第13話 コンビニへ行こう!
『ビッグマート』は全国各地に展開するコンビニで、その特徴は『巨大シリーズ』という、コンビニ名にもある通り、通常よりも大きなサイズのものが売っている点である。
わざわざ名月さんが、このお店を指定してくるということは、お目当てはその『巨大シリーズ』なのだろう。
しかし、ボリューミーな商品であるため、一応見てくれは華奢なJKである名月さんがそのシリーズを求めているのかはいささか謎であるが。
それとも、何かのコラボ商品とかが目当てなのだろうか。
よく分からないが、とりあえず最寄りのビッグマートに案内した。
コンビニに入ると、名月さんは一目散にとあるコーナーに向かっていった。
それは、コンビニの隅にある、なぜかその一角だけ物々しいオーラを放っている成人誌コーナーだ。
「う~ん、やっぱりこのコーナーはいつ来ても、落ち着くわね」
「実家みたいに言うな」
「うわっ、見て、この表紙、ドスケベだわ」
「男子中学生みたいな盛り上がり方、やめてくれ」
成人誌コーナーの前で男女がワイワイ話しているという異常事態に、他のお客さんが俺たちをまるで怪異を見るような目で見ている。
学校の近くのコンビニじゃなくて良かった。仮にクラスメイトにこんな光景を見られてしまったら、大惨事間違いなしである。
名月さんは一つの本を手に取った。
「あった、あった。『天からの授かりもの』の最新刊♪」
それは名月さんが好きな作品である『天からの授かりもの』というエロラノベ。
相変わらず、表紙がドスケベすぎる。こんな本をいつも学校で真面目な顔をして読んでいるんだよなあ。
「えー、まだ続いているんだ。俺の記憶だと最終回を迎えていたような」
「本編は終わってしまったけれど、その続編みたいなものが続いているのよ」
「へー、ちょっと興味湧いてきたかも」
「オススメよ」
名月さんは大事そうに、その本を手に取った。本当に好きなんだな。
「しかし、流石は『ビッグマート』ね。昨今、ドスケベな本がコンビニから無くなる中、『ビッグマート』は比較的、ドスケベな本が置いてあるのよ。どうやら、その読みは当たったようね」
データキャラみたいに得意げに話す名月さん。
しかし、その内容はドスケベな事なんだよなあ……。
「というか、『ビッグマート』に行きたかった理由はそれかよ」
「勿論、それもあるけど。一番の目的は『巨大シリーズ』よ」
「やっぱりそうなのか」
名月さんはスタスタと歩いていく。それに後ろから付いていく。
彼女が訪れたのはレジ前のホットスナックのコーナー。
ホットスナックのコーナーと言えば、チキンやからあげ、焼き鳥といった夕飯前の小腹が空いたこの時間帯には、悪魔的な誘惑がある。
その中には『ビッグマート』おなじみの『巨大シリーズ』もある。
「そのコーナーに目をつけるとは、やるなあ、名月さん」
「でしょ? 平谷君も何か買ったら?」
「うん、買う。俺は『巨大チキン』にする」
「プレーンと辛味の二種類があるわよ。どっちにするのかしら?」
「どっちでもいいけど……刺激が欲しい気分だし、辛味にしようかな」
「ふーん。刺激が欲しいのね、平谷君は。ドスケベがまだまだ物足りないのね」
「バカッ! そういう意味じゃないから……!」
名月さんとの会話は慎重にいかないと。
すぐに会話が変な方向に行ってしまう。
「名月さんは何にするの?」
「私の一番好きな食べ物がこの中にあるの。それは何なのかは、お楽しみに」
「コンビニスナックが一番好きな食べ物なのかよ。なんというか、現代っ子というか」
「平谷君からお先にどうぞ。私は後から買うわ」
「うん」
名月さんに言われた通り、レジに向かう。
レジにて「巨大チキンの辛味、一つ」と伝えると、店員さんがホカホカの巨大チキンを持ってきてくれた。
お金を払い、名月さんを待つ。
袋越しから伝わるアツアツ感がたまらない。ああ、早く食べたい。
続き、名月さんがレジに向かう。
「巨大フランクフルト、一つ」
「かしこまりました」
フランクフルトか。
なかなかワイルドなものを頼んだな。
うん? フランクフルト?
なんだか嫌な予感がしてきたんだが……。




