表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢世界レベルアップ ~眠るたび異世界、目覚めるたび最強~  作者: 大雄山
第2章「王都編」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
19/64

魔法の使い方

朝日が王都の街並みを照らしていた。


 悠真は冒険者ギルドへ向かい、その入り口でフィルと合流した。


「おはようございます!」


「おはよう、フィル。」


 フィルは白い魔導書を胸に抱え、嬉しそうに笑った。


「今日は魔法の練習の日ですね!」


「ああ。でも、せっかくだし依頼も受けようと思ってさ。」


「それはいいですね!」


 二人は受付へ向かった。


 掲示板には採取依頼や討伐依頼が並んでいる。


 悠真は、その中からゴブリン討伐の依頼書を手に取った。


「これにしよう。」


「はい!」


 その瞬間だった。



【クエスト発生】


初級魔法を習得せよ。


報酬:???



(いや、討伐依頼だよな……?)


 悠真は心の中で小さくつぶやいた。


「どうかしましたか?」


「いや、なんでもない。」


「そうですか?」


 フィルは不思議そうに首を傾げた。


 どうやら、今回もクエストは悠真にしか見えていないらしい。


 二人は王都の外へ向かった。



 森の入口に到着すると、フィルはさっそく杖を握った。


「まずは練習ですね。」


「そうだな。」


「昨日は魔法を出すことはできました。」


「今日は、それをもっと安定させていきましょう。」


 悠真は頷いた。


「よし。」


 まずは火属性。


「――フレイ。」


 小さな炎が指先に灯る。


 続いて水。


「――アクア。」


 ぽたり、と水滴が落ちる。


 風。


「――ウィンド。」


 土。


「――アース。」


 木。


「――グロウ。」


 光。


「――ルクス。」


 闇。


「――ダーク。」


 どれも昨日と同じだった。


 使えないわけではない。


 だが、どれも小さい。


「うーん……。」


 悠真は腕を組んだ。


「やっぱり難しいな。」


「十分すごいですよ!」


 フィルは慌てて首を振る。


「普通は、こんなに早く使えませんから。」


「でも、これじゃ戦いには使えないだろ?」


「そうですね……。」


 フィルも困ったような表情を浮かべた。


 その時だった。


 草むらが揺れた。


「ギギッ!」


 ゴブリンが三匹。


 棍棒を振り回しながら飛び出してきた。


「フィル!」


「はい!」


 フィルは杖を構える。


「――ルクス!」


 まばゆい光が放たれた。


「ギャッ!」


 ゴブリンたちは驚き、思わず足を止める。


「今です!」


「ああ!」


 悠真は剣を抜いた。


 その瞬間だった。


(魔法だけじゃ駄目なんだ。)


(でも、剣と一緒なら――。)


 悠真は剣を握りしめた。


「――フレイ。」


 すると、小さな炎が剣へ吸い込まれていった。


「えっ?」


 炎は刃を包み込み、赤く揺らめき始める。


「これは……。」


 悠真は反射的に駆け出した。


「はっ!」


 炎をまとった剣が、ゴブリンを斬り裂く。


「ギャアッ!」


 一匹。


 続いて二匹目。


 最後の一匹はフィルの光魔法にひるみ、その隙に悠真が倒した。


 静寂が訪れる。


「倒した……。」


 悠真は呆然と剣を見つめた。


 炎はすでに消えていた。


 その時だった。



【クエスト達成】


初級魔法を習得せよ。


【報酬】


《属性付与》を獲得しました。



(やっぱり、これだったのか。)


 悠真は苦笑した。


 魔法そのものは、それほど強くない。


 だが、剣と組み合わせることで真価を発揮する。


 それが、自分の戦い方なのだろう。


「ゆ、悠真さん……。」


「ん?」


 振り返ると、フィルがその場に座り込んでいた。


「どうした?」


「ど、どうしたじゃありません……。」


「魔法を剣にまとわせるなんて……。」


「そんな使い方、見たことも聞いたこともありません!」


「そうなのか?」


「そうなんです!」


 フィルは大きく頷いた。


「普通は魔法だけで戦うんです!」


「なるほど。」


「なるほどじゃありません!」


 悠真は思わず笑ってしまった。



 夕方。


 二人はギルドへ戻った。


 そこで待っていたのは、騎士団の任務を終えたリシェルだった。


「お待たせしました。」


「お疲れさま。」


「お疲れさまです!」


 フィルが元気よく頭を下げる。


「それでは、食事にしましょうか。」


 三人は近くの食堂へ向かった。



「それで、それでですね!」


 フィルは興奮した様子で話していた。


「悠真さんが、剣に炎をまとわせたんです!」


「へぇ。」


「しかも、そのままゴブリンを倒してしまって!」


「偶然だよ。」


「偶然じゃありません!」


 フィルはむっとした顔になる。


 悠真は苦笑した。


 そんな二人のやり取りを見て、リシェルは静かに微笑んだ。


 けれど――。


(また……。)


 胸の奥が、少しだけ痛んだ。


 理由は分からない。


 でも、なぜか落ち着かない。


 それは昨日よりも、少しだけ強い感情だった。



 夜。


 リシェルの家へ戻る。


「それじゃあ、おやすみ。」


「はい。」


 悠真は自分の部屋へ向かおうとした。


「あの……悠真。」


「ん?」


 リシェルが呼び止める。


 けれど、その先の言葉が出てこない。


(私は……何を言おうとしたのでしょう。)


 胸がざわつく。


 引き留めたい。


 でも、理由が分からない。


「……いえ。」


 リシェルは小さく首を振った。


「なんでもありません。」


「そう?」


「はい。」


「おやすみなさい。」


「おやすみ。」


 悠真は部屋へ入っていった。


 閉じられた扉を見つめながら、リシェルは静かに胸に手を当てる。


 その鼓動は、少しだけ速くなっていた。


 そして悠真もまた、首を傾げていた。


(どうしたんだろうな……。)


 もちろん、その理由には気づいていなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ