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夢世界レベルアップ ~眠るたび異世界、目覚めるたび最強~  作者: 大雄山
第4章「遺跡編」

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風を得て、空を駆ける

「すごく綺麗です〜」


「……はい」


 ミリアも目の前の光景に見入っていた。


 悠真は近くの鉱石へ手を伸ばし、《鑑定》を使う。


 表示された結果を見て、口元を緩めた。


「やっぱり、風鉱石だ」


 周囲を見回していると、鉱石の所々が削られていることに気づく。


 よく見ると、何かにかじられたような跡が残っていた。


「ここは、ウィンドモールの餌場だったのかな〜?」


「だから、あんなにたくさんいたんですかね〜?」


「かもしれないな」


 目的の風鉱石を見つけた悠真は、《採掘》を使って鉱石を掘り始めた。


 次々と風鉱石を採掘していく悠真を見て、フィルが首を傾げる。


「そんなに持ってくんですか〜?」


「うん。珍しい鉱石みたいだから、少し多めに採ってこいってゼノンに言われてるから」


 悠真は再び風鉱石へ採掘道具を振るう。


「せっかくだから、多めに採ってくよ」


「自分も手伝います」


「ありがとう。じゃあ、ミリアも頼むよ」


「はい!」


 悠真は今度はフィルを見る。


「フィルは掘った鉱石をまとめといてくれ」


「は〜い」


 三人で手分けしながら、風鉱石を集めていく。


 そして、しばらくして――。


「これくらいあれば十分かな」


 悠真たちの前には、かなりの量の風鉱石が集まっていた。


 悠真はそれらを《アイテムBOX》へ収納する。


 その瞬間――。


ーーーー


〈クエスト達成〉


風鉱石を採掘せよ


報酬:《空歩》


ーーーー


(空歩……?)


(空を……歩く?)


 悠真は目の前に現れた文字を見つめる。


 聞き慣れないスキルだったが、とりあえず目的だった風鉱石は無事に手に入った。


 三人は坑道を後にし、ソレイアの街へ戻ることにした。


◇◇◇


 坑道を出た三人は、風の神殿の近くを通りながら山を下っていた。


 その時――。


「……ん?」


 悠真の《気配察知》が何かを捉えた。


 同時に、頭上を大きな影が横切る。


「何かいる……」


 フィルが空を見上げる。


 厚い雲の隙間から、翼を広げた魔物の姿が見え隠れしていた。


「あれは……ゲイルワイバーンです!」


 その瞬間――。


 悠真の前に文字が浮かび上がった。


 ーーーー


【緊急クエスト発生】


ゲイルワイバーンを討伐せよ。


 ーーーー


 ゲイルワイバーンは上空を大きく旋回すると、三人へ向かって急降下してくる。


「フィル!」


「はいです! 《アイスアロー》!」


 フィルの周囲に無数の氷の矢が現れ、一斉に放たれた。


 ゲイルワイバーンは翼を大きく広げて回避する。


 だが、数本の氷の矢がその身体を捉えた。


 ゲイルワイバーンは再び高度を上げ、三人から距離を取る。


「空に逃げられては、自分は何もできません!」


 ミリアが悔しそうに上空を見上げる。


「私の魔法でも、あの距離だと当たるかどうか……」


「それでいいから、フィル。ワイバーンを牽制して少し近づけてくれ!」


「はいです!」


 フィルは杖を構える。


「《ファイアアロー》!」


 いくつもの火の矢が、ゲイルワイバーンへ向かって飛んでいく。


 ゲイルワイバーンがそれを避ける。


 フィルは火の矢を操りながら、その進路を少しずつ誘導していった。


「今だ!」


 悠真は地面を強く蹴る。


「《瞬歩》!」


 一気に空へと飛び上がり、ゲイルワイバーンとの距離を詰める。


 だが――。


「届かない……!」


 高さが足りない。


「悠真さん!」


 ミリアが叫ぶ。


 ゲイルワイバーンは空中にいる悠真へ向けて翼を大きく羽ばたかせた。


 風が集まり――鋭い刃となって放たれる。


「くっ!」


 迫る風の刃。


 その瞬間、悠真の頭に先ほど手に入れたスキルが浮かんだ。


「《空歩》!」


 何もない空中を――蹴る。


 悠真の身体が横へと跳ね、風の刃がそのすぐ横を通り過ぎていった。


「え?」


 ミリアが目を丸くする。


 その隙を、フィルは見逃さなかった。


「今です!」


 操っていた火の矢がゲイルワイバーンへ襲いかかる。


 ドンッ!


「ギャアアアッ!」


 火の矢を受けたゲイルワイバーンが鳴き声を上げ、大きく体勢を崩した。


 悠真は再び空中を蹴る。


「《空歩》!」


 一歩。


 さらに一歩。


 空を蹴りながら、一気にゲイルワイバーンとの間合いを詰めていく。


「《フレイムエンチャント》!」


 剣に炎が纏う。


「はあっ!」


 ザシュッ!


 炎を纏った剣が、ゲイルワイバーンを斬り裂いた。


「ギャアアアアッ!」


 ゲイルワイバーンは雄叫びを上げ、そのまま地面へと落ちていった。


 ーーーー


【緊急クエスト達成】


ゲイルワイバーンを討伐せよ。


LEVEL UP


Lv.59 → Lv.64


 ーーーー


 そして悠真は――。


 何もない空中を一歩ずつ蹴りながら、ゆっくりと地上へ降りてくる。


「……」


「……」


 フィルとミリアが、呆然と悠真を見つめていた。


「悠真さん、空飛べるんですか!?」


「飛ぶというより、空を蹴って移動してる感じでしたね!」


「……やれば、できるもんだね」


「できないです!」


「できません!」


 二人の声が綺麗に重なった。


「あははは〜」


「ほんとに……悠真さんは普通じゃないんですから〜」


 フィルは少し諦めたように言った。


 その隣で、ミリアも頷くしかなかった。


「さて……帰ろっか?」


「は〜い」


「はい」


 フィルは大きく伸びをする。


「もう、今日は美味しいご飯いっぱい食べたいです〜」


「それは、いつものことじゃないか〜」


「確かに」


「今日は特にです!」


「あはは」


 三人の笑い声が響く。


 夕日に染まり始めた空の下。


 悠真たちは笑いながら、ソレイアの街へと帰っていった。

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