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夢世界レベルアップ ~眠るたび異世界、目覚めるたび最強~  作者: 大雄山
第4章「遺跡編」

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空へ続く道

朝。


宿の食堂には、いつものように朝食の香りが漂っていた。


これから向かうのは、風の神殿。


昨日までとは違い、今日は全員が揃っている。


悠真は最後の一口を食べ終えると、席を立った。


それにつられるように、仲間たちもそれぞれ立ち上がる。


荷物を確認し、宿の外へ出る。


朝の風が、悠真たちの間をすり抜けていった。


悠真は遠くにそびえる山を見上げる。


「さて、行きますか!」


「はい。」


「はいです〜。」


悠真たちは、風の神殿を目指して歩き始めた。


ソレイアを囲む広大な渓谷を抜け、山頂を目指して進んでいく。


山道を登るにつれて、少しずつ辺りに雲がかかり始めた。


やがて視界は白く霞み、吹き抜ける風も強くなっていく。


しばらく進んだ、その時だった。


雲の切れ間から、何かが姿を現す。


遥か上空。


白い雲の中に見え隠れする、巨大な建造物。


「見えましたね。」


「ああ。」


悠真の言葉に、リシェルが答える。


フィルも上を見上げた。


「見えました。あの巨大などこまでも伸びている蔓……」


雲の中へ消えていく巨大な蔓を見て、悠真は苦笑する。


「はは、今度は階段じゃないからさ。」


「この高さに、階段も関係ないですよ!」


フィルはすぐさま言い返した。


「そもそも、山頂まで歩いてきてからのこれですよ。」


「いつもそうでしょ。ほら、行きますよ。」


ツバキに促され、フィルはがっくりと肩を落とす。


「フィルちゃん、頑張りましょ。」


ミリアが優しく声をかける。


「はいです〜。」


悠真たちは、巨大な蔓へと足を踏み入れた。


蔓は何人も並んで歩けるほど太く、雲の中へ向かって緩やかに伸びている。


まるで空へ続く道のようなその蔓を、悠真たちは風の神殿を目指して歩き始めた。


どれほど登っただろうか。


悠真が上を見上げる。


「けっこう登りましたけど、まだ見えませんね。」


「ああ。それに雲に覆われてるから、景色もあまり見えないな。」


リシェルも周囲を見渡した。


「ええ。見えたら、絶景が凄そうだね。」


「そうだな。」


二人がそんな会話をしていると、下から声が飛んでくる。


「お二人さん、こんな時にいちゃつかないで下さいよ〜。疲れましたよ〜。」


「……。」


悠真とリシェルが同時に言葉を失う。


すると、さらに下からゼノンの声が響いた。


「その後ろを押してくれてるのは誰だ?」


「……。」


今度はミリアが黙る。


フィルはゆっくりと後ろを振り返った。


「ミリアちゃん、ありがとです〜。」


「いえ。これも訓練だと思って頑張ります。」


「ごめんなさい……。」


さすがのフィルも申し訳なさそうに小さくなる。


その様子を見て、ツバキがくすりと笑った。


「ふふ。さ、頑張りましょ。」


「はいです〜……。」


悠真たちは再び上を向く。


しばらく歩き続けると、雲の向こうに神殿の入口が見えてきた。


巨大な蔓の先に広がる浮遊大地。


その上に、風の神殿は静かにそびえていた。


「着きましたね。」


悠真がそう言うと、フィルが嬉しそうに声を上げる。


「着いたです〜。ミリアちゃんも、ありがとうです〜。」


「……。」


ミリアは返事をすることなく、その場に座り込んだ。


「ミリア。お疲れさま。」


リシェルが労うように声をかける。


「はいであります……。」


完全に疲れ切った声だった。


悠真はそんなミリアを見て、苦笑する。


「少し休憩してから入りましょう。」


「そうね。とりあえず、お茶にしましょう。」


ツバキの言葉に、皆が頷く。


「はい。」


「はいです〜。」


神殿を目前にしながら、悠真たちはしばしの休憩を取ることにした。


温かいお茶を飲みながら身体を休め、登ってきた疲れを癒していく。


やがて一息ついた頃、悠真たちは立ち上がった。


目の前には、風の神殿の入口が静かに佇んでいる。


リシェルが悠真を見る。


「悠真。頼む。」


「わかった。」


悠真は頷くと、一人で神殿の入口まで歩いていく。


そして、入口へ差しかかった――その瞬間。


ゴゴゴゴゴゴ……。


「っ!」


神殿の下方から、何かが動くような重い音が響いた。


同時に、足元が大きく揺れ始める。


「浮いてるから、揺れがすごいです〜!」


フィルが慌てて体勢を整える。


しばらくして揺れが収まると、リシェルが悠真を見る。


「これか?」


「たぶん。これで、五階層にガーディアンと扉が出現してるはずだ。」


悠真は神殿の奥へ視線を向けた。


「とりあえず、入ってみよう。」


「ああ。」


全員が立ち上がり、悠真を先頭に風の神殿へと足を踏み入れた。


一階層。


内部の壁には壁画と古代文字が刻まれている。


悠真たちは周囲を確認しながら進んでいくが、それ以外に目立ったものはなかった。


「ここも、他の神殿とあまり変わらないわね。」


ツバキが壁画を眺めながら呟く。


「そうですね。」


悠真は奥へと続く道へ目を向けた。


「では、二階層へ行ってみましょう。次からは魔物が出ますね。警戒していきましょう。」


仲間たちがそれぞれ頷く。


悠真たちは警戒を強めながら、二階層へと向かった。


二階層へ降りた悠真たちは、部屋の中を確認する。


「ブリーズスライムが七体ですね。風の力を使って突っ込んできます」


フィルの言葉に、リシェルが一歩前へ出た。


「悠真。ここは私とミリアに任せてもらえるか?」


「わかった。いいのか?」


「ああ。私たちはまだ、新しく打ち直してもらった剣を試していないしな」


「はいであります」


リシェルとミリアが、それぞれ剣を構える。


「ミリア。双剣の戦い方は昨日言った通りだ。やってみろ」


ゼノンの言葉に、ミリアは頷いた。


「はい」


その直後、一体のブリーズスライムが風をまとい、リシェルへ勢いよく突っ込んでくる。


リシェルはその動きに合わせ、剣を振るった。


ザンッ!


スライムが、きれいに真っ二つになる。


「……!」


リシェルの心が思わず躍る。


斬った感覚が、ほとんどなかった。


リシェルがゼノンを見ると、ゼノンは静かに頷いた。


一方、ミリアも風鉱石で造られた双剣を構える。


風の力をまとい、舞うように四体のスライムの間を駆け抜けていく。


次々と繰り出される斬撃は、まるで流れるような舞だった。


悠真は、その戦い方をしっかりと目に焼き付ける。


そして最後の一体をリシェルが斬り伏せ、戦闘は終わった。


「さすがだな。毎日剣を振ってるだけのことはある」


「いえ。やはりゼノンは、間違いなく凄腕の鍛冶師だ」


「すごいです。初めて双剣を使いましたが……馴染むというか、今までも双剣使いだったような感じがします」


その言葉に、ゼノンは満足そうに頷いた。


「やっぱり、リシェルたちはすごいね……」


悠真は二人の剣を見つめる。


剣術を習ったことのない悠真は、これまでスキルに頼って戦ってきた。


少しずつ剣術が分かるようになった今だからこそ、二人との差がよく分かる。


(……まだまだだな)


悠真は、自分の未熟さを悔しく感じていた。


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