第30話 極上ドスケベ行為♡
「行きましょう」
名月さんは俺の手を引いて歩き出す。
連れ出した先は、本棚の奥にある窓際の通路。ここならもし仮に、誰かが来たとしてもすぐにはバレない。
「何を……するの?」
「もちろん、ドスケベなことよ♡」
「それはわかるけど」
どうも彼女の様子がおかしい。
彼女の目が充血し焦点が合わない。
もうドスケベなことしか考えられなくなっている、そんな感じだ。
「嬉しかったの」
「えっ……?」
「必要としてくれたみたいで」
「名月さん……」
それは俺も同じだ。
こんなドスケベしか取り柄がない害悪陰キャモブを必要としてくれる女性が現れるなんて……。
「抱きしめてもいいかしら?」
「俺も、そうしたいと思っていた」
俺と名月さんは体の赴くままに、立ったまま抱き合った。
柔らかくも弾力のある胸、締まりの良いお腹、ガッシリとした腰回り、華奢な足首。シャンプーの良い匂いが、鼻腔を擽る。
彼女の全てを支配しているという、全能感が俺を満たす。
お互い服を着ているにも関わらず、全てが繋がり合っているような錯覚を覚える。
興奮し、高揚し、何より途轍もない幸福感に支配される。
「どう? 気持ちいい?」
「気持ちいい……それに、幸せ」
「そう。幸せなのね……。もっと、もっと、幸せになろっ♡」
性欲に溺れきった若き男女は、より刺激を求めるために、エスカレートしていく。
抱き合ったまま、横たわる。一番、互いの身体を堪能できる姿勢だ。
「こういうのは……どう?」
「〜〜〜ッッッ⁉⁉」
名月さんは己の右脚を俺の股間に入れてきた。よりよい態勢を求め、右脚を小刻みに動かしている。その時に名月さんの太ももが、一瞬だけ俺の秘部に触れる。興奮度を示すメーターがその時だけ大幅に上振れた。
こんなことが続けば、どうにかなってしまうのは自明の理だ。
それは彼女も同じらしい。
「はあ……はあ」
呼吸が荒く、顔が紅潮している。
もう半分、正気を失っているようにも見える。
「ねえ、平谷君、お願いがあるの」
「お願い……?」
「おっぱいを思いっきり揉んで欲しいわ」
「ッッッ⁉⁉⁉」
とんでもないお願いに、俺の頭や身体に巡るありとあらゆる液と汁が漏れ出しそうになる。
男が一度は妄想する「女子のおっぱいを揉む」という最も原始的な痴漢行為。
これを合法でできると……?
じゅるり。
思わず舌なめずり。
なぜか名月さんはその場で、正座をした。確かにおっぱいを揉むには適した体勢かもしれない。
それに合わせて、俺も正座をする。
「も、揉む……よ?」
「うん。揉んでほしいわ♡」
俺は意味もなく、軽く一礼する。
まるで初夜を迎える夫婦のような厳正さが漂う。
「片手? 両手?」
「両手で」
「分かった」
オーダー通りに、両の手を全開し、彼女の胸元まで腕を伸ばしていく。気分はさながらクレーンゲームだ。それも極上の秘宝を求める。
ついぞ、両の手は秘宝に触れる。触れればすぐに拉げるような儚さと、潰しても潰しても決して死ぬことのない生命力を併せ持った、この世に存在しない未知の物質たるその秘宝を――俺は鷲掴みにする。
柔らかくて弾力がある肉塊の感触が、脳に直撃する。
過剰な情報量は脳にキャパオーバーを起こし、脳が焼き切れそうになる。
夢が詰まっている脂肪の塊は、俺をどこまでも幸せにする。
「ああ……ん♡ 気持ちいい♡」
柔らかく、そして弾力のある、その極上の感触に、俺の脳は一瞬のうちに溶けていく。
過去の嫌な記憶が一瞬のうちに上書きされ、海馬を埋め尽くすのは幸福を表す「おっぱい」の四文字のみ。
「どう?」
「気持ちいい……けど」
「けど?」
「もっと強く揉んで欲しいわ。平谷君の優しさは伝わってくるけど、今は強いのが欲しい」
お望みとあらば、遠慮は要らない。
彼女を支配するように、縦横無尽に揉みしだく。
はち切れんばかりの巨峰は、俺の掌に収まりきらない。
「そ……それそれえ!♡ 気持ちよすぎるわっ♡」
揉むたびに悶えるように溢れる嬌声。
雄に屈服したように聞こえる艶めかしい声は、全能感を与える。
その全能感は、俺の根底に眠っていたサディスティックを呼び覚ます。
「俺に揉まれれるの、気持ちいい?」
「気持ちいいわ♡」
「本当にドスケベだな、君は」
「ひゃん♡」
雌を支配することで、こんなにも性的興奮を覚えるなんて……。
俺の新たなる一面をこんなところで知ることになるなんて。
嗜虐を楽しんでいると、名月さんは予想外の行動に出る。
名月さんは、徐に手を伸ばすと、俺の肉棒を掴み始めたのだ。
「おほぅ……!♡」
思わずオホ声が喉仏から弾け飛んでしまう。
これを機に、主従関係が逆転する。
今度は俺のマゾヒスティックな部分が呼び起こされてしまう。
「ねえ、気持ちいいの?」
「はい……」
「私にオチンポ握らされて幸せ?」
「はい……幸せです」
「そうみたいね。すっごく大きくなっているもの♡」
今度は屈服される快感を覚える。
俺の性癖が忙しすぎる件について。
「ねえ、名月さん……お願いがあるんだけど」
「何かしら?」
「もう一回……その、言ってほしくって」
「何を?」
「その……オチンポって」
そんな最低最悪のお願いに、名月さんは心底辟易とした様子で、
「はぁ……呆れるほどにドスケベなのね、平谷君は」
「ダメ……?」
「今日は特別よ」
そして名月さんはそのワードを口にする。
「オチンポ……オチンポ……平谷君のドスケベオチンポ♡」
「はぬん……!」
性器を握りながら、性器の名前を連呼する。
これ以上にドスケベな行為があったら教えてくれ……!
あまりの快感に脳はとっくに焼き焦げ、身体が痙攣を起こし始める。
「すっごく大きいわよ、平谷君のオチンポ♡」
「そんなこと言われたら出ちゃう……」
今まさにエクスタシーを迎えようとした、その時だった。
足音と共に、図書室の扉が開かれたのだ。




