扉の先
朝日が窓から差し込み、鳥たちのさえずりが聞こえてくる。
居間へ向かうと、すでにカエデとツバキが朝食の準備をしていた。
「おはようございます。」
「おはよう。」
「おはようございます〜。」
フィルは、すでに席についていた。
テーブルには焼きたてのパンとスープ、それに卵料理が並んでいる。
「今日も神殿へ向かうんだろう?」
カエデが尋ねる。
「はい。」
「まずは、あの扉を調べてみようと思います。」
カエデは静かに頷いた。
「気をつけるんだよ。」
「はい。」
そのときだった。
「ママ、頑張ってね。」
スズが笑顔で手を振った。
ツバキは優しく微笑む。
「ええ。」
「行ってくるわね。」
◇
神殿の五階層へ到着した。
ガーディアンの残骸は、そのまま残されていた。
「やっぱり復活していませんね〜。」
「神殿の魔物は、倒されると復活まで十日ほどかかると言われています。」
フィルの言葉に、悠真は頷いた。
「それじゃあ、安心して進めるな。」
三人は巨大な扉の前へ立った。
悠真は両手をかける。
「よし。」
グッ――。
しかし、扉はびくともしない。
「開かないな。」
今度は引いてみる。
それでも結果は同じだった。
「押して駄目なら引いてみたんですけどね。」
フィルが苦笑する。
「悠真さんらしいですね〜。」
フィルは壁に刻まれた古代文字へ目を向けた。
「ええと……。」
「適合者よ、汝の力を示せ……ですね。」
「何のことなんですかね〜?」
そして、視線を扉の中央へ移した。
「あれは魔石ですね。」
「魔石?」
悠真は首をかしげた。
「魔力を蓄積したり、放出したりするための石ですよ。」
フィルは手を伸ばした。
淡い光が魔石へ流れ込んでいく。
しかし――。
「……何も起きませんね〜。」
ツバキが静かにつぶやく。
「土の神殿だから……。」
静かな声とともに、土属性の魔力が流れ込んでいく。
次の瞬間だった。
魔石が淡く輝き始める。
光は扉全体へ広がり、無数の紋様が浮かび上がった。
ゴゴゴゴゴ……。
重々しい音が響き渡る。
「開きましたね。」
「開いたな。」
「私がやっても開かなかったのに〜。」
フィルは不思議そうに首をかしげた。
三人は顔を見合わせ、ゆっくりと階段を下り始めた。
◇
たどり着いた先には、一匹の巨大な蜥蜴が待ち構えていた。
「ここにいましたね。」
「アースリザードです。」
アースリザードは大地を踏み鳴らした。
低い唸り声を上げながら、アースリザードが飛びかかってくる。
「フィル!」
「はい〜!」
「アイスウォール!」
ガンッ!
氷の壁へ激突し、アースリザードは大きく体勢を崩した。
ツバキが氷へ手を当てる。
「(錬成)」
次の瞬間、無数の氷の刃が弾丸のように飛び出した。
アースリザードの体へ次々と突き刺さる。
「今だ!」
「ウィンドエンチャント!」
悠真の剣へ風が宿る。
「ウィンドスラッシュ!」
鋭い斬撃がアースリザードを切り裂いた。
巨体がゆっくりと崩れ落ちる。
「とりあえず、という感じですね〜。」
フィルが息を整える。
「少し休憩したら先へ進みましょう〜。」
三人は頷き、さらに階段を下りていった。
◇
そして――。
高い天井から、巨大な影が舞い降りてきた。
ドシーン――。
「ドラゴン!?」
悠真が驚きの声を上げる。
「違いますよ〜。」
フィルが首を横に振った。
「ロックワイバーンです〜。」
「でも、空を飛び回るので厄介ですよ〜。」
ワイバーンは大きく翼を広げ、鋭い咆哮を上げた。
悠真は静かに剣を構える。
「始めよう。」




