続く夢
──ゴーン……
どこか遠くで鐘が鳴る。
柔らかな光が目の前に広がる。
気が付くと、悠真は光の中に立っていた。
光がゆっくりと消えていく。
足元には草原。
「……また来た。」
先ほどと同じ場所だった。
夢なのに、ちゃんと続きがある。
悠真は自然と笑みを浮かべる。
「今日は街まで行ける。」
そう言って歩き出した。
さっきよりも足取りは軽い。
草を踏む音。
風の匂い。
流れる小川。
どれも昨日と変わらない。
しばらく進むと、水辺の近くで何かが動いた。
ぷるん……
青く透き通った、小さなスライムだった。
「本当にいるのか……。」
スライムはこちらを見ると、小さく跳ねながら近づいてくる。
かわいい。
そう思った次の瞬間。
勢いよく飛びかかってきた。
「うわっ!」
悠真は後ろへ飛び退く。
近くに落ちていた木の枝を拾う。
「来るなら!」
飛びかかるスライムを横へかわし、枝を振る。
ベチャッ!
スライムは地面へ落ちる。
しかし、すぐに跳ね起きた。
「まだか!」
もう一撃。
そして三撃目。
スライムは力なく倒れ、そのまま動かなくなった。
悠真は息を整えながら近寄る。
「……死んだのか。」
しばらく待っても消えない。
ゲームのように光にもならない。
そこには、小さな命の亡骸だけが残っていた。
「夢なのに……。」
胸が少し痛んだ。
悠真は近くの枝を使い、小さな穴を掘る。
スライムをそっと寝かせ、静かに土をかぶせた。
「安らかに。」
手を合わせた、その瞬間だった。
青白い文字が目の前へ浮かび上がる。
レベルアップ
Lv.1 → Lv.2
周りを見回す。
この文字は自分にしか見えていないようだった。
「何なんだ、この世界は……。」
答えは見つからない。
けれど、不思議と怖くはなかった。
もっと知りたい。
その気持ちの方が強かった。
太陽はゆっくり西へ傾いていく。
悠真は街を目指して歩き続けた。
しかし、夕暮れが近づいた頃。
──ゴーン……
再び鐘が鳴る。
その音を聞いた瞬間、悠真の身体が淡い光に包まれ始めた。
「えっ……?」
光はどんどん強くなる。
「待ってくれ! まだ街に……!」
手を伸ばす。
その声も届かないまま、悠真の姿は光の中へ消えていった。
⸻
「はっ!」
悠真は勢いよく起き上がる。
時計を見る。
午前一時十三分。
「……一時間。」
夢世界では朝から夕方まで過ごした。
なのに、現実では一時間しか経っていない。
「やっぱり、おかしい……。」
ベッドから立ち上がると、体が昨日より軽い気がした。
握った拳に力がみなぎる。
夢の中で見た文字が脳裏によみがえった。
Lv.2
悠真は静かに窓の外を見つめる。
「あの世界は……夢なんかじゃないのかもしれない。」
そうつぶやき、再びベッドへ横になった。
まだ鼓動は高鳴ったままだった。
もう一度、あの世界へ行きたい。
悠真は、そう強く願っていた。




