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夢世界レベルアップ ~眠るたび異世界、目覚めるたび最強~  作者: 大雄山
第1章「夢の始まり編」

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共闘

オーガが咆哮を上げる。


「グォォォォォォォッ!!」


轟音とともに、大地が震えた。


「来る!」


リシェルが剣を構える。


次の瞬間、オーガは巨体とは思えない速さで間合いを詰めてきた。


ドォォン!!


棍棒と剣が激しくぶつかる。


衝撃で地面がひび割れ、土煙が舞い上がる。


「悠真! 横から!」


「分かった!」


悠真は木の棒を握り、側面へ回り込む。


オーガの脚を狙って叩きつける。


ドコンッ!


「っ……!」


木の棒では皮膚をわずかにへこましただけだった。


まるで岩を叩いたような感触。


「硬すぎる……!」


「十分よ! 気を引いて!」


リシェルは隙を逃さず肩口へ鋭い一撃を叩き込む。


黒い血が飛び散る。


しかし、オーガは怯まない。


怒りに満ちた赤い目が、ゆっくりと悠真を捉えた。


「えっ……。」


「悠真! 離れて!」


もう遅かった。


巨大な棍棒が横薙ぎに振り抜かれる。


ドゴォォォン!!


「がっ!!」


悠真の身体は吹き飛ばされ、木々を何本も折りながら地面を転がる。


「ぐっ……はぁ……。」


息ができない。


腕も足も痺れて動かない。


(痛い……。)


(立て……。)


(立たなきゃ……。)


だが身体は言うことを聞かなかった。



「悠真!!」


リシェルは叫びながらオーガへ斬りかかる。


「こっちよ!」


怒涛の連撃。


首。


肩。


脇腹。


脚。


確実に傷を増やしていく。


「はぁぁぁっ!!」


鋭い一撃がオーガの胸を切り裂く。


だが、その巨体はなお前へ進む。


「そんな……!」


オーガは棍棒を高く振り上げた。


リシェルは迎え撃つ。


ガギィィィン!!


剣が悲鳴を上げる。


押し負ける。


「くっ……!」


次の瞬間。


巨大な拳がリシェルの腹部を捉えた。


ドォン!!


「きゃあっ!!」


リシェルの身体は宙を舞い、木へ激突する。


剣は地面へ突き刺さった。


「ぐっ……。」


立ち上がろうとするが、膝が震えて力が入らない。


「悠真……。」


苦しそうな声が届く。


「逃げ……て……。」



悠真はゆっくりと顔を上げた。


目の前では、オーガがリシェルへ歩み寄っていく。


一歩。


また一歩。


(逃げろ……。)


頭ではそう思う。


でも足は動かなかった。


夢だから?


違う。


ここで死ねば、この人は本当に死ぬ。


「……嫌だ。」


悠真は震える足で立ち上がる。


その瞬間。


青いウィンドウが目の前に現れた。



《条件達成》

魔物の討伐


格上との死闘


スキル《見切り》を習得しました。



世界が静かになる。


オーガの肩がわずかに動く。


腰が落ちる。


腕に力が入る。


(攻撃が来る……!)


棍棒が振り下ろされる。


悠真は反射的に身体を動かした。


ズドォン!!


地面が砕ける。


避けた。


だが肩をかすめ、服が裂ける。


「まだ……速い!」


もう一撃。


今度は半歩だけ早く動く。


紙一重でかわした。


(見えてる……。)


(全部じゃない。)


(でも、少しだけ分かる!)


オーガは苛立ち、力任せに棍棒を振り回し始めた。


攻撃は荒くなる。


悠真は必死にかわし続ける。


息が切れる。


足が震える。


それでも目だけは敵を追っていた。


(あと一回……。)


(あと一回、大振りになれば――。)


その瞬間だった。


オーガが怒り任せに棍棒を振り抜く。


見切りが反応する。


首元。


ほんの一瞬だけ、防御が空いた。


「今だ!!」


悠真はリシェルの剣へ飛びつく。


両手で柄を握る。


重い。


腕が悲鳴を上げる。


「うおおおおぉぉぉ!!」


全身の力を振り絞り、剣を振り抜く。


白銀の刃が一直線に走った。


ザシュッ!!


刃は首元を浅く切り裂く。


「……浅い!」


致命傷には届かない。


オーガが笑う。


(駄目だ……!)


そう思った次の瞬間。


リシェルがこれまで刻み続けた無数の傷が、一気に裂けた。


黒い血が噴き出す。


巨体が大きく揺れた。


一歩。


二歩。


そして――


ドォォォォン……。


オーガは、大地を揺らしながら崩れ落ちた。


静寂が訪れる。


悠真は剣を手放し、その場に膝をつく。


「勝っ……た?」


リシェルがゆっくり歩いてくる。


剣を拾い上げると、悠真の前に立った。


「最後の一撃……見事だったわ。」


悠真は苦笑しながら首を振る。


「違うよ。」


「俺は最後に剣を振っただけ。」


「勝ったのはリシェルだ。」


「俺一人だったら、最初の一撃で終わってた。」


リシェルは少し驚いたあと、ふっと笑みを浮かべた。


「そういうところ……嫌いじゃない。」


その時、青いウィンドウが浮かび上がる。



ボス討伐成功


レベルアップ!


Lv.2 → Lv.8



「……え?」


悠真の身体が淡い光に包まれ始める。


「悠真?」


「ごめん……俺……!」


言葉を言い切る前に、光は強くなった。


リシェルは慌てて手を伸ばす。


「待って!」


「王都で待ってる!」


「必ず行くよ!」


しかし、その指先が届くことはなかった。


悠真の姿は光の粒となって夜空へ消えていく。


リシェルはその場に立ち尽くし、小さく空を見上げた。


「あなたは……本当に、不思議な人ね。」


風だけが静かに森を吹き抜けていった。


挿絵(By みてみん)

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