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夢世界レベルアップ ~眠るたび異世界、目覚めるたび最強~  作者: 大雄山
第4章「遺跡編」

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熱々な想い

 悠真は宿の裏庭を借り、夕食の準備を始めていた。


 《アイテムBOX》からBBQコンロを取り出し、その上に大きな鉄板を置いていく。


「よし。こんなもんかな。」


 鉄板の位置を整えていると、宿の中からツバキが姿を見せた。


「悠真さん、これは何をしているんですか?」


「ああ、ツバキさん。今日の夕飯は、ここで鉄板焼きをやろうと思いまして。」


「鉄板焼き……ですか。」


 ツバキはBBQコンロの上に置かれた鉄板を興味深そうに眺める。


「なら、わたしもお手伝いします。」


「お願いします。では、この材料を一口サイズに切って、串に刺していって下さい。」


「わかりました。」


 悠真はツバキに材料と串を渡すと、自分も別の野菜を手に取った。


「僕は、こっちの野菜を千切りにして、と。」


 二人は並んで作業を始める。


 ツバキが手際よく材料を切って串へ刺していく隣で、悠真も野菜を次々と千切りにしていく。


 こうして二人は、夕食の鉄板焼きの準備を進めていった。


 悠真が鉄板で料理を焼き始めた頃だった。


 ジュウッ――と食材の焼ける音が響き、香ばしい匂いが宿の裏庭いっぱいに広がっていく。


「なんか、香ばしくていい匂いがします〜。」


 匂いにつられるように、フィルが裏庭へ顔を出した。


「ちょうどよかった。フィル、みんなを呼んできてくれない?」


「はいです〜。」


 フィルは元気よく返事をすると、宿の中へ戻っていった。


 しばらくして、フィルに呼ばれたリシェルたちが次々と裏庭へ集まってくる。


「悠真、美味しそうな匂いがするな。」


 リシェルが鉄板を覗き込む。


 その横では、ゼノンがすでにエールの入ったグラスを片手にしていた。


「お〜、いい匂いだな〜。」


「はい。そろそろ出来ますよ〜。」


 悠真は鉄板の上の料理を確認すると、みんなを見回した。


「では、先に神殿の調査完了に乾杯しましょうか?」


「そうね。」


 ツバキもグラスを手に取る。


「では、みんなグラスを手に。」


 全員がそれぞれのグラスを掲げた。


「風の神殿の調査完了に、かんぱ〜い!」


「かんぱ〜い!」


 グラスがぶつかり合い、賑やかな声が裏庭に響く。


「よし、そろそろ焼けたかな〜。」


 悠真は鉄板へ向き直ると、焼き上がった料理を順番に並べていった。


「今日は、前回の残りのドラゴン肉の串焼きと、市場で見つけたイカのバター醤油焼き。それに、こっちがお好み焼きです!」


 香ばしく焼き上がったドラゴン肉の串焼き。


 バターと醤油の香りをまとったイカ焼き。


 そして鉄板の上では、ふっくらと焼き上がったお好み焼きが湯気を立てている。


「やっぱりドラゴン肉はサイコーです〜。」


 フィルが嬉しそうに串焼きを頬張る。


「このイカ焼きはエールに合うな〜。」


 ゼノンはイカ焼きを口に運ぶと、すぐさまエールを流し込んだ。


「ゼノンはエールに合えばなんでもいいでしょ。」


 ツバキが呆れたように言う。


「このお好み焼きってのは、食べたことない。」


 リシェルは珍しそうにお好み焼きを眺めながら、一口食べる。


「ホントに、どれも美味しいです。」


 ミリアも次々と料理を味わっていた。


 そんなみんなの様子を見ながら、悠真が笑う。


「今日はデザートもありますよ〜。」


「やったです〜。」


 フィルがすぐさま反応した。


「悠真さん。そのお酒に合うチーズはまだありますか?」


「もちろんです。」


 ツバキの言葉に、悠真は《アイテムBOX》へ手を伸ばす。


 その様子を見ていたリシェルが、ふっと柔らかく笑った。


「悠真、今日はホントにありがとう。」


「いや、もっと海鮮が手に入れば、もっと美味しいのが作れたんだけどな〜。」


「それなら、連合国ならいろんな魚介類が手に入りますよ〜。」


 フィルの言葉に、悠真が顔を上げる。


「ホントに? なら、次は連合国に行ってもいいかもね。」


「それなら、ちょうどよかったわ。」


 ツバキの言葉に、悠真が首を傾げる。


「え?」


「あとで言うつもりだったの。実は、そろそろ娘に会いたいと思っていて。母に手紙を出していたの。」


「そうですね。それで、何でちょうどいいんですか?」


「連合国へ行くには、中継都市を経由しないといけないの。それで、母にスズを中継都市まで連れてきてほしいと頼んであったの。」


「私も、スズちゃんに会いたいです〜。」


 フィルが嬉しそうに声を弾ませる。


「それなら、中継都市まで一緒だな。」


 リシェルの言葉に、悠真も頷いた。


「そうみたいだね。」


 食事を終えた悠真たちは、みんなで後片付けを済ませると、それぞれの部屋へ戻っていった。


「リシェル。おやすみ。」


「ええ。おやすみなさい。」


 そう言って別れようとした悠真だったが、少し嬉しそうに笑った。


「まだ、お別れにはならなかったね。」


「うん。もう少し一緒だね。」


 二人が顔を見合わせていると、少し離れたところからフィルの声が聞こえてきた。


「ミリアちゃん、なんかお邪魔みたいなので先にお部屋に入りましょ〜。」


「え、あ、はい。」


「フィルもミリアも、そんなんじゃないから。」


 リシェルが慌てて否定する。


「はは。でも、まだ一緒に旅ができるから僕も嬉しいよ。」


「……うん。」


 リシェルは少しだけ照れたように頷いた。


「じゃ、また明日。おやすみなさい。」


「うん。おやすみ。」


 リシェルが部屋へ入っていくのを見届け、悠真も自分の部屋へと戻っていった。


 やがて宿の明かりも一つ、また一つと消えていく。


 賑やかだった一日を終え、ソレイアの街は静かな夜に包まれていった。

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