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夢世界レベルアップ ~眠るたび異世界、目覚めるたび最強~  作者: 大雄山
第4章「遺跡編」

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麺料理

「お店の横、借りますね。」


「ああ。私も見てていいかい?」


「はい。もちろんです。」


悠真はアイテムBOXから折りたたみ式のテーブルを取り出すと、その上に広めのまな板と大きめのボウルを用意した。


まずはボウルに小麦粉と卵、オリーブオイル、塩を入れて混ぜていく。


さらに水を少しずつ加えながら固さを調整し、ひとまとまりになるまでしっかりと捏ねていった。


「そんなに捏ねるのかい?」


「はい。これくらいまで捏ねたら……。」


生地の状態を確かめる。


「よし。」


悠真はボウルに蓋をして、そのまま生地を寝かせておく。


「少し時間を置くので、その間にソースを作っちゃいますね。」


「ソース?」


「はい。」


悠真はトマトを何個か用意すると、その半分を潰してこしていく。


残り半分は細かく刻んでおいた。


次にガスコンロとフライパンを取り出し、油を引く。


そこへ刻んだニンニクを入れると――。


ジュウッ――。


香ばしい匂いが立ち上った。


「おっ、いい匂いだねぇ。」


悠真はニンニクを焦がさないように炒め、そこへ先ほどこしたトマトを加える。


さらに刻んだトマトも加え、そのまま火を通していった。


しばらく炒めてから、悠真は味を確かめる。


「よし。このくらいかな。」


ソースが出来上がったところで、寝かせておいた生地を取り出した。


まな板の上に置き、麺棒を使って薄く伸ばしていく。


「さっきの小麦粉が、こんなに薄くなるのかい。」


店主は興味津々で悠真の手元を覗き込んでいた。


十分な薄さまで伸ばしたところで、生地を折り畳む。


そして包丁を手に取り――。


トン、トン、トン――。


一定の幅で切り分けていく。


「これが……麺なのかい?」


「はい。」


悠真は切った生地をほぐしていく。


鍋にたっぷりの湯を沸かし、出来上がった麺を入れる。


しばらく茹でたところで一本取り出し、固さを確認した。


「……うん。」


ちょうどいい。


悠真は麺を湯切りすると、そのまま皿へ盛りつける。


そして、先ほど作っておいたトマトソースを出来たての麺の上へかけていく。


「トマトガーリックパスタの出来上がりです。」


悠真は出来上がった皿を店主の前へ差し出した。


「良かったら、食べてみてください。」


「いいのかい? それじゃあ……。」


店主はフォークで麺を巻き取り、口へ運ぶ。


「うん! 美味しい〜!」


目を丸くしながら、もう一口。


「もちもちしてて、喉越しもいいねぇ。それに、このトマトのソースも美味しいよ〜。」


店主は感心したように麺を持ち上げた。


「あの小麦粉が、こうなるとはねぇ……。」


「気に入ってもらえて良かったです。」


「この料理、うちでも出していいかい?」


「はい。大丈夫ですよ。」


悠真は頷く。


「それに、太さや硬さを変えれば、スープに入れたり、焼いたり、いろんな料理に使えると思います。いろいろ試してみてください。」


「いいのかい? ありがとね〜。」


「はは。では、僕も、いた、だき……ま……。」


ようやく自分も食べようとした悠真だったが――。


ふと、周囲を見回した。


「…………え?」


いつの間にか、店の周りには人だかりができていた。


「お兄さん。何やらいい匂いがするけど、それは何だい?」


「私たちにも食べさせてもらえるかい?」


「金は払うから、俺も食べてみたいぞ!」


次々と声が飛んでくる。


悠真が呆然としていると、店主が笑った。


「私も作ってみたいし、一緒にやるかい?」


「はは……。わかりました。」


悠真は諦めたように笑う。


「では、順番にお待ちください。」


それから悠真と店主は、二人並んで次々とパスタを作っていった。


生地を捏ね、伸ばし、切って、茹でる。


店主も悠真の作り方を真似しながら、少しずつ手際が良くなっていく。


そして――。


ようやく客足が落ち着いた頃には、すでに夕方になっていた。


「お疲れさん。」


店主が満足そうに笑う。


「おかげで、もうちゃんと作れるようになったよ〜。ありがとね。」


「いえ……。」


悠真は疲れ切ったように肩を落とした。


「……疲れた。パスタ食べたかっただけなのに。」


その時だった。


「あ〜! 悠真さん!」


聞き慣れた声に振り返る。


街を歩いていたフィルが、こちらへ駆け寄ってきた。


「帰ってこないと思ったら、こんなところにいたんですね〜。」


「フィル。」


「悠真さんを訪ねてギルドに行ったら、急にBランクに上がって驚きましたよ〜。」


どうやら、ギルドにも寄ってきたらしい。


「それにしても、何してるんですか〜?」


「え? いや……。」


悠真は店と調理器具、それから残った材料を見回した。


「パスタを食べようとしたら、なんかこんなことになっちゃって。」


「パスタ?」


フィルの目が輝く。


「前に食べたやつですね〜?」


「そうだけど……。」


「なら、私も食べたいです〜!」


「え〜。今から〜?」


「はいです〜!」


満面の笑みで答えるフィル。


「…………。」


悠真は小さく息を吐いた。


「しょうがない。自分の分も含めて作りますか……。」


「やったです〜!」


喜ぶフィルを横目に、悠真は再び小麦粉へ手を伸ばした。


今日は、昨日の疲れを取るための休みだったはずなのだが――。


「……まあ、いいか。」


悠真は苦笑しながら、もう一度生地を捏ね始めた。

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