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夢世界レベルアップ ~眠るたび異世界、目覚めるたび最強~  作者: 大雄山
第2章「王都編」

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この世界と古代遺跡

朝日が窓から差し込み、柔らかな光が部屋を照らしていた。


 悠真はソファからゆっくりと体を起こした。


「そういえば……。」


 ふと、そんな言葉が口をつく。


「どうしたんですか?」


 朝食を並べていたリシェルが、不思議そうに首を傾げた。


「俺、この国のことを何も知らないなって思ってさ。」


 王都へ来てから、もう何日も経っている。


 だが、知っているのはギルドや街の一部だけだった。


 リシェルは小さく笑う。


「たしかに、そうですね。」


 そして、少し考え込んだ。


「でしたら、王立図書館へ行きませんか?」


「図書館?」


「はい。今日は騎士団の仕事もお休みですので、ご案内します。」


「いいな。」


 悠真は頷いた。


「せっかくだし、この世界のことをもっと知りたい。」


◇


 王立図書館は、王城の近くに建てられていた。


 白い石造りの巨大な建物で、何本もの柱が天井を支えている。


「すごいな……。」


「王都でも、とくに歴史の長い建物なんですよ。」


 二人が中へ入ると、そこには見慣れた姿があった。


「あっ!」


 金色の髪が揺れる。


「おはようございます!」


「フィル?」


「また勉強か?」


「はい!」


 フィルは胸を張った。


「魔法は毎日の積み重ねですから!」


◇


 三人は大きな机を囲み、分厚い本を開いた。


 そこには、この世界の地図が描かれていた。


「これが、この大陸です。」


 リシェルが地図を指差す。


「七つの国が存在しています。」


「七つか。」


「はい。」


 人間の国。


 エルフの国。


 ドワーフの国。


 獣人の国。


 ダークエルフの国。


 精霊の国。


 そして――。


「連合国です。」


「連合国?」


「さまざまな種族が集まって暮らしている国です。」


「各国との交易も行っています。」


「なるほど。」


「旅人や冒険者も多く集まる場所ですね。」


 悠真は地図を見つめた。


 見たこともない土地ばかりだった。


 そこには、自分の知らない景色が広がっている。


◇


 次に、フィルが古びた本を取り出した。


「こちらも見てください。」


 開かれたページには、七つの印が描かれていた。


「これは?」


「古代遺跡です。」


「古代遺跡?」


「はい。」


 フィルは真剣な表情になった。


「千年ほど前に造られたと言われています。」


「今では、すべてダンジョンになっています。」


「全部か?」


「はい。」


 火の神殿。


 水の神殿。


 風の神殿。


 土の神殿。


 木の神殿。


 光の神殿。


 闇の神殿。


 悠真は思わず息をのんだ。


「なんだか、すごそうだな。」


「すごいですよ!」


 フィルが勢いよく身を乗り出した。


「私の家には、古くから言い伝えが残っているんです。」


「言い伝え?」


「古代遺跡の最深部には古文書が眠っていて、それを読んだ者は古代魔法を使えるようになる、と。」


「古代魔法か。」


「はい!」


 フィルの瞳が輝いていた。


「私は、それを見つけたいんです。」


◇


 悠真は首を傾げた。


「どうして、そこまで魔法を極めたいんだ?」


 フィルは少し驚いた顔を見せ、それから静かに微笑んだ。


「私の家は、代々魔法使いの家系なんです。」


 かつては、高い地位を持つ貴族だった。


 しかし、時代の流れとともに衰退し、今では位の低い貴族となっていた。


「魔法学校では、よく貧乏貴族だって言われました。」


 それでも、フィルは諦めなかった。


 誰よりも勉強し、誰よりも努力した。


 そして、首席で卒業した。


「でも、学校だけでは限界がありました。」


「だから冒険者になったんです。」


「家を復興させたいのか?」


「はい。」


 フィルは真っ直ぐに頷く。


「それに――。」


「もっとたくさんの人を助けたいんです。」


◇


「そういえば……。」


 リシェルが懐かしそうに微笑んだ。


「あのお婆さんには、昔お世話になったことがあります。」


「えっ?」


 フィルが目を丸くする。


「あの方は、とても優秀な魔法使いでした。」


「その時に、少し古代遺跡の話しを聞いた事があります。」


 王族の家庭教師を務めていたほどの人物だった。


 しかし、リシェルには魔法の適性がなかった。


「結局、私は剣の道を選びました。」


「その後、あの方は町外れで魔導書店を始めたんです。」


 リシェルは少し寂しそうに笑った。


「私は、ずっと自分のせいだと思っていました。」


「そんなことありません!」


 フィルは慌てて首を横に振った。


「それに……。」


「ん?」


「やっぱり、お姫様だったのですね。」


「えっ?」


リシェルは驚いたように目を瞬かせた。


「あのお婆さんが、ときどき話してくれたんです。」


「白銀の髪をした、とても優しいお姫様がいた、と。」


「まさか、本当にリシェルさんだったなんて思いませんでした。」


リシェルは、ふっと微笑んだ。


「そうですか。」


「あの後も、お店に通っていたんですね。」


「はい。」


「魔法のことも、本のことも、たくさん教えてもらいました。」


「そうでしたか。」


「あの方も、きっと喜びますね。」


フィルは、にっこりと笑った。


「はい!」


 リシェルはフィルを見つめた。


「もしかしたら、あなたとは親族なのかもしれませんね。」


「えっ!?」


「そんな気がします。」


 だが、不思議な縁であることだけは確かだった。


◇


 夕暮れ。


 三人は図書館を後にした。


 フィルは明日の朝も図書館へ来ると言い、その場で別れた。


 悠真とリシェルは、ゆっくりと家へ戻った。


◇


「旅をしてみたいな。」


 夕食の後、悠真はぽつりとつぶやいた。


「旅ですか?」


「ああ。」


「この世界には、俺の知らないものがたくさんある。」


「いろいろな国を見てみたい。」


「いろいろな人と出会ってみたい。」


「この世界を、もっと知りたいんだ。」


 リシェルは優しく微笑んだ。


「それは、とても素敵なことだと思います。」


「だろ?」


「はい。」


 だが、その笑顔は少しだけ寂しそうだった。


(でも……。)


(私は騎士です。)


(悠真と一緒に旅へ出ることはできません。)


 なぜだろう。


 胸の奥が、少しだけ苦しかった。


 その時だった。


 ゴォォォォン――。


 鐘の音が響く。


「えっ……?」


 悠真は立ち上がった。


「どうしたんですか?」


「いや……。」


 次の瞬間、まばゆい光が悠真を包み込んだ。


「悠真!」


 リシェルは思わず手を伸ばす。


 しかし、その指先が届くことはなかった。


 光が消える。


 そこには、もう誰もいなかった。


「また……消えてしまいましたね。」


 静かな部屋の中で、リシェルは悠真が座っていた場所を見つめていた。


 そして、小さく微笑む。


「次は、いつ会えるのでしょうか。」


 その答えを知る者は、誰もいなかった。

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― 新着の感想 ―
ここまで読みました。 現実と異世界を行き来するタイプなのが印象的でした。 異世界で得た力が現実にも影響し、さらに冒険者カードまで持ち帰れたことで、ただの夢では済まなくなっていく流れが気になります。 …
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