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夢世界レベルアップ ~眠るたび異世界、目覚めるたび最強~  作者: 大雄山
第4章「遺跡編」

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帰る前の寄り道

 悠真たちは、火の神殿の入口まで戻ってきた。


 外へ出ると、すでに日は傾いていた。


「やっと出られました〜……」


 フィルが疲れたように息を吐く。


 しかし――。


「…………」


 目の前には、行きに登ってきた長い長い階段が続いていた。


「また、ですか……」


 フィルの肩がガクッと落ちる。


「ここまで登ってきて、最後にこの階段ですか? まったく、昔の人は何で……」


「フィル、残りもう少しだから頑張ろ?」


「そうですよ。みんな一緒なんですから」


「…………」


 ゼノンは黙ったまま階段を見下ろしている。


「は〜い……」


 フィルは力なく返事をした。


 四人は長い階段を下り、山の麓を歩いていく。


 そして――。


「あっ……」


 ようやく遠くにゼノンの工房が見えてきた。


「う〜……ヘトヘトです〜」


「え〜、早く温泉に浸かりたいですね〜」


 ツバキも疲れた様子で工房を見つめる。


 あと少し。


 もう少し歩けば、ようやく休める。


 その時――。


 ゴォォォン――。


「はっ!?」


 悠真の足が止まった。


(今!? もう少しで温泉なのに〜!)


 次の瞬間――。


 悠真の身体が突然、光に包まれた。


「はい?」


「え?」


「何だ?」


 三人が一斉に悠真を見る。


「あ〜……ごめん。今らしい〜」


 悠真は自分を包む光を見ながら苦笑する。


「ゼノンさん、戻ったら僕の剣、よろしく頼みます」


「おい、待て! 剣だけは置いてけ〜!」


 悠真は光とともに、その場から消えていった。


「…………」


「…………」


「…………」


 三人は、悠真が消えた場所を見つめていた。


 しかし、疲れ果てた三人には、もう何かを言う気力すら残っていない。


「……帰りましょ」


「は〜い……」


「…………」


 三人は再び、すぐそこに見えるゼノンの工房へ向かって歩き始めた。


     ◇◇◇


 いつもの音楽のアラームが鳴る。


「……ん」


 悠真はゆっくりと目を開けた。


 見慣れない天井。


「…………」


 ぼんやりと天井を眺め――思い出す。


「あっ……そういえば、福岡に出張に来てたんだった……」


 悠真は身体を起こす。


「……うん。風呂に浸かろう〜」


 ホテルの部屋の風呂に湯を張り、ゆっくりと身体を沈めた。


「はぁ〜……」


 温かい湯に浸かりながら、悠真はぼんやりと考える。


 夢世界の方が長くいるせいか、不思議な感覚だった。


「ってか、向こうの世界の方が濃すぎるでしょ!?」


 悠真は湯船に身体を預ける。


 今日は朝からゆっくりしてから、午後のフライトで帰る予定だ。


 風呂から上がって身支度を済ませると、悠真は朝食を取るためレストランのある階へ向かった。


 バイキング会場へ入ると、蓮と美月が先に朝食を食べていた。


「おはよ〜」


 悠真が声をかける。


「おはようさん」


「おはようございます」


 悠真も朝食を取り、二人のところへ向かう。


「ゆっくりだな〜?」


 蓮が悠真に話しかける。


「うん。寝たのに疲れた感じがして、風呂に入ってたよ」


「あの後、別れてから一人で飲みに出かけたのか〜?」


「違うよ。何か疲れが取れなくて」


「そうなんですね」


 美月が悠真を見る。


「まだ時間はあるし、マッサージでも行ったらどうですか?」


 そして、少し声を落とした。


「それか……私がしてもいいですけど?」


「え? そこまでではないよ〜」


「…………」


 蓮には、バッチリ聞こえていた。


「それより、まだフライトまで時間があるし、少し回ってみよう」


 悠真が二人に声をかける。


「そうですね」


 美月が頷き、蓮を見る。


「蓮さんはどうしますか?」


「……も、もちろん回るに決まってるさ!」


     ◇◇◇


 朝食を終え、三人はホテルの外へ出た。


「みんなは、どこか行きたい所とかある?」


 悠真が尋ねる。


「私は神社に行きたいです。日本三大八幡宮の一つなんですが、いいですか?」


「もちろん。蓮は?」


「俺は福岡タワーかな〜」


「いいね」


「悠真は?」


「俺は、明太子を中洲の本店で買いたいんだ」


「いいですね〜」


「よし。決まり」


 すると、蓮が張り切って切り出した。


「さっそく、美月の行きたい神社から行こうぜ」


 三人は神社へ向かい、揃ってお詣りをした。


 お詣りを終えたところで、美月が二人を見る。


「少しいいですか?」


「うん?」


 悠真と蓮が美月を見る。


「御朱印をもらってきます」


「もちろん」


 しばらくして、美月が御朱印帳を手に戻ってきた。


「ありがとうございます」


 美月は御朱印帳を見ながら話す。


「いろんな所に行っては、御朱印を集めていて」


「へー」


 蓮があまり興味なさそうに返事をした。


「いいね。なんかそういうの」


 悠真がそう言うと、美月が嬉しそうに顔を上げた。


「ほんとですか? ありがとうございます」


「…………」


 蓮は黙って二人を見ていた。


「よし、次は福岡タワーへ行こうぜ」


「よし、行こう」


「はい」


     ◇◇◇


 三人は福岡タワーへ向かった。


 中へ入ると――。


「お〜! すげ〜! たけ〜!」


 蓮は子供のようにはしゃいでいた。


「ちょっと、もう少し静かにした方がいいですよ」


 美月が恥ずかしそうに言う。


「蓮、テンション上がりすぎ〜」


 悠真も笑う。


「ま〜、分からなくもないけどね〜」


 三人はタワーの中を見て回る。


「でも、ここってアレだね。夜に来たらライトアップとかされて、もっと綺麗なんだろうなぁ〜」


「そ、そうですね」


 美月が少し照れくさそうに返事をした。


 一通り回り、三人は福岡タワーをあとにした。


「よし、最後は明太子を買いに行こ〜」


     ◇◇◇


「うん。コレ美味いね」


 悠真は明太子を試食しながら、どれを買おうか選んでいた。


 美月はすでに商品を選び終え、配送を頼んでいる。


 一方、蓮はめんたいチップスを買い、外で食べていた。


 悠真も一通り選び終えると、配送を頼んだ。


「よし」


 満足した悠真は時間を確認する。


「さて、一通り回って時間もちょうどいいし、空港へ向かおう〜」


「はい」


「そうだな」


 三人は空港へ向かった。

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