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夢世界レベルアップ ~眠るたび異世界、目覚めるたび最強~  作者: 大雄山
第4章「遺跡編」

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雨の行手

雨の降る街道を、悠真たちの馬車はゆっくりと進んでいた。


御者台では悠真が手綱を握り、その隣にフィルが座っている。


フィルは悠真の手元を見ながら、感心したように声をかけた。


「悠真さん。馬車の扱いも、だんだん良くなってきましたね〜。」


「そう? ありがとう。」


馬車の中では、ツバキとゼノンが悠真のガスコンロを眺めながら、先ほどから魔道具について話し込んでいた。


雨の中を進み続けて、しばらくすると――。


「あっ。見えてきましたね〜。」


フィルが前方を指差す。


雨に霞む街道の先に、街の姿が見えてきた。


「ほんとだ。やっと着いたね。」


馬車はそのまま街へ入り、一軒の宿の前で止まった。


悠真は御者台から降りる。


「とりあえず、空いてるかどうか聞いてくるね。」


「わかりました〜。」


悠真は宿の中へ入っていった。


しばらくして戻ってくると、少し困ったような顔をしていた。


「この雨だから、あんまり部屋が空いてなくて。四人部屋なら一部屋取れたよ。」


「それでかまわないわ。」


「私もです〜。」


「わかりました。では、宿に伝えてきますので、馬車と馬の方をお願いします。」


「わかりました〜。」


悠真が再び宿へ入り、フィルたちは馬車を宿の裏へと移動させた。


やがて三人も宿へ入ってくる。


「お腹空きました〜。」


フィルがお腹を押さえる。


「俺も、そろそろ飲みたいからな〜。」


「ゼノンはいつもでしょ?」


ツバキが呆れたように笑った。


「では、そのまま宿の食堂で夕飯にしましょう。」


「はいです〜。」


四人は宿の食堂へ向かい、夕食を取ることにした。


食事が始まってからも、ゼノンとツバキは魔道具の話を続けていた。


「火力の調整はどうする?」


ゼノンがガスコンロを眺めながら尋ねる。


「魔石の大きさを変えるのはどうかしら。」


ツバキは少し考えながら答えた。


「なるほどな。魔石の大きさで火力を変えるのか。」


「ええ。三種類の魔石でどうかしら?」


「そのくらいがちょうどいいかもな。」


ゼノンは納得したように頷いた。


二人の話を聞きながら、フィルは食事を口へ運ぶ。


「私にはさっぱりです〜。」


そして、ふと隣に座る悠真を見た。


「ミリアちゃんが居ないので、お話もできなくて寂しいです〜。」


「そうだね。」


「悠真さんも、リシェルさんが居なくて寂しいんじゃないですか〜?」


「そんなこと……。」


悠真はそう言いかけて、少し考えた。


「うん、そうだね。もう少し、話したかったかな。」


「お〜。言いますね〜。」


「からかうなよ。普通のことだよ。」


「そういうことではないんです〜。まったく、悠真さんは〜。」


「?」


悠真は意味が分からず、不思議そうな顔でフィルを見ていた。


夕食を済ませて部屋へ戻ると、悠真たちはそれぞれ眠りについた。


悠真は一人、窓の外へ目を向ける。


雨はまだ降り続いていた。


窓を伝う雨粒をぼんやりと眺めながら、悠真もやがて眠りについた。


◇◇◇


翌朝。


激しく窓を叩く雨音で、悠真は目を覚ました。


「ん……?」


ゆっくりと身体を起こし、部屋の中を見回す。


(朝……? そのわりには暗いな。それに、雨の音もすごい。)


窓の前には、すでに起きていたツバキが立っていた。


「ツバキさん。おはようございます。」


「おはよう。すごい雨ね。」


悠真も窓の外を見る。


昨日よりも雨脚は強く、空は厚い雲に覆われていた。


「そうみたいですね。今日は雨がやみそうにないですね。」


「ええ。今日の移動はやめておいた方がいいかもしれないわね。」


「はい。今日はここで休みましょう。」


「ええ。」


その後、フィルとゼノンも目を覚ました。


四人は宿で朝食を取りながら、今日の予定について話していた。


「今日は雨がかなり強いので、もう一泊していこうと思います。」


悠真がそう伝えると、フィルはパンを食べながら頷いた。


「わかりました〜。」


「おう。なら俺は、魔道具作りをしてみようかと思う。」


ゼノンは隣に座るツバキへ視線を向ける。


「出来たら見てくれ。」


「わかりました。」


悠真が答えると、今度はフィルが手を挙げた。


「悠真さんは、どうするんですか〜?」


「僕はギルドに行って、少し話を聞いてこようと思う。」


「なら、私も一緒に行きます〜。」


ツバキはゼノンへ目を向けた。


「私はゼノンと一緒に、魔道具を作っているわ。」


「じゃあ、お願いします。」


朝食を終えると、ゼノンとツバキは部屋へ戻り、魔道具作りを始めることになった。


悠真とフィルは雨具を身につけ、冒険者ギルドへ向かった。


◇◇◇


ギルドへ入ると、中はいつもとは違い、どこかざわついていた。


何人もの冒険者が集まり、職員たちも慌ただしく動き回っている。


悠真は近くにいたギルド職員へ声をかけた。


「どうしたんですか?」


「実は、この雨で川が氾濫しそうなんです。」


「え? どうするんですか?」


「それが……どうしようかと困っているところなんです。」


周囲に集まっていた冒険者たちからも、次々と声が上がる。


「どうすんだよ。」


「錬金術師に壁を作ってもらうってのは?」


一人の冒険者が提案すると、別の冒険者が首を横に振った。


「そんなことしたって、大した壁にはならないぞ。」


「なら、魔法は?」


「《アースウォール》を築いたって、この雨じゃそんなに持たないぞ。」


「…………。」


誰も有効な手段を思いつかず、ギルド内に重い空気が流れる。


その時、フィルが悠真を見上げた。


「悠真さん。私は《アイスウォール》しか使えないので、ツバキさんを呼んできます。」


「うん。頼むよ!」


フィルはすぐにギルドを飛び出していった。


そのやり取りを聞いていたギルド職員が、不安そうに悠真を見る。


「大丈夫なんですか?」


「昨日、流された橋をツバキさんが錬成してくれたんです。何か方法がないか、聞いてみます。」


「ええ!?」


ギルド職員が驚いた声を上げる。


「あの橋を錬成した人なんですか?」


「はい。」


「橋が流されて、新しい橋を錬成してくれた人がいるとは聞いていましたが……。」


職員の表情が一気に明るくなった。


「ぜひ、お願いします!」

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