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夢世界レベルアップ ~眠るたび異世界、目覚めるたび最強~  作者: 大雄山
第4章「遺跡編」

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揺れる帰路

 悠真たちは空港へ到着した。


「今回は時間にも余裕がありますね」


 美月が時計を確認しながら言う。


「行きの便ではギリギリだったもんな〜」


「今回は、美月もいて助かったよ」


 悠真がそう言うと、美月は首を横に振った。


「私は、大したことはしていません」


「悠真がマイペースなんだろ〜」


「そうみたいだね」


 悠真は苦笑する。


「俺は少し空港を回ってくるから、蓮と美月は何か見ててよ」


「え?」


(何で?)


 美月が不思議そうに悠真を見る。


(少しは気を遣わないとな)


「分かった。なら美月、あっち見てみようぜ」


(悠真、ありがとな)


「…………」


 三人はそれぞれの思いを胸に、搭乗時間まで空港をぶらついていた。


     ◇◇◇


 帰りのフライトは順調だった。


 座席は行きと同じく、窓側から悠真、美月、蓮の順番で並んでいる。


 蓮は早々に眠っていた。


 悠真と美月は、仕事のことや福岡での出来事を話していた。


「空港では、一緒に行動してもよかったじゃないですか?」


「い、いや、俺も一人で回りたかったんだよ〜」


 その時――。


「……!」


 悠真の《気配察知》が何かを捉えた。


(今度は……行きの時よりもでかい!)


 大気が揺れ、飛行機が振動し始める。


 ポーン。


 シートベルト着用のランプが点灯した。


 ガタンッ!


 突然、機体が大きく高度を落とす。


「きゃあ!」


「うわっ!」


 機内のあちこちから悲鳴が上がった。


「うわ……めっちゃ落ちたな〜」


 蓮もさすがに目を覚ました。


「…………!」


 美月は目を閉じ、無言で悠真にしがみついている。


 悠真は窓の外を見た。


「…………」


 何かが飛行機の横を飛んでいる。


(何だ? あれは?)


 他にも窓の外を見ている乗客はいるが、誰もそれに反応していない。


(俺だけなのか?)


「な〜、美月。外のやつって何か見える?」


「……え?」


 美月はそっと目を開け、窓の外を見る。


「空しか見えませんけど?」


「…………」


 美月は、はっとして悠真から手を離した。


(やっぱり、他の人には見えていないのか……)


 悠真は再び窓の外を見る。


 その姿をはっきりと捉えた。


(ワイバーン!?)


 夢世界にいるはずの魔物だった。


(何でここに、夢世界の魔物が……)


 すると、ワイバーンが機体に向かって突っ込んできた。


「まずい!」


 ドォーン!


 機体が大きく揺れる。


「きゃあああ!」


 周りの乗客が一斉に声を上げた。


 何とか機体は持ち直す。


(このままじゃ、墜落する!)


 ワイバーンが旋回し、再びこちらへ向かってきた。


(また来る! 次はさっきより勢いがある!)


「《魔力障壁》!」


 悠真は小声で唱えた。


 ワイバーンが見えない壁に激突する。


 ズズンッ!


 機体への直撃は防いだものの、衝撃は伝わってくる。


「…………!」


 美月は目を固く閉じ、お構いなしに悠真へ抱きついた。


「うおっ!」


 蓮もシートにしがみついている。


(でも、このままじゃまずい!)


 悠真は機体を見る。


(機体は物質だから……もしかしたら!?)


「《ウィンドエンチャント》……」


 小さく唱える。


 機体が風の幕に覆われた。


(できた!)


 悠真は再びワイバーンを見る。


「《ウィンドカッター》……!」


 風の刃がワイバーンを捉える。


 その身体は真っ二つに切り裂かれ、海へと落ちていった。


「ふぅ〜……なんとかなったな〜」


 悠真は大きく息を吐く。


「美月、蓮。もう大丈夫だぞ」


「…………」


 美月はまだ悠真にしがみついたまま震えている。


「…………」


 蓮もようやくシートから手を離した。



 その後、飛行機は無事に目的地へ着陸した。


「いや〜、なんかすごかったな〜」


 機内を出た蓮が振り返る。


「キャビンアテンダントの人たちも大慌てだったな〜」


「ほんと、みんな無事でよかった」


 悠真が答える。


「大袈裟だな〜」


 蓮はふと思い出したように悠真を見る。


「そういえば悠真。あの時、何で両手広げてたんだ?」


「えっ?」


 一瞬、悠真の表情が固まる。


「あ、あれは……危ないって思って、前の席に手を伸ばしたんじゃないかな〜。アハハ……」


「ふ〜ん」


(危なかった……)


 悠真は小さく息を吐いた。


「…………」


 美月は先ほどのことを思い出し、顔を赤くしていた。


「お、お疲れさまでした。明日も仕事なので、今日は帰ります」


「お疲れさま」


 美月は足早に、どんどん先へ行ってしまった。


「さて、俺たちも帰ろーぜ」


 蓮が歩き出す。


「どうせ空港から電車で帰るのは、途中まで同じなのにな〜」


「そうだな」


 二人も美月のあとを追うように駅へ向かった。



 駅のホームへ着くと――。


「あっ」


 悠真が足を止める。


「…………」


 そこには、電車を待つ美月がいた。


「…………」


 悠真と目が合った美月は、気まずそうに視線を逸らす。


「まだ電車来てないのか〜」


 蓮が電光掲示板を見上げる。


「そうみたいだね」


 三人はそのまま同じ電車に乗り、それぞれの帰路についた。



 悠真は家に着いた。


「はぁ〜……」


 行きの飛行機といい、帰りの飛行機といい――。


 特に帰りの飛行機は、本当に危なかった。


「いったい、何が起こってるんだろう……」


 夢世界にいるはずのワイバーンが、現実世界に現れた。


 悠真は昨日と今日、現実世界で起こったことを思い返す。


「…………」


 そのまま悠真は、ゆっくりと眠りについた。

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