表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢世界レベルアップ ~眠るたび異世界、目覚めるたび最強~  作者: 大雄山
第3章「旅編」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
28/64

妖精の森

 朝日が草原を照らしていた。


 悠真たちは野営の片づけを終え、朝食を済ませていた。


「今日もいい天気ですね。」


 フィルが空を見上げる。


「ああ。」


 悠真は頷いた。


 すると、フィルが何かを思い出したように声を上げた。


「そういえば、この先に妖精の森があるんです。」


「妖精の森?」


「はい。街道から少し離れた場所なんですけど、とても神秘的な場所なんですよ。」


「旅人がよく立ち寄る名所なんです。」


 リシェルも頷いた。


「へえ。」


 悠真の目が輝く。


「行こう。」


「即決ですね。」



 しばらく進むと、深い森が見えてきた。


 木漏れ日が降り注ぎ、小川が静かな音を立てて流れている。


「きれいですね。」


 フィルが微笑んだ。


 しかし、その表情はすぐに曇った。


「……おかしいです。」


「何がだ?」


「精霊がいません。」


 リシェルも辺りを見回す。


「確かに静かすぎます。」


 すると、小さな光が三人の前へ現れた。


『助けてください。』


『私たちの住処の水辺に魔物が現れて奪ったのです。』


『仲間たちも、追い払われてしまいました。』


 その瞬間――。



【クエスト発生】


精霊たちを救え。


報酬:???



 悠真は剣の柄を握った。


「行こう。」



 巨大な水しぶきが上がる。


 長い胴体。


 鋭い牙。


 青黒い鱗。


「レイクサーペント……!」


 フィルが杖を構えた。


「アイスアロー!」


 無数の氷の矢が放たれる。


「はあっ!」


 リシェルが飛び出した。


 白銀の剣が、硬い鱗を切り裂く。


「ウィンドエンチャント。」


 悠真の剣が淡い緑色の光を帯びる。


「ウィンドスラッシュ!」


 風の刃がレイクサーペントを切り裂いた。


 巨体が大きく揺れる。


「やった!」


 しかし――。


 次の瞬間、巨大な尾が振り抜かれた。


「危ない!」


 三人は吹き飛ばされた。



 レイクサーペントの視線が、リシェルへ向けられる。


「しまった!」


 フィルは杖を構えた。


 だが、距離が近すぎる。


 魔法を放てば、リシェルまで巻き込んでしまう。


 悠真は地面を蹴った。


「間に合え!」


 リシェルを抱き寄せ、そのまま地面を転がる。


 鋭い牙が、目の前を通り過ぎた。


「悠真……。」


「大丈夫か?」


「ええ。」


 そう答えたリシェルの腕には、浅い傷が残っていた。



レイクサーペントが再び牙をむく。


 悠真は剣を構えた。


「フィル!」


「はい!」


「ゲイルバースト!」


 猛烈な風がレイクサーペントを吹き飛ばす。


「今です!」


 悠真は剣を握り直した。


「アイスエンチャント。」


 白い冷気が刀身を包み込む。


「これで終わりだ!」


 鋭い一撃が放たれる。


 レイクサーペントは大きく揺れ、そのまま静かに崩れ落ちた。



「ヒール。」


 淡い光がリシェルを包み込む。


「ありがとうございます。」


 悠真は安堵の息を吐いた。


「本当に大丈夫か?」


「ええ。」


 リシェルは優しく微笑んだ。



 悠真は辺りを見回した。


「ひどいな……。」


 美しかった水辺は荒れ果てていた。


 池の水も濁っている。


「《クリーン》」


 しかし、水の濁りは消えない。


「駄目か。」


 フィルが前へ出た。


「わたしがやります。」


 杖を池へ向ける。


「ピュリフィケーション。」


 柔らかな光が池全体を包み込んだ。


 すると、濁っていた水は透明さを取り戻し、水面が美しく輝き始めた。



 無数の光が森の中へ舞い戻ってくる。


 精霊たちだった。


 花が咲き、小川が輝き、森全体が優しい光に包まれていく。


「きれいですね。」


「ああ。」


 悠真の隣へ、リシェルが静かに並んだ。


「悠真。」


「ん?」


「助けてくれて、ありがとうございました。」


「当然だろ。」


 リシェルは少しだけ微笑んだ。


「それに、わたしはあなたを守る立場でもありたいですから。」


 悠真は驚いたように目を瞬かせる。


「……ああ。頼りにしてる。」


「はい。」


 すると、少し離れた場所からフィルの声が聞こえた。


「仲がいいですね。」


 二人は同時に振り返る。


「え?」


「え?」


 フィルはにっこりと笑った。


「何でもありません。」


 リシェルは慌てて視線をそらした。


「フィ、フィル!」


「はいはい。」


フィルは楽しそうに微笑んだ。



 そのとき、悠真の目の前に文字が浮かび上がる。



【クエスト達成】


精霊たちを救え。


レベルアップ


Lv.20 → Lv.24


報酬:《魔力障壁》


【新たなスキルを獲得しました】


《魔力障壁》


魔力によって障壁を展開します。


障壁の強度は、使用者の魔力量によって変化します。



 悠真は静かに文字を見つめた。


(もし、この力が少しでも早く使えていたら……。)


(リシェルは怪我をしなくて済んだのかもしれないな。)


「どうかしましたか?」


 リシェルが尋ねる。


「いや。」


 悠真は小さく首を振った。


 すると、リシェルが優しく笑った。


「そんな顔をしないでください。」


「ん?」


「わたしは騎士です。」


「……ああ。」


「それに、助けてもらいましたから。」


 悠真は苦笑する。


「そうだな。」


 風が吹く。


 精霊たちの笑い声が、静かな森の中へ響いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ