王都再訪
柔らかな光が部屋を包む。
無数の光の粒がゆっくりと集まり、一人の青年の姿を形作っていく。
眩い輝きが静かに収まると、神崎悠真は静かに目を開けた。
「……戻ってきた。」
見慣れた天井。
リシェルの家の客間だった。
ソファからゆっくりと起き上がる。
窓の外から差し込む陽射しは明るい。
「昼……か。」
夢世界へ来る時間は、毎回同じではない。
夜に戻ることもあれば、こうして昼間に戻ることもある。
「時間の流れ、本当に不思議だな。」
そう呟きながら部屋を見回す。
「リシェル?」
返事はない。
リビングへ向かうと、テーブルの上に一枚の手紙が置かれていた。
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悠真へ
騎士団の任務で夕方まで留守にしています。
家の鍵は開けてありますので、自由に使ってください。
お腹が空いたら台所も自由に使ってください。
夕方には戻ります。
――リシェル
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「相変わらず律儀だな。」
悠真は微笑み、手紙を元の場所へ戻した。
「せっかくだし、ギルドに行ってみるか。」
身支度を整え、家を後にする。
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王都は今日も活気に満ちていた。
石畳を馬車が走り、露店には色鮮やかな果物や焼きたてのパンが並ぶ。
子どもたちの笑い声が聞こえ、大道芸人の周りには人だかりができている。
「何度歩いても飽きない街だな。」
景色を楽しみながら、悠真は冒険者ギルドへ向かった。
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「いらっしゃいませ。」
受付嬢が悠真を見ると、柔らかな笑顔を見せた。
「神崎さん。本日も依頼ですか?」
「はい。」
悠真は掲示板へ向かう。
討伐依頼。
護衛依頼。
素材採取。
さまざまな依頼が並んでいる。
その中から、一枚の依頼書を手に取った。
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【薬草採取】
場所:王都東の森
内容:ヒール草を十本採取
報酬:銀貨五枚
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依頼書を手にした瞬間。
青白いウィンドウが浮かび上がる。
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【クエスト発生】
薬草を十本採取せよ。
報酬:???
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「やっぱり出るか。」
悠真は苦笑しながら王都東の森へ向かった。
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森の中は穏やかだった。
木漏れ日が地面を照らし、小鳥のさえずりが響いている。
悠真は周囲を見渡しながら歩く。
「以前より見つけやすいな。」
薬草の特徴も覚え、森を歩くことにも慣れてきた。
一つ。
二つ。
三つ。
順調にヒール草を採取していく。
採取した薬草は、アイテムBOXへ収納する。
淡い光に包まれ、薬草は一つずつ収納されていった。
「やっぱり便利だ。」
十分も経たないうちに十本が揃う。
「これで終わりだな。」
悠真は王都へ引き返した。
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「ヒール草十本、確認しました。」
受付嬢が笑顔で頷く。
「依頼達成です。」
銀貨が渡される。
その瞬間。
青いウィンドウが現れた。
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【クエスト達成】
薬草を十本採取せよ。
報酬を受領します。
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【報酬獲得】
《鑑定》
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「鑑定?」
新しい知識が頭の中へ流れ込む。
試しに受付カウンターへ置かれた薬草へ意識を向ける。
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【ヒール草】
初級回復薬の材料。
品質:良
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「なるほど……。」
さらに受付嬢が持っていた小瓶へ目を向ける。
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【初級回復薬】
体力をわずかに回復する。
品質:並
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「これは便利だ。」
思わず感心する。
そして苦笑した。
「依頼を受ける前に欲しかったな。」
薬草探しが、もっと簡単になっていただろう。
だが、新しい力を得られたことは素直に嬉しかった。
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夕暮れ。
冒険者ギルドを出ると、入口の前に見慣れた白銀の鎧が立っていた。
「お待たせしました。」
「リシェル。」
彼女は穏やかに微笑む。
「依頼は無事に終わりましたか?」
「うん。採取依頼だけだったから。」
「それなら安心しました。」
二人は並んで歩き出す。
夕日に染まる王都を眺めながら、食堂へ向かった。
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温かい料理が運ばれてくる。
「今日はどんな一日でしたか?」
「薬草採取だけだったよ。」
「そうですか。」
リシェルは少し安心したように微笑んだ。
「明日は騎士団の巡回任務があります。」
「街道や周辺の森の警戒です。」
「見学してもいい?」
リシェルは少し考え、頷く。
「危険な時は私の指示に従うこと。それを約束していただけるなら。」
「約束する。」
「では、一緒に行きましょう。」
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食事を終え、二人は家へ戻る。
静かな夜。
客間へ案内され、悠真はベッドへ腰を下ろした。
「今日はありがとうございました。」
「こちらこそ。」
「それでは、おやすみなさい。」
「おやすみ。」
明日は初めて騎士団の任務に同行する。
どんな出会いが待っているのか。
少しの期待を胸に抱きながら、悠真は静かに目を閉じた。




