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夢世界レベルアップ ~眠るたび異世界、目覚めるたび最強~  作者: 大雄山
第2章「王都編」

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初めての魔法

朝日が窓から差し込み、小鳥のさえずりが静かな部屋に響く。


 神崎悠真はゆっくりと目を開けた。


 見慣れない天井。


 昨日泊めてもらったリシェルの家だ。


「……朝か。」


 身支度を整えて居間へ向かうと、焼きたてのパンの香りが漂ってきた。


「おはようございます。」


 キッチンからリシェルが振り返る。


「おはよう。」


 テーブルには焼きたてのパンと温かなスープ、卵料理が並んでいた。


「騎士って料理もするんだ。」


「一人暮らしですから。」


 少しだけ照れたように微笑む。


 二人は向かい合って朝食をとる。


「今日はいい天気ですね。」


「ああ。任務日和かな。」


「ええ。」


 リシェルは頷いた。


「朝食を終えたら出発します。」


「了解。」


「その前にこれを。」


悠真は鉄の剣を受け取る。


「これは?」


「私の予備の剣です。」


「持って行ってください。」


「ありがとう。」


 昨日の約束どおり、悠真はリシェルとともに巡回任務へ向かった。



 王都を出て半日ほど。


 緑豊かな小さな村へ到着する。


「リシェル様!」


 子どもたちが笑顔で駆け寄る。


 老人たちも手を振り、村人たちは口々に感謝の言葉をかけていた。


 その様子を見て、悠真は自然と笑みを浮かべる。


「みんなに慕われてるんだな。」


「騎士として当然の務めです。」


 照れ隠しなのか、リシェルは少しだけ視線を逸らした。


 そこへ村長が歩み寄る。


「姫さん、今回も来てくださってありがとうございます。」


 一瞬だけリシェルの表情が固まる。


「あ……。」


 村長もすぐに口を押さえた。


 悠真は首をかしげる。


「姫?」


 リシェルは咳払いを一つ。


「昔から、そう呼ばれているだけです。」


「へぇ、人気者なんだな。」


「……そういうことにしてください。」


 どこかぎこちない笑顔だった。



 その時だった。


 森の奥から爆発音が響く。


 ドォォン!!


「魔物です!」


 騎士の一人が叫ぶ。


 リシェルは迷わず大剣を抜いた。


「現場へ急ぎます!」


 騎士団は一斉に森へ駆け出す。



 森の中では、一人の少女が十数体のゴブリンに囲まれていた。


 長い金髪。


 小柄な身体。


 手には一本の杖。


「ファイア!」


 杖の先から火球が放たれる。


 轟音とともにゴブリンが吹き飛ぶ。


 悠真は目を見開いた。


「魔法……。」


 初めて見る、本物の魔法。


「すげぇ……。」


 思わず声が漏れる。


 しかし数が多い。


 少女は徐々に追い詰められていく。


「援護します!」


 リシェルが飛び込む。


 悠真も剣を抜き、騎士団とともに戦闘へ加わった。


 騎士たちが周囲のゴブリンを倒していく。


 少女はようやく大きく息をついた。


「助かりました……。」


 その瞬間だった。


 ズシン……


 ズシン……


 重い足音が森に響く。


 木々を押しのけ、一回り大きなゴブリンが姿を現した。


 鉄の剣。


 頑丈な盾。


 統率者の風格。


「ゴブリンジェネラル!」


 騎士が叫ぶ。


 同時に、悠真の視界へ青いウィンドウが浮かび上がる。



【緊急クエスト発生】


『ゴブリンジェネラルを討伐せよ』


失敗条件


・騎士団の壊滅


・魔法使いの死亡


報酬:???



「また始まったか……。」


 悠真は剣を構える。


 リシェルも隣へ並んだ。


「騎士団は残りのゴブリンを!」


「ジェネラルは私たちが引き受けます!」


「了解!」


 ジェネラルが盾を構え突進してくる。


 悠真は《見切り》で紙一重にかわす。


 剣を受け流し、体勢を崩す。


 そこへリシェルが鋭い一撃を叩き込む。


 だが盾に阻まれた。


「硬い……!」


 その後方で少女が静かに杖を掲げる。


「少しだけ時間をください!」


 長い詠唱が始まる。


 リシェルが叫ぶ。


「悠真!」


「時間を稼ぎます!」


「ああ!」


 二人は自然と息を合わせる。


 悠真が攻撃を誘い、リシェルが斬る。


 リシェルが受け止め、悠真が側面へ回る。


 以前よりも連携は格段に良くなっていた。


「できました!」


 少女の杖が青白く輝く。


「ウィンドランス!」


 圧縮された風の槍が一直線に飛ぶ。


 ジェネラルの脚を貫き、その巨体が大きく揺らいだ。


「今です!」


 リシェルが地面を蹴る。


「これで終わりです!」


 白銀の大剣が美しい軌跡を描く。


 ザシュッ!!


 一閃。


 ゴブリンジェネラルは静かに崩れ落ちた。


 森に静寂が戻る。


 悠真は大きく息を吐く。


「終わった……。」


 その時、青いウィンドウが静かに浮かび上がる。



【緊急クエスト達成】


『ゴブリンジェネラルを討伐せよ』



【報酬獲得】


レベルアップ!


Lv.10→Lv.12


スキル《料理》を獲得しました。



「……料理?」


 悠真は思わず苦笑する。


「戦いのあとに料理か?」


 首をかしげながらも、不思議と嫌な気はしなかった。


 この力が、誰かの心を支える日が来ることを、まだ悠真は知らない。


 そして、助けた魔法使いの少女――フィルとの出会いが、新たな仲間との物語の始まりを告げようとしていた。

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― 新着の感想 ―
今までにない異世界系物語でした!次の展開が気になります。謎がとても気になります!
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