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夢世界レベルアップ ~眠るたび異世界、目覚めるたび最強~  作者: 大雄山
第3章「旅編」

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日常の違和感

 悠真は、光が消えた場所を見つめていた。


 そこには何もない。


 先ほどまで淡く揺らめいていた光も、今は跡形もなく消えている。


「何だったんだ……。」


 すると、遠くから声が聞こえてきた。


「おーい!」


 振り返ると、蓮たち三人が駆け寄ってくるところだった。


 悠真は慌ててホーンラビットをアイテムボックスへ収納する。


「突然どうしたんだ?」


 蓮が不思議そうに尋ねた。


「びっくりしたんだけど〜。」


 陽菜も頬を膨らませる。


「悠真さん、大丈夫ですか?」


 美月が心配そうに声をかけた。


「ああ、大丈夫だよ。」


 悠真は咄嗟に近くの石を指差した。


「何か、たぬき〜? が出たと思ったんだけど、違ったみたいだ。」


 三人は石を見つめた。


「なーんだ。」


「驚かせないでよ〜。」


「よかったです。」


 悠真は苦笑した。


「それより、ちゃんと薪拾いしたか?」


 すると、陽菜が笑った。


「どっちが?」


 四人は笑いながら、BBQをしている場所へ戻っていった。



(あれは、何だったんだろう。)


 悠真は考えていた。


 夢世界の魔物が、どうして現実世界に現れたのか。


 だが、答えは出なかった。



「いただきます!」


 四人は昼食を始めた。


 肉が焼ける香ばしい匂いが辺りに広がる。


 仕事の話。


 昔の話。


 他愛もない話が続いていく。


 やがて、食事を終えた四人は川へ向かった。


 しばらく4人で遊んでいると。


「うわっ!」


 蓮が足を滑らせて川へ転ぶ。


「冷たっ!」


 大きな水しぶきが上がった。


「あははは!」


 三人は声を上げて笑った。


「何だよ!」


「蓮らしいな。」


 すると今度は、陽菜が悠真の背中を軽く押した。


「ほらっ!」


「うわっ!?」


 悠真も勢いよく川へ落ちた。


 全身がずぶ濡れになる。


「やったな!」


「ふふん。」


 二人は顔を見合わせ、思わず笑った。


 その様子を見ていた蓮と美月も笑い出す。


 四人の笑い声が、山々へ響いていった。



 車へ戻ると、悠真は着替えを取り出した。


「持ってきてよかったな。」


 蓮が頷く。


「ああ。」


 そして、ふと悠真を見つめた。


「そういえば、お前、そんなに鍛えてたか?」


「えっ?」


「前より体つきが変わった気がする。」


 悠真は一瞬だけ言葉に詰まった。


(そういえば……。)


 レベルが上がるたびに、体が軽くなっているような気がしていた。


(もしかして、そういうことなのか?)


 悠真は慌てて笑った。


「最近、筋トレを始めたんだよ。」


「それにしては変わりすぎじゃないか?」


「気のせいだって。」


 蓮が不思議そうな顔をして見てくる。


 悠真は恥ずかしくなり、急いで車から飛び出した。


 陽菜と美月は、そんな悠真の後ろ姿を、なぜか黙って見つめていた。



 夕方になり、四人は片づけを始めた。


 空は赤く染まり、山々は静かに夕闇へ包まれていく。


 車内では、疲れて眠っている三人を乗せ、悠真は静かに車を走らせていた。


 なぜホーンラビットが現れたのか。


 なぜ空間が歪んだのか。


 考えても、答えは出なかった。


 蓮を送り届け、美月を送り届け、最後に陽菜を家まで送る。


「じゃあね。」


「あんたも気をつけなさいよ。」


「分かってるよ。」


 陽菜は笑いながら手を振った。



 家へ帰ると、悠真はシャワーを浴び、ベッドへ腰を下ろした。


「フィルとツバキには、何て説明しようかな。」


 頭をかきながら、小さく息を吐く。


「向こうも驚いただろうな。」


 考えても、うまい言葉は思いつかない。


「戻ったら、ちゃんと話すか。」


 そう呟いて、悠真は天井を見上げた。


 そして、不意に白銀の髪が頭に浮かぶ。


「……リシェルは元気かな。」


 悠真は、ふっと小さく笑った。


 そして、静かに目を閉じた。



 悠真が眠りについた頃。


 フィルとツバキは、馬車をゆっくりと進めていた。


「悠真さん……大丈夫でしょうか。」


 フィルが不安そうに呟く。


「大丈夫ですよ。」


 ツバキは穏やかに微笑んだ。


「必ず戻ると言っていましたから。」


「そうですよね。」


 フィルは小さく頷いた。


「でも、驚きました。」


「ええ。」


 ツバキは空を見上げた。


「夢渡りが、本当に存在していたなんて。」


 しばらくして、フィルが前方を指差した。


「あっ!」


「どうしました?」


「見えてきました!」


 山々の向こう。


 夕日に照らされた建物が、ぼんやりと見えていた。


 馬車は、ゆっくりと山道を進んでいく。

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