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夢世界レベルアップ ~眠るたび異世界、目覚めるたび最強~  作者: 大雄山
第2章「王都編」

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光の魔導書

「悠真さん! リシェルさん!」


 フィルは二人の前まで駆け寄ると、嬉しそうに頭を下げた。


「またお会いできましたね。」


「俺もびっくりしたよ。」


 悠真が笑う。


「今日はどうしたの?」


 そう尋ねると、フィルは杖を抱えたまま小さく笑った。


「実は、探し物をしているんです。」


「探し物?」


「はい。」


「光属性の魔導書です。」


 悠真は首を傾げる。


「魔導書って、そんなに種類があるの?」


「あります。」


 フィルは指を折りながら説明した。


「火、水、風、土、木の五属性は一般的で、多くの魔法使いが使っています。」


「でも、光属性と闇属性だけは、とても希少なんです。」


「市場にもほとんど出回らなくて……。」


「だから、何日も探しているんですが見つからないんです。」


 その時、悠真の視界に青いウィンドウが浮かび上がる。



【クエスト発生】


『フィルと光の魔導書を探せ』


報酬:???



「よし。」


 悠真は笑って言った。


「俺たちも一緒に探そう。」


「え?」


「三人で探した方が早いだろ。」


 フィルの表情がぱっと明るくなる。


「ありがとうございます!」


 リシェルも静かに頷いた。


「では、近くの魔導書店から回ってみましょう。」



 三人は王都の魔導書店を次々と訪ね歩いた。


 一軒目。


「光属性? 扱ったこともないね。」


 二軒目。


「何年も見てないな。」


 三軒目。


「王立図書館なら可能性はあるが……期待はしない方がいい。」


 結果はどこも同じだった。


 昼を過ぎても成果はない。


 フィルは少し肩を落とした。


「やっぱり……難しいですね。」


 悠真は隣へ座る。


「そんなに光魔法が欲しい理由ってあるの?」


 フィルは少しだけ俯いた。


「あの日……。」


「ゴブリンに囲まれた時です。」


「あの時、私には攻撃魔法しかありませんでした。」


「もし回復魔法が使えたら、怪我をした皆さんをもっと助けられたと思うんです。」


「だから私……もっと強くなりたいんです。」


 その言葉に、悠真は優しく笑った。


「フィルらしい理由だな。」


 リシェルも静かに頷く。


「あなたなら、きっと良い魔法使いになります。」


 その時だった。


「あ……。」


 リシェルが何かを思い出したように顔を上げた。


「街外れに、小さな魔導書店があります。」


「昔、お世話になった方が営んでいるお店です。」


「行ってみましょう。」



 王都の賑わいから離れた静かな路地。


 そこに、小さな木造の店がひっそりと建っていた。


 色褪せた看板には、


『古書・魔導書 アルマ』


 と書かれている。


 リシェルが扉を開く。


 カラン……


 鈴の音が静かに響いた。


「いらっしゃい……。」


 店の奥から、小柄なお婆さんがゆっくり歩いてくる。


 白い髪。


 深く刻まれた皺。


 杖をついた、どこにでもいそうな老人。


 だが――


(……何だ、この感じ。)


 悠真は思わず息を呑む。


 《気配察知》が微かに反応している。


 敵意ではない。


 それでも、この人からは説明できない不思議な存在感を感じた。


 お婆さんはリシェルを見ると、穏やかに笑う。


「久しぶりじゃのう、姫さん。」


 フィルが驚いて振り向く。


「姫……?」


 悠真もリシェルを見る。


 リシェルは少し照れたように微笑んだ。


「昔、お世話になった方なんです。」


 それ以上は何も語らない。


 お婆さんも追及しなかった。


「さて、今日は何を探しに来たんじゃ?」


 フィルは一歩前へ出る。


「光属性の魔導書を探しています。」


「ほっほっほ……。」


 お婆さんは静かに頷くと、店の奥へ消えていった。


 しばらくして、一冊の白い魔導書を抱えて戻ってくる。


 純白の表紙。


 中央には黄金色の紋章が刻まれていた。


「この子を待っておった。」


 そう言ってフィルへ差し出す。


 フィルが恐る恐る受け取る。


 その瞬間――


 魔導書が淡く光を放った。


「……!」


 フィルの身体を優しい光が包み込む。


 やがて光が収まると、魔導書は静かに閉じた。


「認められたようじゃな。」


 お婆さんは満足そうに頷く。


 フィルは目を潤ませながら深く頭を下げた。


「ありがとうございます!」


 その笑顔を見て、悠真も自然と笑みを浮かべる。


 すると、青いウィンドウが現れた。



【クエスト達成】


『フィルと光の魔導書を探せ』


報酬を受領します。


【スキル獲得】


《全属性魔法》



「全属性魔法……?」


 悠真は思わず呟く。


「そんな魔法、聞いたことありません。」


 フィルが首を傾げる。


 リシェルも静かに頷いた。


「私も初めて聞きます。」


 悠真は試しに手をかざしてみる。


 しかし、何も起こらない。


「使えない……?」


 お婆さんは意味深に微笑んだ。


「力というものは、持っただけでは花開かぬ。」


「その時が来れば、おのずと分かるじゃろう。」


 悠真はその言葉の意味を考えながら、静かに頷いた。


 まだ誰も知らない。


 この力が、未来を大きく変えることになるとは。


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