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夢世界レベルアップ ~眠るたび異世界、目覚めるたび最強~  作者: 大雄山
第2章「王都編」

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一人旅の始まり

柔らかな風が森を吹き抜ける。


木漏れ日が揺れ、小鳥のさえずりが静かな朝を彩っていた。


その時――。


空中に小さな光の粒が現れる。


一つ、また一つと増え、無数の光が渦を巻き始める。


やがて人の形を作ると、眩い閃光とともに一人の青年が姿を現した。


「……戻ってきたか。」


神崎悠真は深く息を吸う。


森の匂い。


鳥の鳴き声。


頬を撫でる風。


もう夢ではなく、この世界の日常になりつつあった。


「リシェル?」


辺りを見回す。


だが、彼女の姿はない。


焚き火の跡だけが静かに残っていた。


近づくと、焚き火の横に革袋と一通の封筒が置かれている。


封筒には綺麗な字で書かれていた。


『神崎 悠真へ』


悠真は封を開いた。



神崎悠真へ


あなたが戻る前に、騎士団より王都への帰還命令を受けました。


本当は直接伝えたかったのですが、あなたがいつ戻るか分からず、任務を優先することにしました。


勝手に先に行ってしまうことを許してください。


あなたなら、一人でも王都まで辿り着けると信じています。


地図と短剣、少しですが旅の資金を入れておきました。


街道沿いを進めば、いくつか村があります。


困ったことがあれば、冒険者ギルドを頼ってください。


王都アルディアで待っています。


また会える日を楽しみにしています。


――王国騎士団 隊長 リシェル・フォン・アルディア



悠真は手紙を静かにたたみ、胸ポケットへしまった。


「……リシェルらしいな。」


少し寂しい。


でも、不思議と嫌な気持ちはしなかった。


「一人でも来られるって、信じてくれてるんだよな。」


そう呟くと、小さく笑った。


革袋の中には数枚の銀貨と簡単な携帯食も入っていた。


そして王都までの地図と短剣。


「よし。」


「王都まで、一人で行ってみるか。」


その瞬間。


悠真の視界に青白いウィンドウが浮かぶ。



【メインクエスト】


王都アルディアへ向かえ。


報酬:???



「また出た……。」


相変わらず、この画面は自分にしか見えない。


何のために表示されるのかも分からない。


「まあ、行けば分かるか。」


悠真は地図を広げ、街道へ向かって歩き始めた。



昼過ぎ。


街道を歩いていると、一台の荷馬車が追いついてきた。


「兄ちゃん、どこまで行くんだ?」


恰幅のいい商人が声を掛ける。


「王都まで。」


「一人か?」


「はい。」


商人は豪快に笑った。


「若いのに度胸あるな!」


「途中の村で休むといい。」


「最近は街道も物騒だからな。」


「魔物ですか?」


「ああ。」


「特にこの先のリーフ村じゃ困ってるらしい。」


「冒険者も集まってるって話だ。」


リーフ村。


地図にも載っている最初の村だった。


「ありがとうございます。」


商人は手を振りながら去っていく。


悠真は空を見上げた。


青空がどこまでも続いている。


「せっかくだ。」


「この世界を楽しみながら行こう。」


現実世界でも休日になれば、キャンプ道具を車に積み、知らない景色を求めて出かけていた。


山。


湖。


森。


自然の中を歩く時間が好きだった。


この世界にも、きっとまだ見たことのない景色がたくさんある。


戦うためだけじゃない。


旅そのものを楽しみたい。


そんな気持ちが、自然と胸に湧き上がっていた。


やがて夕暮れ。


街道の先に小さな村が見えてくる。


木製の柵に囲まれた、のどかな村。


入口には――


『リーフ村』


と書かれた看板が立っていた。


しかし、その村の空気はどこか重い。


村人たちは不安そうな表情を浮かべ、武装した村人たちが慌ただしく行き来している。


「何かあったのか……?」


悠真は村へ足を踏み入れる。


すると、再び青いウィンドウが現れた。



【クエスト発生】


リーフ村を救え。


報酬:???



悠真は苦笑いを浮かべる。


「休憩くらいさせてくれてもいいんだけどな。」


そう言いながらも、足は自然と村の広場へ向かっていた。

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