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夢世界レベルアップ ~眠るたび異世界、目覚めるたび最強~  作者: 大雄山
第4章「遺跡編」

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風の島

朝日が草原を優しく照らし、朝露に濡れた草葉がきらきらと輝いていた。


澄んだ空気の中、悠真たちは朝食を済ませると、出発の支度を整えた。


「よし。それじゃあ、行きましょうか」


「はいです〜!」


馬車に乗り込み、獣人の国へ向けて出発する。


旅は順調に進み、獣人の国までの道のりも半分を越えた頃。


少しずつ風が吹き始めた。


悠真の髪が、吹き抜ける風に揺れる。


「少し風が出てきましたね〜」


「そうですね〜」


フィルは乱れ始めた髪を手で押さえた。


「髪、ちょっと縛った方がいいかな〜」


「そうね。縛るなら、縛った方がいいかもしれないわ」


ツバキはそう答えると、風の吹いてくる方へ目を向ける。


「ここからは、常に風が吹いていると思うわ」


「そうなんですか?」


「ええ。獣人の国は、別名『風の島』――ウィンドアイランドとも呼ばれているくらいですもの」


「へ〜。そうなんですね〜」


フィルは乱れる髪を気にしながらも返事をする。


するとツバキは、進行方向に連なる山々へ目を向けた。


「あの山の上を見て」


「山の上?」


悠真もその視線を追う。


遠くに連なる山々。


その山頂付近は、厚い雲に覆われていた。


「あの雲の中に、風の神殿が浮いているのよ」


「えっ!? 浮いているんですか?!」


悠真が驚きの声を上げる。


「ええ。風の神殿は常に雲に覆われていて、どうして浮いているのかは、今でも分かっていないみたいだけど……風鉱石が影響しているんじゃないかって言われているわ」


「風鉱石……」


その言葉に、ゼノンが反応する。


「そうじゃ。その風鉱石が、俺は今回欲しいのよ〜」


「そうだったんですね〜」


悠真はもう一度、雲に覆われた山頂へ目を向けた。


その雲の中に、本当に神殿が浮かんでいる。


そう考えるだけで、胸が少し高鳴る。


「楽しみですね〜」


「はいです〜! 果物いっぱい食べたいです〜!」


フィルが嬉しそうに答える。


「フィルはそればっかりだな〜」


「だって楽しみなんです〜」


四人は笑いながら、馬車の旅を進めていった。



獣人の国は、海へ大きく突き出した半島に広がっている。


悠真たちを乗せた馬車は、その半島をぐるりと回るように海沿いの道を進んでいった。


片側にはどこまでも続く青い海。


反対側には、緑に覆われた山々が連なっている。


「すごいですね〜」


フィルが景色を眺めながら声を上げた。


「ホントに島みたいな感じがします〜」


悠真も馬車の横に広がる海へ目を向ける。


「ホントだな〜。ずっと海が見えてるもんな〜」


しばらく馬車を走らせる。


ソレイアへ近づくにつれ、道の周りには少しずつ畑が見え始めた。


「……あっ」


悠真が何かに気づく。


畑では、何人もの獣人たちが作物の世話をしていた。


海へ目を向ければ、小船を出して漁をする獣人たちの姿もある。


悠真は思わず身を乗り出した。


「すごい……初めて見たけど、本当に耳と尻尾が生えてる〜」


「向こうの世界にはいないんですか?」


ツバキが不思議そうに尋ねる。


「あっちは人間しかいないよ。それに、魔法とかはなくて……科学が進んでるんだ」


「科学?」


ゼノンが首を傾げた。


「科学って何だ?」


「ん〜……僕もちゃんとした説明はできないけど、向こうには魔力の代わりに電力っていうものがあって、その電力でいろんな物を動かしたりしてるんだよ〜」


「それは、魔道具みたいなもんか?」


「ま〜、そうかもしれないし、違うかもしれない……」


悠真は少し困ったように笑う。


「でも、似たようなものなのかな〜」


自分でも上手く説明できず、悠真は苦笑いを浮かべた。


そんな話をしながら、馬車はさらに先へと進んでいく。


しばらくすると――。


「うわ〜、綺麗ですよ〜!」


突然、フィルが海を見ながら声を上げた。


悠真もそちらへ顔を向ける。


ちょうど夕日が、海の向こうへ沈もうとしていた。


茜色に染まった空。


その光を映した海が、きらきらと輝いている。


「ホントだ。綺麗だね〜」


悠真もしばらく、その景色に見入っていた。


そして反対側へ目を向ける。


山と山の間に、大きな谷が広がっていた。


その谷間には、いくつもの畑と街並みが広がっている。


海から吹き込んだ風は、谷間に沿うように山の上へと吹き抜け、その風を受けて、いくつもの風車がゆっくりと回っていた。


海と山。


その間に広がる緑豊かな大地と街。


悠真は目の前に広がる景色に、しばらく目を奪われていた。


ツバキも谷の先へ目を向け、微笑む。


「着きましたね。獣人の国――首都ソレイア」


「ここが……ソレイア」


悠真は改めて、目の前に広がる街を見渡した。


長い旅の末、ようやく目的地へ辿り着いた。


「とりあえず、宿を目指しましょう」


ツバキが三人へ振り返る。


「私の行きつけでもよろしいですか?」


「はい。よろしくお願いします」


悠真たちを乗せた馬車は、海風に風車が回る谷の中を、首都ソレイアへと進んでいった。

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