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夢世界レベルアップ ~眠るたび異世界、目覚めるたび最強~  作者: 大雄山
第2章「王都編」

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少しずつ増える日常

朝。


 窓から差し込む柔らかな陽射しで、悠真は目を覚ました。


 部屋の外から、食欲をそそる香りが漂ってくる。


「おはようございます。」


 リシェルが微笑みながら迎える。


 テーブルの上には、昨夜作った料理が温め直されて並んでいた。


「約束通りだ。」


 悠真は鍋の蓋を開け、温めた料理を皿へよそう。


 そして、炊きたての白いお米を添えた。


「完成。」


「これが……?」


「カレーライス。」


 リシェルは興味津々でスプーンを手に取る。


 一口。


「……!」


 思わず目を見開いた。


「昨日より……美味しい。」


「だろ?」


「香辛料がまろやかになっています。」


「それに、この白いご飯というものが、とても合います。」


 悠真は満足そうに頷く。


「だから言ったろ。」


「カレーは二日目が一番うまいんだ。」


 リシェルは小さく笑う。


「本当でした。」


 二人は笑いながら朝食を楽しんだ。



 食後、二人は冒険者ギルドへ向かう。


 受付には朝から多くの冒険者が集まっていた。


「今日は何を受けますか?」


 受付嬢が尋ねる。


 悠真は掲示板を見回し、一枚の依頼書を手に取った。



【討伐依頼】


ホーンラビット討伐


討伐数:10体


報酬:銀貨8枚



 依頼書に触れた瞬間、青いウィンドウが現れる。



【クエスト発生】


ホーンラビットを10体討伐せよ。


報酬:???



「行ってきます。」


「お気をつけて。」


 リシェルは騎士団の任務へ。


 悠真は一人、東の草原へ向かった。



 草原を駆ける小さな影。


「いた。」


 ホーンラビット。


 額から短い角が生えた兎型の魔物だ。


「可愛い顔してるな。」


 次の瞬間。


 シュッ!


「速っ!」


 一瞬で懐へ飛び込まれる。


 剣を振るう。


 空振り。


 また横へ跳ぶ。


「本当に速い……!」


 悠真は《見切り》で動きを読みながら、一歩ずつ距離を詰める。


 焦らない。


 無理に追わない。


 相手が飛び込んできた瞬間だけを狙う。


「そこだ!」


 一閃。


 一体目を倒す。


 その後も同じように戦い続け、最後の一体を斬り伏せた。


 静かになった草原。


 青いウィンドウが浮かぶ。



【クエスト達成】


ホーンラビットを10体討伐せよ。


報酬を受領します。


【スキル獲得】


《瞬歩》



「瞬歩……。」


 試しに一歩踏み出す。


 景色が一瞬だけ流れた。


「速い……。」


 自分でも驚くほどの加速だった。


「これは使えそうだ。」


 討伐したホーンラビットはアイテムBOXへ収納し、悠真は王都へ戻った。



 夕方。


 リシェルの家。


「お帰りなさい。」


「ただいま。」


 二人で夕食を囲む。


「今日の依頼はどうでした?」


「兎なのに速くて苦戦したよ。」


「ホーンラビットですね。」


 リシェルは納得したように頷く。


「あの魔物は新人冒険者が苦戦する代表格です。」


「やっぱりか。」


「ですが、無事に帰ってきました。」


「成長していますね。」


 その一言が少し嬉しかった。


 二人は穏やかな時間を過ごし、その日は眠りについた。



 翌朝。


 冒険者ギルド。


「今日は簡単な依頼をお願いします。」


 悠真が受付へ向かう。


 受付嬢は一枚の依頼書を差し出した。



【ギルド依頼】


ギルド内清掃


報酬:銀貨2枚



 依頼書へ触れる。



【クエスト発生】


ギルド内を清掃せよ。


報酬:???



「たまにはこういう仕事もいいか。」


 悠真は雑巾を片手に掃除を始める。


 床を磨き、机を拭き、窓を磨く。


 依頼はあっという間に終わった。



【クエスト達成】


ギルド内を清掃せよ。


【スキル獲得】


《クリーン》



「クリーン?」


 聞いたことのないスキルだった。



 夕方。


 リシェルの家。


 夕食を終えた悠真は立ち上がる。


「皿洗いくらいは俺がやるよ。」


「ありがとうございます。」


 悠真は《クリーン》を意識する。


 次の瞬間。


 淡い光が部屋を包み込んだ。


 食器はもちろん。


 流し台。


 机。


 床。


 窓。


 本棚。


 玄関。


 鎧。


 家中の汚れが、一瞬で消え去る。


「……。」


 リシェルは部屋を見回した。


 指で机をなぞる。


 埃一つ付かない。


「……掃除をする手間が省けました。」


 少し間を置いて、


「便利なスキルですね。」


 悠真は苦笑する。


「俺も、ここまでとは思わなかった。」


 二人は顔を見合わせ、小さく笑った。



夢世界五日目の朝。


 柔らかな朝日が王都の石畳を照らしていた。


 今日も王都は多くの人々で賑わっている。


 悠真とリシェルは買い物のため、大通りを歩いていた。


 パン屋から漂う焼きたての香り。


 市場には新鮮な野菜や果物が並び、行き交う人々の笑い声が響く。


 そんな穏やかな朝――。


「あっ!」


 聞き覚えのある声がした。


 二人が振り向くと、杖を抱えた少女が嬉しそうに駆け寄ってくる。


「悠真さん! リシェルさん!」


 フィルだった。


 思いがけない再会に、悠真は自然と笑みを浮かべる。


「おはよう、フィル。」


「おはようございます!」


 フィルは二人の前まで来ると、ぺこりと頭を下げた。


「またお会いできましたね。」


「こっちも驚いたよ。」


 悠真が笑うと、フィルも嬉しそうに微笑む。


 その様子を見ていたリシェルも、小さく笑みを浮かべた。


 穏やかな朝の王都。


 三人の新しい物語が、ここから少しずつ動き始める。

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