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300.嘆きの聖女

 やる気を出したクロエを伴い件の幽霊が出没する下通入り口付近までやって来たミヤコたち。

 時間としては朝早くと言うわけでもなく、昼食をとるには早すぎると言った時間。

 真夏の真昼。屋根のあるアーケード街でもその白々とした光の恩恵は防ぎきれず、とてもではないが幽霊が出てくるような雰囲気には見えない。


 見えないが、それでも幽霊はいた。


 場所は以前見たファストフード店よりも車通りに近づいた場所。


 いち早く幽霊の存在に気が付いたミヤコが、サトルのジャケットの裾を引き知らせると、サトルもすぐに幽霊へと視線を向ける。

 簡単な方向の指示だけで目的の幽霊へと焦点を合わせることが出来たサトルは、間違いなく幽霊が見えているのだとミヤコに確信させる。


「ああ、確かにあれだ。クロエは見えないはずだが、何か感じるものはあるか?」


 問われたクロエは、サトルと同じ方向に視線を向け目を大きく見開き固まる。


「あれは……嘆きの聖女、エーデル」


「見えているのか?」


「知り合いなんですか?」


 クロエはツカサ達と同じく幽霊は見えない。そう聞いていたのだが、どうやらこの異界人の幽霊に関しては見えているらしい。

 異界での知り合いだったのかと問うミヤコに、クロエはこくこくと何度も頷く。


「知り合いも何も、僕の後任の聖女のはずだ」


 クロエは異世界で一回死んでいる。

 その時のクロエは聖女という「仕事」をしていた。

 魂の性質的な聖女と、人間社会での仕事としての聖女の内、仕事としての聖女の役職は、後任となる者を決めていた。


「おいおいおい、何でこんなところに? つうかエーデル死んだのか? クロエが死んでどれくらいだ? 当時と見た目ほとんど変わってないけど」


 クロノも知る人物だったため、クロエが異世界で聖女をしていた当時の事を思い出しながらぶつぶつとこぼすクロノ。


「なあシオリとルイ、お前らにはあの幽霊が見えてるか?」


 問われて首を横に振るシオリと、縦に振るルイ。


「私には見えませんね」


「見えます、はっきりと。そして記憶にもあります。前の私が殺される少し以前に、行方不明になられています。春の祭りの直前でした。雪深い街だったんです……その時私は、私の元となった女性は、春の祭りで無理やり望まぬ相手と結婚をさせられる予定で。でも聖女様が突然行方不明となられて……祭りも結婚も中止になって、だから駆け落ちするための準備をする時間が出来たんですよね」


 聖女エーデルの行方不明事件は、よほど印象的な出来事だったので忘れようが無いと言うルイ。


「なるほどなあ、じゃあミナミとイクミは見えるか?」


 クロノに名指しされた二人は首を横に振る。


「見えませんね、何にも」


「どのあたりにいると指定されても、普通にただの人通りの多い景色しか見えてないです。あの中の誰かが幽霊だって言われても分からないですよ」


 まるで通行人の中に幽霊がいるかのように言うイクミに、ミヤコはおやと首を傾げる。

 そう言えば自分は、あの幽霊が異界の存在であるはずが無いと強固に思い込んでいたのだが、それは服装だけを見てだった。

 異界の気配という物は魂の状態では感じないのか、エーデルと呼ばれた幽霊がこちらの世界の人間か、あちらの世界の人間かはまるで分らない。

 逆にサトルはすぐにあの幽霊がこちらの世界の存在では無いと感じたらしい。


 ただ、だとしたらあの服装は何なのだろうか。

本日の更新もこれだけ。

明日も一回更新です。


お気に入りな幽霊さん、ようやくお名前出せました。本当は場所をパル玉前にしようか迷ったんです。

でもあそこって人が詰まりやすい場所だから迷惑かな?って。

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