第14話 好きな食べ物は巨大フランクフルト♡
じゅっぽ、じゅっぽ――。
「ああ、美味しいわね、巨大フランクフルト♡」
コンビニの駐車場の隅にあるたまり場にて。
先ほど買ったものを、二人で食べているのだが……。
名月さんの食べ方がとても気になって、なかなか集中できない。
普通に食べればいいものの、フランクフルトを口に出し入れしながら、舐め回している。
案の定、俺の危惧したことが、目の前で行われている。
「ナニに見立てているんですかねえ……」
訝しげに彼女のことを眺めていると、名月さんは食べる手を止め、平然とした顔で見つめてくる。
「あら、勘違いしないでもらえるかしら? 私は食べ物として純粋にビッグマートの巨大フランクフルトが大好物なのよ。あらあらあら? 平谷君は私の巨大フランクフルトを食べている姿を見て、何を想像していたのかしら?」
「じゃあ、どうしてビッグマートの巨大フランクフルトが好きなのか、言ってみなさい」
「それはね、肉厚でジューシーでぶっとくて食べ応えがあるところよ」
「一応筋は通っているけど……きみの口から飛び出る言葉は全てがドスケベな意味に聞こえてくるのだけど」
「そうかしら? あ~ん、この巨大フランクフルト、長くてふっといわ~♡」
「やっぱり確信犯だろ!」
巨大フランクフルトを恍惚とした表情で見る名月さんを見て、流石の俺でも若干引き気味だ。
薄々気がついていたけど、やっぱりこの人、常軌を逸している……。
「一旦、抑えよう。俺の前だけならいいけど、ここ外だよ? しかも、人通りが多いコンビニ前だし」
周囲を見渡すと、繁華街ということもあり老若男女問わず、多くの人で賑わっている。
こんなところで、平然とど下ネタを言う名月さんはやっぱりおかしい。
暴走が止まらない名月さんを無視して、辛味巨大チキンを頂こうとしよう。
「うんま♡」
うん、程よい辛味が抜群に効いて、ジューシーに鶏肉とマッチしている。
コンビニで食べられるクオリティじゃないな、これ。
「チキン、美味しいかしら?」
「美味しいよ」
「私にも分けてもらえるかしら?」
「良いけど、それだと、俺が一方的に損をするような……」
「だったら、半分こするのはどうかしら? 私の巨大フランクフルトも半分あげるから」
「それならいいよ」
だいたい半分くらいになったチキンを手渡すと、名月さんは食べかけの巨大フランクフルトを渡してきた。
手渡されたフランクフルトは、じゅぽじゅぽしたせいで、ぎっちり名月さんの唾液が含まれている。
待て……。これって、もしかして……。
間接キスなのでは⁉
視線を彼女の方にやると、含みのある笑みでウインクをしてきた。
これも、ワザとか……!
そこまでは、全く想像にも及ばなかった。なんという無限の妄想力を持っているんだ、この人は……!
「ドスケベがすぎるよ……」
「と、同時に、平谷君の巨大チキンを頂くことによって、私の方も間接キスをできるという仕様よ」
まさかの同時進行、ラッキースケベ⁉
俺もラッキースケベを堪能できると同時に、名月さんもラッキースケベを堪能できるというのか……。
ここまで考えて……、何という策略家なのだろうか……。
「俺の想像をはるか上をいっている……」
「巨大チキン、いただくわ。うーん。平谷君の粘液の味がして美味しいっ♡」
「ちゃんとチキンの味をお伝えしなさい!」
「平谷君も私の巨大フランクフルト召し上がりなさいな」
「名月さんの巨大フランクフルトって、まるできみが生えているみたいじゃんか!」
「なるほど、その発想なかったわ。平谷君も私に負けず劣らずドスケベね。もし私に生えていたら、朝昼晩、しごき倒したいわね」
「多いよ……。つーか、白昼堂々する話じゃない……」
「ほら、冗談はいいから、早く食べなさい」
「うん、頂きます」
先ほど名月さんが下品な食い方をしていたフランクフルトを頂く。
うん、普通に美味しい……けれど、名月さんの粘液らしきものがところどころ付着している。
なんだこれは……。
美味しいけど、エロい。
美味エロい、という新たなるジャンルを発明したかもしれない。
「どうだった?」
「美味エロい」
「はい?」
「美味しくて、エロい……!」
そんなくだらないセリフを受けた名月さんは、途端に笑い始めた。
「あははは! 何それ、おかしすぎて、ツボに入ってしまったわ……!」
まあ、ウケたのなら、それで良いか。




