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夢世界レベルアップ ~眠るたび異世界、目覚めるたび最強~  作者: 大雄山
第4章「遺跡編」

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ガーディアン

 目の前には、大剣を地面へ突き立てたガーディアンが立っていた。


 全身を土と岩に覆われた巨体は、まるで神殿そのものが動き出したかのような威圧感を放っている。


 ガーディアンは、ゆっくりと大剣を構えた。


 その瞬間だった。



【クエスト発生】


土の神殿を守るガーディアンを討伐せよ。


報酬:???



 悠真は目を見開いた。


(クエスト……。)


 ツバキが小さくつぶやく。


「……どうしてガーディアンが。」


 悠真は剣を握り直した。


「ここは慎重にいきましょう。」


 フィルは首をかしげる。


「襲ってこないですね〜。」


 悠真は一歩前へ出た。


 すると、それに合わせるように、ガーディアンも一歩前へ出る。


 ズシン――。


 重い音が神殿に響き渡った。


 悠真は足を止める。


 ガーディアンも止まる。


 再び一歩踏み出す。


 ガーディアンも踏み出す。


 ジリジリと、お互いの距離が縮まっていく。


 そして――。


 悠真が間合いへ入った瞬間だった。


 ガーディアンの大剣が、信じられないほどの速さで振り抜かれた。


「っ!」


 悠真はとっさに身をひねる。


 次の瞬間、大剣が地面へ叩きつけられた。


 轟音とともに床が割れ、無数の破片が飛び散る。


「危なっ!」


「とても剣で受けられる相手じゃないな……。」


 フィルは素早く背後へ回り込んだ。


「アイススピアー!」


 鋭い氷の槍が、ガーディアンの背中へ。


 しかし――。


 ガキィン!


 乾いた音が響いただけだった。


「なっ!?」


「硬すぎます〜!」


 ツバキも表情を曇らせる。


「さすがに硬いわね……。」


 そして、悠真へ視線を向けた。


「悠真さん!」


「土属性か風属性を武器に纏わせてみてください!」


「分かりました。」


 悠真は剣を構える。


「アースエンチャント!」


 すると、足元の砂や小石が剣へ集まり始めた。


 土は何重にも重なり合い、やがて二メートルほどの巨大な剣へと姿を変える。


「すごい……。」


 フィルが目を丸くした。


 悠真はそのまま駆け出した。


 激しい金属音が神殿へ響く。


 しかし、ガーディアンの装甲はびくともしない。


(硬い……!)


 その様子を見ながら、ツバキは静かに考えていた。


(薬品は効かない……。)


(決定打につながる方法が必要ね。)


 ツバキは床へ手を当てた。


「(錬成)」


 次の瞬間、ガーディアンの足元が柔らかく崩れ始めた。


「フィル!」


「足元を固めて!」


「はい!」


「アイスフィールド!」


 床が一気に凍りつく。


 ガーディアンは動きを止めた。


 悠真は再び剣を振るう。


 少しずつ、少しずつ装甲が剥がれていく。


「今です!」


 フィルが杖を掲げた。


「アイシクルニードル!」


 無数の氷の針が放たれる。


 それらは回転しながら突き進み、まるで一本の巨大な槍のようにガーディアンへ突き刺さった。


 装甲に大きな亀裂が走る。


「悠真さん!」


「はい!」


 悠真は剣を掲げた。


「アイスエンチャント!」


 巨大な土の剣へ氷がまとわりつく。


 冷気があたりへ広がった。


  そして――。


 悠真は深く息を吸い込んだ。


 スキル《剛力》。


 全身に力がみなぎる。


 腕が熱を帯び、足が地面へ深く沈み込む。


(これなら――!)


「はあああっ!」


 渾身の一撃が放たれる。


 ザンッ――。


 静寂が訪れた。


 ガーディアンの巨体が、大きな音を立てて崩れ落ちる。



【クエスト達成】


土の神殿を守るガーディアンを討伐せよ。


 レベルアップ


 Lv.28 → Lv.35


報酬:《精神耐性》



(精神耐性……?)


(心を強くする力か……。)


「なんとか……倒せましたね〜。」


 フィルはその場へ座り込んだ。


 ツバキも小さく息をつく。


 悠真もまた、剣を地面へ突き立てた。


「疲れた……。」


 そして三人は、ゆっくりと顔を上げる。


 その先には、巨大な扉がそびえ立っていた。


 悠真は静かに扉へ近づいた。


「扉があるなんて、聞いていませんけど……。」


 ツバキは首を横に振る。


「私も聞いたことがないわ。」


「ガーディアンのことも……。」


 フィルは不思議そうに扉を見上げた。


「何なんですかね〜?」


 悠真は苦笑した。


「とりあえず、今日はもう限界です。」


「一度戻りましょう。」


「カエデさんにも報告したほうがいいと思います。」


 ツバキは頷いた。


「そうね。」


 フィルはお腹を押さえた。


「私もお腹が空きました〜。」



 三人は月読へ戻った。


 家へ帰ると、カエデが目を丸くした。


「そんなことがあったのかい。」


「爺さんの言っていたことは、本当だったんだね。」


「まさか、ガーディアンまで現れるとはねぇ……。」


 三人は疲れ切っていた。


 しかし、夕食の時間になる頃には、フィルはすっかり元気を取り戻していた。


「おいしいですね〜。」


「うん!」


 スズも嬉しそうに笑う。


 その様子を見ながら、悠真は感心していた。


(すごいな……。)


(あんなに疲れていたのに、もう元気になってる。)



 その夜。


 みんなが寝静まった頃だった。


 ツバキは一人、静かに薬品を錬成していた。


 月明かりが、横顔を優しく照らしていた。


 その表情は、どこか寂しそうにも見えた。

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