いのが気がかりだわ。」


 マナが言うと、カーガは、「光太郎は一番最初に覚醒したヒーローだから、ユニバースカードリーダーが古いせいもあるんじゃない」ともうひとつの原因を挙げる。


 だが大佐は「だとすれば、ホワイトも旧式。さっき俺でも調べてはみたんだけど、ホワイトは……なんかびっくりするぐらい、健康……」とカーガの挙げたもう一つの原因を否定する。


「チョットパーに常時滞在してもらったほうがいいのかしら」と悩むカーガに、マナも「ヒーローの健康管理、あんまり出来てないしね…」と賛成する。


「いやまって俺もいるんだけど」とアピールする大佐に、『うるさい』と声を合わせる二人。


「はァ!宇宙警察本部長の息子がこの扱い!仮にも宇宙警察本部長の息子!」と騒ぐ大佐に、マナは「救急隊なんてチョットパーとキャラ被ってんのよ」と毒を吐く。



「もう少し扱いやすい立ち位置だったらよかったんだけどね大佐くん。ヒーローとか。」カーガも大佐に哀れみの目を向ける。


「俺だってヒーローになりたかった!俺だってヒーローがよかった!シカごときに立場負けるなんて嫌だ!」


 言い返す大佐に、「は~じゃあ地球行く?行ってどうするのか知らないけど」と冷たい言葉をかけるマナ。


「帰れないんだろ」と躊躇う大佐に、マナは「如月市の市境を超えたらヒーローの力が無い人は消えてしまうのよ」と説明する。


「消える⁉おかしいだろ⁉」と声を裏がしながら感情的になる。


「消えるなんてそんな非現実的で……そもそもどういう仕組みでなんで如月市から出られないのか説明がなってないじゃないか」と言う大佐の肩を、カーガが優しく叩く。


「落ち着いて聞いて。この宇宙はね、誰かに管理されたかりそめの宇宙かもしれないってマナと話してたの。」


 カーガの言葉を聞いて、大佐は「は?」と頭を空っぽにする。


「なんだ?二人して俺を騙そうとしているのか?」


 固まる大佐に、カーガは「実際にクロウサギから妨害電波も確認してる。オカルトチックな話だと思うでしょ。でも実際私たちが派遣した調査隊が粒子になって消滅した。」と説明を続ける。


 大佐は「じゃ、じゃあ隣町の人とか、海外の人とか、テレビでだってちゃんとほかの県の特集やってるじゃない、あれは……」となんとかこの世界が現実であることを証明しようとする。


 マナは首を横に振った。「この世界の管理者にとって必要なのはヒーローたちが集まる如月市周辺ってこと。それ以外は不要なのよ。だからヒーローの力を持つものが如月市の外へ出ようとしてもまた如月市に戻されてしまう。」


 マナとカーガの説明を、「嘘だ」と受け入れられない大佐は、「二人はそれでいいのか?今までの自分の人生がすべて否定されるようなものなんだぞ」と俯きながら拳を震わせる。


「私だって否定したいわよ。でも、これだけの状況が揃ってるのなら疑わなければならないのが宇宙警察。宇宙の謎を解明すること、そして宇宙を護ることが我々の使命。」


 マナの言葉の後、大佐は「チッ」と舌打ちして去っていった。

     


 場面は変わり、謎の研究所のような場所では、若い黒髪の男が鎖に繋がれてぐっすり眠る。


昏睡状態と言っていいほどに動かない様子が確認できる。


男が眠る扉には、『隔離』と書かれた張り紙が貼られていた。


 その部屋の前を、赤髪の女が通り過ぎる。白髪の男は赤髪の女に、「惨めだよ。理不尽を強いられたのは彼のほうなのに。」と言葉とは裏腹に楽しむような口調で語る。


 赤髪の女は「何をされたかわかったいま、私としては清々するけど」と答えた。


「正義に憧れたひとりの少年は、天下の大悪党になっちゃいましたとさ。あ~なんてかわいそうな話。正しいことってするべきじゃないねぇ」


 白髪の男がおもしろおかしく笑い飛ばしては、


赤髪の女が「私はただ巻き込まれたんだから、それなりの来世の保証はしてくれるわよね?」と白髪の男に問いかけた。


  白髪の男は「もちろんもちろん。ヒビキちゃんはもうたくさん頑張ったからね♡」と答えた。ヒビキと呼ばれた女は、「じゃあ来世は売れっ子アイドルにでもしてほしいわね」と白髪の男に語る。


「イズミもトウマもレイさんだって先に転生しちゃったし。でもロイさん。形は違えど私はまたみんなと……」と寂しげな顔で言うヒビキに、


ロイは「君の来世は幸せいっぱいっと、言いたいんだけど君は死神になることを選んだ。来世なんて来ない。一生死神として従事するだけだよ」と笑った。

     


 隔離室の扉に視線を向けるロイ。


「いつ起きるのかな、あいつは」と言うヒビキに、


ロイは「さて。いつだろうね」と口角を上げて微笑んだ。


 ヒビキは、「ねぇロイさん。死神としての私の働きぶり。どう評価する?」と問いかける。


 ロイは、「う~ん…。でも君は卑猥なものとか嫌いじゃん」と答えた。


 ヒビキは「えー⁉嫌よ‼えっちなこととかやりたくない」


  首を横に振るヒビキにロイは、「ヒビキちゃんってホノカちゃんと僕ぐらいしかまだ死神知らないでしょ?ホノカちゃんもえっちなことをする立場じゃないからね、一人前の死神なら拷問スキルも持っておかないと」と助言する。


 ヒビキは「私、死神なったの失敗だったかも」と呟く。


 だがロイは、「でも、死神になったからにはもう君は永遠の命。これからも頑張ってもらうよ」と機嫌よく答えて歩いて行った。


ヒビキは、「もちろんその覚悟よ」と微笑んでロイの後に続いた。

     


 鎖に繋がれたまま眠る男の呼吸が、微かに聞こえる。


 まるで十八禁ゲームのように真っ暗な隔離室。


鎖に繋がれた男は白い布を一枚だけ巻いたような雑な格好をさせられ、後ろ髪が少しだけ結われている。


 男の顔は幼く、どこか安らいでいるような表情。


例えるなら霊安室と、冷凍保存された死体。


 男の名がわかるものも、男が持ってきた物も、何もない。


 部屋にあるのは死体のように動かない男の身体と、


彼の罪状と処罰工程が書かれた資料のみ。刑罰は得体の知れない言語で書かれている。


 ここまでの状況が、一体なにを意味するのだろうか?


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