ガーディアン
目の前には、大剣を地面へ突き立てたガーディアンが立っていた。
全身を土と岩に覆われた巨体は、まるで神殿そのものが動き出したかのような威圧感を放っている。
ガーディアンは、ゆっくりと大剣を構えた。
その瞬間だった。
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【クエスト発生】
土の神殿を守るガーディアンを討伐せよ。
報酬:???
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悠真は目を見開いた。
(クエスト……。)
ツバキが小さくつぶやく。
「……どうしてガーディアンが。」
悠真は剣を握り直した。
「ここは慎重にいきましょう。」
フィルは首をかしげる。
「襲ってこないですね〜。」
悠真は一歩前へ出た。
すると、それに合わせるように、ガーディアンも一歩前へ出る。
ズシン――。
重い音が神殿に響き渡った。
悠真は足を止める。
ガーディアンも止まる。
再び一歩踏み出す。
ガーディアンも踏み出す。
ジリジリと、お互いの距離が縮まっていく。
そして――。
悠真が間合いへ入った瞬間だった。
ガーディアンの大剣が、信じられないほどの速さで振り抜かれた。
「っ!」
悠真はとっさに身をひねる。
次の瞬間、大剣が地面へ叩きつけられた。
轟音とともに床が割れ、無数の破片が飛び散る。
「危なっ!」
「とても剣で受けられる相手じゃないな……。」
フィルは素早く背後へ回り込んだ。
「アイススピアー!」
鋭い氷の槍が、ガーディアンの背中へ。
しかし――。
ガキィン!
乾いた音が響いただけだった。
「なっ!?」
「硬すぎます〜!」
ツバキも表情を曇らせる。
「さすがに硬いわね……。」
そして、悠真へ視線を向けた。
「悠真さん!」
「土属性か風属性を武器に纏わせてみてください!」
「分かりました。」
悠真は剣を構える。
「アースエンチャント!」
すると、足元の砂や小石が剣へ集まり始めた。
土は何重にも重なり合い、やがて二メートルほどの巨大な剣へと姿を変える。
「すごい……。」
フィルが目を丸くした。
悠真はそのまま駆け出した。
激しい金属音が神殿へ響く。
しかし、ガーディアンの装甲はびくともしない。
(硬い……!)
その様子を見ながら、ツバキは静かに考えていた。
(薬品は効かない……。)
(決定打につながる方法が必要ね。)
ツバキは床へ手を当てた。
「(錬成)」
次の瞬間、ガーディアンの足元が柔らかく崩れ始めた。
「フィル!」
「足元を固めて!」
「はい!」
「アイスフィールド!」
床が一気に凍りつく。
ガーディアンは動きを止めた。
悠真は再び剣を振るう。
少しずつ、少しずつ装甲が剥がれていく。
「今です!」
フィルが杖を掲げた。
「アイシクルニードル!」
無数の氷の針が放たれる。
それらは回転しながら突き進み、まるで一本の巨大な槍のようにガーディアンへ突き刺さった。
装甲に大きな亀裂が走る。
「悠真さん!」
「はい!」
悠真は剣を掲げた。
「アイスエンチャント!」
巨大な土の剣へ氷がまとわりつく。
冷気があたりへ広がった。
そして――。
悠真は深く息を吸い込んだ。
スキル《剛力》。
全身に力がみなぎる。
腕が熱を帯び、足が地面へ深く沈み込む。
(これなら――!)
「はあああっ!」
渾身の一撃が放たれる。
ザンッ――。
静寂が訪れた。
ガーディアンの巨体が、大きな音を立てて崩れ落ちる。
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【クエスト達成】
土の神殿を守るガーディアンを討伐せよ。
レベルアップ
Lv.28 → Lv.35
報酬:《精神耐性》
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(精神耐性……?)
(心を強くする力か……。)
「なんとか……倒せましたね〜。」
フィルはその場へ座り込んだ。
ツバキも小さく息をつく。
悠真もまた、剣を地面へ突き立てた。
「疲れた……。」
そして三人は、ゆっくりと顔を上げる。
その先には、巨大な扉がそびえ立っていた。
悠真は静かに扉へ近づいた。
「扉があるなんて、聞いていませんけど……。」
ツバキは首を横に振る。
「私も聞いたことがないわ。」
「ガーディアンのことも……。」
フィルは不思議そうに扉を見上げた。
「何なんですかね〜?」
悠真は苦笑した。
「とりあえず、今日はもう限界です。」
「一度戻りましょう。」
「カエデさんにも報告したほうがいいと思います。」
ツバキは頷いた。
「そうね。」
フィルはお腹を押さえた。
「私もお腹が空きました〜。」
◇
三人は月読へ戻った。
家へ帰ると、カエデが目を丸くした。
「そんなことがあったのかい。」
「爺さんの言っていたことは、本当だったんだね。」
「まさか、ガーディアンまで現れるとはねぇ……。」
三人は疲れ切っていた。
しかし、夕食の時間になる頃には、フィルはすっかり元気を取り戻していた。
「おいしいですね〜。」
「うん!」
スズも嬉しそうに笑う。
その様子を見ながら、悠真は感心していた。
(すごいな……。)
(あんなに疲れていたのに、もう元気になってる。)
◇
その夜。
みんなが寝静まった頃だった。
ツバキは一人、静かに薬品を錬成していた。
月明かりが、横顔を優しく照らしていた。
その表情は、どこか寂しそうにも見えた。




