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夢世界レベルアップ ~眠るたび異世界、目覚めるたび最強~  作者: 大雄山
第4章「遺跡編」

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星空の下で

 夕食を堪能した悠真たち。


 食後、悠真は丘から見える景色を眺めながら、ふと思った。


(せっかくこんな景色なんだし、露天風呂なんかあったら気持ちいいだろうな。)


「……ツバキさん。」


「なに?」


「この辺りに、みんなで入れるくらいのお風呂を作りませんか?」


「え? いいけど。」


「沐浴着なら持ってきてますから、みんなで入りませんか?」


 その言葉を聞いたフィルが、すぐに反応する。


「いいですね〜。お湯は私が用意しますよ〜。」


「お? いいな。だが、ただの風呂か〜。」


 ゼノンが少し物足りなさそうに呟く。


「大丈夫です。雰囲気だけなら、温泉の素ってやつを現世から持ってきてますから。」


「なんかよくわからねえが、温泉みたいなのに入れるならいいじゃねーか。」


「そうね。みんなでお風呂に入りましょうか。」


「賛成です〜。」


 ツバキは《古代錬成》で五メートル四方の窪みを作ると、お湯が染み込んで逃げないよう《物質の昇華》で地面を強化した。


 そこへフィルが大量のお湯を注いでいく。


 あっという間に即席の露天風呂が出来上がると、悠真は《アイテムBOX》から現世で買ってきた温泉の素を取り出し、お湯の中へ入れた。


 白く濁ったお湯から、温泉らしい香りが辺りに立ち込める。


「いい匂いね。さっそく入りましょう。」


「うわ! って、ツバキさん! ここで脱がないでください!」


 悠真は慌てて沐浴着を差し出す。


「テントの中で、これに着替えてきてください!」


「そうですよ! さ、テントに行きましょう!」


 フィルがツバキの背中を押していく。


「もう、早く入りたいのに。」


「ダメです!」


 二人を見送りながら、悠真は呟いた。


「さすが、一児の母……。」


「なら、俺が先に入っちまうわ〜。」


 振り返ると、ゼノンはすでに風呂へ入り、その片手にはジョッキが握られていた。


「さっそく片手にジョッキ持ってますね。」


「おう。このハイボールは飲みやすくて止まらないな〜。」


 しばらくして、沐浴着に着替えたフィルとツバキも戻ってきた。


 四人で湯に浸かり、丘の上から広がる景色と夜空を眺める。


「ふ〜。いいわね〜。」


「はいです〜。この星空もサイコーです〜。」


 楽しそうなフィルを見て、悠真は微笑んだ。


「良かった。元気になったみたいで。」


「私は、いつでも元気ですよ〜。」


「はは。そうだね。」


 悠真は肩まで湯に浸かり、空を見上げた。


「あ〜、気持ちいい〜。」


 そこで何かを思い出し、《アイテムBOX》から一本の酒を取り出す。


「そうだ。フィル、これ飲んでみて。甘いから。」


「何ですか〜?」


「果実酒だよ。甘くて飲みやすいから、どうかなって。」


 フィルは少し警戒しながら、一口だけ口にする。


「ん〜! 甘いです〜。これなら飲めます〜。」


「飲みやすいからって、あんまり飲み過ぎると酔っぱらっちゃうから、ほどほどにね。」


「はいです〜。」


「悠真さん。私の分はありますか?」


「はい。ツバキさんはワインですね?」


「そう。それが飲みたかったの。」


 しばらく、悠真たちは星空の下で露天風呂を堪能していた。


「悠真ひゃ〜ん。おかわりくらさ〜い。」


「フィル……まだ一杯だよ。」


「へ〜? いいきもりれす〜。」


 完全に目が据わっているフィルを見て、悠真は苦笑する。


「ツバキさん。いいですか?」


「ええ。テントへ寝かせてくるわ。」


「なんれすか〜!? わらひは、まらのめまふ〜……」


 そこまで言ったところで、フィルの瞼がゆっくりと閉じていく。


「……すぅ……。」


「はは。まさか一杯で潰れちゃうなんてね。」


「そうね。まあ、ちょうど良かったかもしれないわね。」


 ツバキは眠ってしまったフィルを背負う。


「おやすみなさい。」


「おやすみなさい。フィルをお願いします。」


 ツバキはフィルをおんぶしたまま、テントへと戻っていった。


「ゼノンさんはどうしますか?」


「俺は、もうしばらく入ってから寝る。」


「わかりました。僕もそろそろ寝ますね。」


「おう。おやすみ。」


「おやすみなさい。」


 悠真も露天風呂を出ると、自分のテントへ戻った。


 横になり、今日一日のことを思い返す。


(フィルも元気になって良かった。)


 悠真は小さく息を吐く。


(……明日は大丈夫かな?)


 今度はフィルの違う心配をしながら、悠真は眠りについた。

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