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夢世界レベルアップ ~眠るたび異世界、目覚めるたび最強~  作者: 大雄山
第1章「夢の始まり編」

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白銀の騎士姫

朝露に濡れた草原を、悠真はゆっくりと歩いていた。


空はどこまでも青く、遠くには雪をかぶった山々が見える。


夢世界に来てから数日が過ぎていた。


現実では、おそらく数時間ほどしか経っていないはずだ。


不思議な感覚だった。


こちらでは何日も旅をしているのに、現実ではほんの数時間。


もしこの世界で一年過ごしたら、現実では十数日ほどしか経たない。


そんなことを考えながら街道を歩いていると、一台の荷馬車が追い越していった。


「兄ちゃん、街へ行くのか?」


御者の老人が気さくに声をかける。


「はい。」


「なら街道から外れるなよ。最近は魔物が活発でな。」


「ありがとうございます。」


老人は笑い、馬車は砂煙を上げて走り去っていく。


(この世界にも普通に暮らしている人がいるんだな……。)


ゲームとは違う。


みんな生きている。


笑って、働いて、家族を守っている。


その現実味が、悠真の胸に静かに刻まれていく。


⸻


歩き始めて数時間。


突然、遠くから金属がぶつかる音が響いた。


キィン! ガキン!


誰かが戦っている。


悠真は音のする方向へ駆け出した。


森を抜けると、そこには一台の豪華な馬車。


護衛の騎士たちが、十数体もの魔物に囲まれていた。


「くっ……!」


魔物は灰色の皮膚を持つ大型のゴブリン。


棍棒を振り回しながら、騎士たちを押し込んでいく。


その中心で、一人だけ圧倒的な強さを見せる女性がいた。


陽光を浴びて輝く白銀の鎧。


腰まで届く銀色の髪。


透き通るような青い瞳。


剣を軽々と振るい、一撃で魔物を切り伏せていく。


「はぁぁぁっ!」


轟音とともに剣が振り抜かれる。


魔物が二体まとめて吹き飛んだ。


(強い……。)


その姿に、悠真は一瞬見惚れた。


しかし次の瞬間。


背後から一体の魔物が彼女へ飛びかかる。


「危ない!」


悠真は地面を蹴った。


レベルアップした身体が風のように加速する。


そこに落ちていた木の棒を振り抜く。


ガキィン!


魔物の爪を弾き飛ばした。


「!」


女性が驚いた表情で振り返る。


「あなた……?」


「話は後! 今は倒そう!」


「……ええ!」


二人は背中を預け合う。


息は合わせていない。


それでも、不思議と動きが噛み合う。


悠真が敵を引きつける。


女性が一撃で仕留める。


逆に女性が囲まれれば、悠真が横から飛び込み敵の体勢を崩す。


静寂が戻る。


「助かったわ。」


女性は剣を地面につき立て、小さく息をついた。


「私はリシェル・アルヴェイン。王国騎士団所属よ。」


「神崎悠真。」


「……変わった名前ね。」


悠真は苦笑した。


その時だった。


森の奥から、重く地面を揺らすような足音が響く。


ドン……。


ドン……。


騎士たちの表情が一変する。


「まさか……。」


木々をなぎ倒しながら現れたのは、三メートルを超える巨体。


黒い皮膚。


赤く光る片眼。


手には巨大な鉄塊のような棍棒。


その姿を見たリシェルの顔から笑みが消えた。


「嘘でしょう……。」


騎士の一人が震える声で呟く。


「オーガだ……!」


巨体は悠真たちを見下ろすと、口元をゆがめて笑った。


その圧倒的な威圧感に、空気が凍りつく。


悠真は木の棒を握り直す。


(今までの敵とは……まるで違う。)


リシェルが静かに剣を構えた。


「神崎悠真。」


「どうした?」


「ここから先は危険よ。無理だと思ったら、すぐに下がって。」


「分かった。」


「必ず生きて帰るわ。」


オーガが咆哮を上げる。


その瞬間、大地が震えた――。

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