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夢世界レベルアップ ~眠るたび異世界、目覚めるたび最強~  作者: 大雄山
第4章「遺跡編」

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フレイムキマイラ

四人は八階層へ降りてきた。


階段を下りきったところで、フィルが足を止める。


「フレイムキマイラです〜」


部屋の奥には、獅子の頭を持つ巨大な魔物が立っていた。


その背後では、蛇のような尻尾がゆらゆらと揺れている。


「尻尾の蛇は毒を持っています。噛まれないように気をつけてください〜」


「なら、尻尾はこの子に任せるわ」


ツバキが地面へ手をつく。


「《錬成》」


ゴゴゴッ――!


地面が隆起し、形を変えて一本の剣を作り上げる。


さらに――。


「《物質の昇華》」


淡い光が剣を包み、強度を一段階上げた。


龍核兵が剣を受け取る。


「それなら、俺が正面で盾をやる」


ゼノンが大斧を構えた。


「悠真とフィルは横から攻めろ」


「はい」


「はいです〜」


ゼノンが真正面からキマイラへ向かう。


その瞬間――。


「グオォォォッ!」


獅子の口が大きく開いた。


ゴォォォォッ――!


炎のブレスがゼノンへ向かって放たれる。


「《魔力障壁》!」


ゼノンの前方に光の障壁が展開された。


ドォォォッ――!


炎が障壁へ激突する。


「悠真!」


「大丈夫です!」


悠真は横から《魔力障壁》を維持する。


激しい炎が障壁を包み込む。


だが――。


(……いける)


以前よりも、明らかに余裕がある。


レベルが上がったことで、《魔力障壁》も強くなっていた。


やがて炎が弱まり――。


途切れた。


「よし!」


ゼノンが一気に間合いを詰める。


「おらぁ!」


ガァン――!


大斧がキマイラへ叩き込まれた。


「グォッ!」


キマイラの巨体が大きくよろめく。


その隙を逃さず、悠真が側面から駆ける。


「《瞬歩》!」


一瞬で間合いを詰め――。


ザンッ!


キマイラの横腹を斬り裂いた。


「グルァァァッ!」


キマイラが身体を捻り、悠真へ前脚を振るう。


「っ!」


悠真は《見切り》で軌道を読み、後ろへかわす。


直後。


背後の蛇が大きく口を開き、龍核兵へ襲いかかった。


ガキッ――!


牙が龍核兵へ食らいつく。


「…………」


龍核兵は何事もなかったように、その蛇を掴んだ。


「…………」


蛇が激しく暴れる。


だが、龍核兵の手はびくともしない。


そして――。


もう片方の手に持った剣を振り下ろした。


ザンッ――!


蛇の尻尾が地面へ落ちる。


悠真が思わず目を見開いた。


「……強っ!?」


尻尾を失ったキマイラが怒り狂う。


「グオォォォォッ!」


爪を振るい、角を突き出し、正面のゼノンへ襲いかかる。


「おっと!」


ガキィン――!


ゼノンが大斧で受け止めた。


その横から悠真が斬り込む。


ザンッ!


「こっちだ!」


キマイラが悠真へ顔を向ける。


だが、すぐさまゼノンの大斧が襲いかかる。


ガァン――!


「よそ見してんじゃねぇぞ!」


悠真とゼノンがキマイラを牽制する。


その間――。


フィルはすでに《多重詠唱》へ入っていた。


「みなさん、離れてください!」


「はい!」


「おう!」


「分かったわ」


悠真たちは一斉にキマイラから距離を取る。


フィルが杖を向けた。


「《アイスロック》!」


バキバキバキッ――!


キマイラの足元から氷が広がった。


「グルァッ!?」


氷は足を包み込み、そのまま上へ上へと凍りついていく。


キマイラが暴れる。


だが、凍りついた脚は動かない。


続けて――。


「《ウィンドウォール》!」


ゴォォォォォッ――!


キマイラを囲むように、激しく吹き上げる風の壁が立ち上がった。


次の瞬間――。


「《コキュートス》!」


ブワッ――!!


猛烈な冷気が一気にキマイラを包み込んだ。


白い冷気の靄が辺りを覆う。


「…………」


やがて、靄がゆっくりと晴れていく。


そこには――。


全身を完全に凍りつかせたキマイラの姿があった。


「フィル、凄っ!」


「お〜。やるな〜」


「フィル、すごいですよ」


三人に褒められ、フィルは嬉しそうに笑う。


「えへへ〜。言ったじゃないですか〜。大魔法使いだって〜」


「……ま〜、確かにすごかったよ〜」


悠真は凍りついたキマイラを見上げた。


「とりあえず、次は神龍がいると思うので、お昼休憩しましょ〜」


悠真が《アイテムBOX》へ手を入れる。


「今回も、パパッと作りますよ〜」


取り出したのは、パスタとレトルトのパスタソース。


そしてガスコンロ。


「今日はカレーではないんですね〜」


「毎回カレーじゃないからな」


「今日も楽しみです」


悠真がガスコンロへ鍋を乗せる。


カチッ。


青い炎が灯った。


その瞬間――。


「何だ、その道具は!?」


「え?」


ゼノンがガスコンロを覗き込む。


「少し見せろ!」


「今使ってるから!」


「なら、終わったら見せろ!」


「はいはい」


やがて湯が沸き、悠真はパスタを入れる。


同時にレトルトのパスタソースも温めていく。


そして――。


十分後。


茹で上がったパスタへ、温めたソースをかける。


「はい。簡単カルボナーラの完成〜」


「美味しそうです〜!」


四人はさっそく食べ始める。


「うん。美味しいです〜」


ツバキも一口食べる。


「このクリーミーなソースが美味しいですね〜」


「…………」


ゼノンは無言。


ただ、黙々と食べ続けている。


「……気に入ったみたいですね〜」


フィルが小さく笑った。


食事を終え、四人は再び先へ進む。


九階層へ続く階段。


「次はきっと、神龍が待ってますね〜」


「また、邪龍になってたらどうしましょ〜」


「大丈夫ですよ〜」


フィルが笑う。


「また、私が浄化しますから〜」


「ええ。よろしく頼むわ」


悠真は階段の先を見る。


「行きましょう」


四人は九階層へと降りていった。

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