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夢世界レベルアップ ~眠るたび異世界、目覚めるたび最強~  作者: 大雄山
第2章「王都編」

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王都の門

リーフ村の朝は、昨日までの不安が嘘のように穏やかだった。


 朝日を浴びた畑では、村人たちが笑顔で倒れた柵を直し始めている。


 広場では子どもたちの笑い声が響き、昨日泣いていた男の子が悠真を見つけると、元気よく駆け寄ってきた。


「お兄ちゃん!」


「おはよう。」


「魔物、もう来ない?」


 悠真は優しく頭を撫でる。


「しばらくは大丈夫だと思う。でも、危ないと思ったら無理はしちゃダメだよ。」


「うん!」


 男の子は満面の笑みで頷いた。


 その姿を見ていた村長が、深々と頭を下げる。


「この村を救っていただき、本当にありがとうございました。」


「僕一人の力じゃありません。運も良かっただけです。」


「それでも救われた命があります。」


 村長は小さな袋を差し出した。


「どうか受け取ってください。」


 中には銀貨と保存食、傷薬が入っていた。


 さらに村の女性たちが、焼きたてのパンや干し肉、干した果物を持ってくる。


「旅のお供に。」


「ありがとうございます。」


 その時、悠真の視界に青いウィンドウが浮かび上がった。



《アイテムBOX》


収納可能です。



「……試してみるか。」


 悠真がパンに触れ、収納を意識する。


 すると、パンは淡い光に包まれ、一瞬で姿を消した。


「き、消えた!?」


 村人たちが目を丸くする。


 悠真も慌ててアイテムBOXを開く。


 中には先ほど収納したパンが、きちんと並んでいた。


「本当に入ってる……。」


 干し肉、傷薬、銀貨も順番に収納する。


 村人たちは驚きながらも拍手を送った。


「便利な魔法ですねぇ。」


「……たぶん、そんな感じです。」


 説明できない以上、そう答えるしかなかった。



 昼前。


 悠真は村人たちに見送られながらリーフ村を後にした。


「また来てねー!」


 子どもたちが大きく手を振る。


 悠真も笑顔で振り返す。


「ああ、今度はゆっくり遊びに来るよ。」


 街道を歩きながら、リシェルの置き手紙を取り出す。


「約束、守れそうだな。」


 悠真は手紙を大切にしまい、王都への道を歩き始めた。



 三日後。


 遠くに巨大な城壁が見えてきた。


「……でかい。」


 見上げるほど高い城壁。


 その中央には巨大な門。


 人や馬車が次々と出入りしている。


「ここが……王都。」


 期待を胸に門へ近づく。


「止まれ。」


 低い声が響いた。


 門番の兵士が槍を交差させ、悠真の前に立つ。


「身分証の提示を。」


「身分証……?」


「冒険者証、商人証、市民証、どれでも構わん。」


 悠真は言葉に詰まる。


「持ってません。」


 門番の表情が厳しくなった。


「では、入城は認められない。」


「でも……。」


「規則だ。」


 周囲の視線が集まる。


 悠真が困り果てていると、聞き覚えのある声が背後から響いた。


「その者は、私の知人です。」


 兵士たちが一斉に振り向く。


「リシェル隊長!」


 銀色の鎧をまとった女性が、堂々と歩いてくる。


 悠真は思わず笑みを浮かべた。


「リシェル!」


 彼女は表情を崩さないまま近づき、小さく微笑む。


「無事に来られたようですね。」


「何とか。」


「村にも立ち寄ったそうですね。報告は受けています。」


「え?」


「リーフ村の村長から、騎士団へ感謝の連絡が届いていました。」


 悠真は少し照れくさそうに頭をかく。


「大したことじゃないよ。」


「あなたらしいですね。」


 リシェルは門番へ向き直る。


「彼の身元は、私が保証します。」


「承知しました!」


 兵士たちはすぐに槍を下ろした。


 門がゆっくりと開く。


「ようこそ、王都へ。」


また、悠真の視界に青いウィンドウが浮かび上がった。


【メインクエスト達成】


「王都アルディアへ向かえ」


《マップ》


周辺地形を表示します。


 「…地図要らないじゃん」


と、頭の中でつぶやいた。


 石畳の大通り。


 立ち並ぶ店。


 行き交う人々。


 大道芸人の歓声。


 香ばしいパンの香り。


「すごい……。」


 悠真は辺りを見回し、思わず足を止める。


 リシェルが小さく笑う。


「王都は初めてですか?」


「こんな街、見たことない。」


「ふふっ。少し案内したいところですが、その前に済ませることがあります。」


「済ませること?」


「冒険者ギルドです。」



 しばらく歩くと、大きな剣と盾の紋章を掲げた建物が見えてきた。


「ここが冒険者ギルド。」


 中へ入ると、多くの冒険者たちが依頼書を眺め、酒を飲み、談笑していた。


 受付へ向かったリシェルは、一人の受付嬢に声をかける。


「彼の冒険者登録をお願いします。」


「かしこまりました。」


 受付嬢は微笑み、奥から黒い石板を運んできた。


「こちらは《登録石板》です。」


「この上に手を置いてください。」


 悠真が手を置くと、石板は淡い青い光を放ち始める。


 静かな空気の中、光がゆっくりと収まっていく。


 すると石板の横から、一枚のカードが現れた。


 受付嬢はカードを手に取り、内容を確認する。


 しかし、その手が一瞬止まった。


「……あら?」


「どうかしましたか?」


「いえ……少し珍しい表示がありまして。」


 カードの下部には、誰にも読めない古い文字が刻まれていた。


 受付嬢は首を傾げる。


「古い登録石板では、ごく稀に判読できない文字が記録されることがあるんです。」


「登録には問題ありませんので、ご安心ください。」


 そう言ってカードを悠真へ手渡す。


 悠真は気にすることなく受け取った。


「これが……冒険者カード。」


 表には名前とランク。


 そして、読めない文字が静かに刻まれている。


 その意味を知る者は、この場には誰一人いなかった。


挿絵(By みてみん)

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