↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/37

第25話 バレーボールはキケンがいっぱい

 バレーボールの授業。


 男女それぞれ3チームに別れて、男女交互に試合する。必ず男子同士、女子同士で試合を行うため、男女同士で試合することはないようだ。


 つまり、名月さんが試合をしている時は、俺が見ることが出来て、俺が試合している時は、名月さんが見ることが出来るということだ。

 だから、なんだって話だけど。


 まずは二人が所属していないチーム同士の試合、ということで、俺と名月さんは二人仲良く体操座りして、観戦する。

 距離が近いせいで、偶にお互いの肩が触れ合うと、思わずドキッとしてしまう。


「みんな、上手いわね」

「だよなあ。あんな風にできる自信ないなあ」

「平谷君は運動苦手?」

「あの柔軟体操を見たらわかるでしょ」

「夜の運動は得意なんでしょ?♡」

「ひえっ!」


 また俺にだけ聞こえるように、艶めかしい声で囁く名月さん。

 この会話から、下ネタに移行できるのはもはや才能だろ。


「私と夜の運動したい?」

「ひぎゃっ! …………し、したいです」

「正直でよろしい。でもダメ。今はこれで我慢なさい」


 そう言うと、名月さんはスッと俺の方に手を伸ばした。

 彼女の手は悪戯に俺の尻を弄った。

 なぞるように、優しくなでられ、天に召されるような気分になる。


「な、何をしているの、名月さん⁉」

「どう、気持ちいい?」

「はい。幸せです」

「『気持ちいい?』って聞いているのに『幸せです』なんて答えるあたり、やっぱり平谷君はドスケベね」


 そんな至福のひと時を過ごしていると……、


「次、女子AチームとCチーム」


 名月さんが所属しているチームが呼ばれる。


「じゃあ、私行ってくるわね」

「うん、頑張ってきて」


 俺はコートに向かう、名月さんを見送った。

 ここだけ切り取ると、なんだかカップルみたいだよな。


 バシーン!


 そこには全く想像できない光景が広がっていた。

 俺の目には、バシバシ、スパイクを決め込む、名月さんの姿が。

 ボーリングでも思ったけど、名月さんって普通に運動神経が良いんだよなあ。

 なんだか全てが並以下のモブキャラの俺にとって、遠い存在に見えてきた。


 そんなことよりも、彼女の上半身から揺れる二房の巨峰から目が離せない。

 ダイナミックな動きをするたびに揺れる、その巨峰に、俺は完全に釘付けになっている。


「うわっ……、おっぱいでけえ……」

「あんな子、うちのクラスに居たっけ? えっろ」

「ほら、名月夏輝じゃね? あの、クラスで本ばっかり読んでいて目立たない女」

「マジか……エッロ、やりてえ」

「何言っているんだよ、お前。彼女いるだろうが」


 名月さんの存在に気づいた陽キャの男子共が、下世話なトークを展開している。

 それを聞いて、なぜか俺の胸がモヤモヤする。


 名月さんは俺だけのドスケベフレンド。他の男に取られたくない。

 そんな身勝手な独占欲が支配していく。


「はい、そこまで!」


 試合が終わったようだ。

 名月さんの活躍により、彼女の所属したチームが勝ったようだ。


「名月さん、凄かったよ~」

「きみのおかげで勝てたよ。ありがとう~」

「……ええ」


 運動が得意そうな同じチームの陽キャ女子たちに名月さんが祝福を受けている。

 恥ずかしそうにしながらも、満更もでもない様子だ。

 その様子を見て、寂しい気持ちになる。


 同じ陰キャといえど、俺と彼女は違う。

 嫌われ者の陰キャである俺とは違い、彼女は愛される陰キャなのだ。


 そんなことを考えていると、試合を終えた名月さんがこちらに近づいてきた。

 健康的な汗をかき、体操着が湿っているのが、なんだかエッチですね。


「ふー、疲れたわー」

「大活躍だったじゃないか。ボーリングの時も思ったけれど、本当に運動神経がいいんだなあ」

「褒められて嬉しいわ。さて、次は平谷君の番よ。いってらっしゃい」

「うん。いってくる」

「ええ。健闘を祈るわ」


 ここだけ切り取ると、スポーツ作品のかっこいいシーンみたいだ。

 女子の応援というバフもかかって、なんだか行けそうな気がしてきた。


 結果はというと……。

 レシーブは思った方向に飛ばないし、サーブはネットにかかるし、スパイクは空振りするし、もう散々だった。


「は~あ」


 完全に意気消沈。

 これがモブキャラである俺の残酷な現実だ。

 名月さんに顔向けできない。


 あとは、チームの皆に迷惑が掛からないように、出来るだけボールに触れないでおこう。

 いつものネガティブ陰キャモードに逆戻りした俺は、目でボールを追わず、ただひたすら床を見ている。

 その俺の愚行が災いした。


「あぶなっ!」


 バシン――!


 ボールが俺の顔面に直撃したのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。